2014年4月30日水曜日

月の無い夜に鬼が怒る

「鬼怒無月」…暴走族の「夜露死苦(ヨ・ロ・シ・ク)」みたいな字面ですが、私が大好きなギタリストの名前で「きどなつき」さんと読みます。ご存知の方もいるでしょうか。名前に反して?ご本人は百済観音のような穏やかな面持ちの紳士ですが、「プログレッシヴ・ロックやジャズ、民俗音楽等をルーツに持ち、日々自己のギタースタイルを進化させ続ける異才ギタリスト」というプロフィール通り、公演スケジュールを見ると演目のジャンルの広さに驚かされます。いわゆる「スタジオ・ミュージシャン」と言えるのかもしれませんが、ありとあらゆるタイプのセッションに道場破りのように挑んでいくライブは、まさに「耳福」。私は音楽の素人なので、鬼怒さんのギターが凄い!!ギターの神が降臨!!というシンプルな事実だけ受けとめていつも帰ります。最前列で鬼怒さんの追っかけをしている男子たちだったらもっと豊かな評を書けるのでしょうが…。

下北沢Lete。パフォーマンスの最小空間に挑戦?!
鬼怒さんの公演を追っていくと有名人、無名人、外国人含め自分では開拓できないミュージシャン(すごーく変な詩人とかもいて意外の連続です)を知ることができますが、大小さまざまな施設やオーディエンスを見られるのも面白いです。最近では下北沢のleteという狭小カフェ(一坪庵みたいでひどくミニマルです)、くにたち市民芸術小ホールに行きました。くにたちはホールと体育館が併設されている施設で、ライブはホールでやるのかな?と思いきや地下にステージつきのスタジオがあって、70人ほどの市民の方々とギター・ケーナ・ピアノ編成の「アルカナ」のライブを楽しみました(高山村の参考になるかもです)。観客は高齢者の方が多かったですが、急にアコースティックサウンドからエレキギターでプログレッシブサウンドをギュイーンと爆音で展開してしまう鬼怒さんの変調にも乗っていける市民のみなさまの反応の高さに感動しました。まさに文化施設を楽しんでいる、という感触です。
 


くにたち市民芸術小ホール。体育館と併設です。
 

 
地下のステージつきスタジオ。練習もライブもできます。
追っかけの目下の希望は、甲府の「櫻座」での鬼怒さん公演です。気になる会場の「櫻座」は、明治時代にはかなりさかんに歌舞伎公演が行われていたような小屋だったそうで、一度閉鎖されたものを復活させようと旧ガラス工場に再現された芝居小屋だそうです(HP http://www.sakuraza.jp/index.htm)。駅前ドーナツ化現象に悩む甲府にそんな文化拠点があるとは興味津々です。是非見なければなりません。あとは、海外ツアーにも行ってみたいです。海外のプログレ音楽祭とかライブハウスとか、きっと愉快なことでしょう。

鬼怒さんも今年で御年50歳、ますますお元気ですばらしいギターサウンドを轟かせていただきたいものです。                           (Mube
 
 

 

 

2014年4月23日水曜日

第二回「天祭一〇八」を見学してきました

みんさま、初めまして、修論に追われているMengfeiです。
副指導先生によると、今はもう引きこもって、ひたすら論文を書く時期じゃないかと。
引きこもるのもいいですが、やっぱり、ちょこっと息抜きとして、外の刺激を受けたいし、小林ゼミに出ていると、なんとなく自分はまだ生きているよということを周囲に伝えたいです。

と、先週末、増上寺に第二回「天祭一〇八」を見学してきました。
増上寺というところは、お江が眠る江戸の大寺院、と時代マンガの「へうげもの」の物語が展開する場所として、人気を博しています。敷地内で、緑のあいだ、東京タワーの姿もちらっと見えます。

