2012年12月4日火曜日

変わりゆく川崎―コスギからムサコへ

現在私が住んでいるのは、東京都と多摩川を隔てて向かい合っている町、神奈川県川崎市の武蔵小杉(むさしこすぎ)です。川崎市は、近年「音楽のまち・かわさき」をスローガンに政策を展開しており、また市内にゆかりの文化人ということで、「岡本太郎美術館」と「藤子・F・不二雄ミュージアム」といった施設を市営で持っているのです…という話を、先日さる方にしたところ、「でも、やっぱり川崎は工業地帯のイメージだよね。工場萌えにはたまらない感じ」とのお答えを頂きました。

私がこの町に引っ越してきた8年ほど前、武蔵小杉は南側に古い工場跡地、北側に住宅地が広がる、ごく一般的な大都市近郊のまちでした。JR南武線と東急東横線が交わる地点ということで、渋谷にも横浜にも川崎にも20分ほどで出られる好アクセスが自慢の、けれど都内よりはずっとのんびりした町であったように思います。駅から歩いて15分ほどのところにある等々力緑地という大きな公園は、市民ミュージアムやアリーナ、競技場、球場などが集まった文教エリアになっており、週末になるとフロンターレ川崎(地元のサッカーチーム)のユニフォームを着たファンたちが大挙してスタジアムに向かう、というお決まりの光景が見られます。北側の地区に居をかまえる古い住人たちは、自分たちの町のことを「コスギ」と呼んで愛してきました。

そんな武蔵小杉ですが、数年前から駅前の旧工場地帯の再開発の動きが急速に進んでいます。まずは、ただ通過するだけだった横須賀線のために新駅を作り、その駅前に巨大なタワーマンションがいくつも林立しました。続いて、東急東横線の駅に駅ビルと高層マンションが一体化したタワーを併設する構想が持ち上がり、2013年4月オープンを目指して現在工事中です。2~3年以内には、新駅側の駅前に大型のメディカルモールが建設されるほか、南武線側の住宅地が立ち並ぶエリアには、コンベンションセンターを含むツインタワーを作る計画があるそうです。これまで武蔵小杉駅周辺には大型商業施設がなく、大きな買い物をする時には渋谷か横浜か川崎まで出るのが通例でした。しかし近年の再開発により、さまざまなテナントを備えた施設が次々誕生しつつあります。近々、周辺の町の人々が武蔵小杉にやって来るようになるのでは、と期待半分、不安半分で待たれている現状です。

※武蔵小杉ライフ「再開発情報」:http://www.musashikosugilife.com/saikaihatsujoho.html

一住民の実感ですが、最近「武蔵小杉に住んでいるんです」と言うと、「ああムサコね、タワーマンションが建っている」という答えが返ってくることが増えたように思います。ちなみに、「ムサコ(MUSACO)」という愛称は、川崎市が主導で名づけたものだとか。そういえば、私が以前通っていた東京都武蔵小金井市の住民のみなさんも、自分たちの町のことを「ムサコ」と呼んだり、「コガネイ」と呼んだりしていました。同じく東京都品川区には、武蔵小山(=ムサコ)という町もあるので、ひょっとすると、ちょっぴり紛らわしい名称なのかもしれませんね。

小林ゼミに入るまで、自分の住んでいる町のことをじっくり考えたことがなかったのですが、最近ぼんやりと、この町のこれからのことを考える機会が増えてきました。日々変化していく武蔵小杉のまちを、これからも一人の住民として「見上げて」いきたいと思っています。

(mio.o)

1 件のコメント:

  1. 長年あのあたりに馴染んでいる者からすると、「ニコタマ」から「フタコ」への転換も結構「おやっ」と思っていました。
    いずれにせよ、愛称がかわるということは地域に変化が起きている事を示しているようですね。
    (M.O)

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