こういう歴史感があふれる場所で、現代アートの「展覧会」が開催されました。
前回は2013年の秋で、今回の4月18(金)・19(土)・20(日)の三日間は第二回目です。
展覧会というより、主催者だちがこのイベントを「市民が新しい時代のものづくりと出会う『祭』であり『市』」として位置づけしています。たしかに、日本にきたら、なかなかこういう工芸品などと出会える、またもの交換ができる「市場」感覚のところが少ないなと気がします。オーストラリアとデンマークのまちを歩いたとき、何回もばったりと自家製食品や手作り飾り物などを売っているマーケットと会って、いつもなんらかのオブジェクトに惹かれていました。京都の平安神宮前の平安楽市と横浜赤レンガ倉庫のマーケットは似たような感じがしますが、オーストラリアとヨーローッパと比べて、「マーケット」はまだ日本でそんなに日常的な存在ではないかと気がします。
増上寺・三解脱門
「三縁山」と書いた三解脱門をくぐって、早速ゆるキャラと会いました。
ナムちゃんでした。
その中身の人間、本当は知り合いでした。講談社の編集者さんです。以前、インターン生として東京都写真美術館で働いたことがあって、写美が出している「ニァイズ」という猫のマンガ雑誌(またギャグマンガで、「クレムリン」というマンガの出張版です)にとても興味をもっていて、普及係の職員さんから紹介していただいた出版社の方です。そのご縁はまた今度の記事で、詳しくお話したいと思います。
ナムちゃん
それが分かっていても、こっちが恥ずかしくて、本当はゆるキャラ大好きですが、なんとなく遠ざかりしてしまいました、、、
ナムちゃんの肖像権も気にしていて、結局後ろ姿の写真しか撮りませんでした。
今ちょっと悔しいです。

さっそく正殿の左側にある、「天祭一〇八」の会場、「光摂殿」に入りました。
「大広間」のなか、ずらりと、ブースのような感じで、作家さん一人一人の周りに「作品」が陳列していました。すごく現代アート感じの彫刻もあれば、かわいい動物系のアクセサリーや渋い器などもありました。作った方々と、真正面で会えて、会話ができるのもすごいです。ただ、「これどうやって作ったか」と友人からのたずねに、その方が「機密」だと微笑んで答えました。
値段は学生にとってけっこうするんですが、まだ手頃の範囲です。たとえば、とてもかわいらしい茶碗などは2,000~3,000円という価格です。
「大広間」をあとにして、「光摂殿」のなかの「中広間」「桐の間」「楓の間」「柏の間」「菊の間」、展示と作品販売のところもを回りました。畳の部屋で現代アート、本当に開催者が言った「ハイブリット・カルチャー」に当てはまります。
(ちょっと著作権について気にしているので、前回の開催レポート<http://www.tensai108.jp/2013/report.html>から、会場の雰囲気が伺えるかもしれません。もし今回の写真が見たい方がございましたら、ぜひゼミなどでお声をおかけください。)

「光摂殿」を出るまえに、もう一回天井を見たら、きれいな草花の絵で一枚一枚装飾されていることに気づきました。あとで調べてから、分かったんですが、その格天井には、「小倉遊亀画伯、上村松篁画伯をはじめとする、現代を代表する日本画家120名の諸先生」によって描かれるていたそうです。
今度、もう一回この格天井をじっくりみるために、増上寺に行こうと思います。
光摂殿天井絵
また 三解脱門をくぐって、日比谷通りに出て、御成門駅に向かい途中、二天門が見えてきました。
とても味があって、気に入りました。
二天門
ゆるキャラ、お寺、工芸品、現代アート、イベントに関わるスタッフや作家さんだち、また古建築、いろいろな出会いがあって、また修論頑張れそうな気持ちが湧いてきました。

彩の国さいたま芸術劇場初訪問

はじめて書き込みます、学内の他研究科から参加していますharukoです。

さて、今日はいちばん最近の観劇体験を書きたいと思います。

先月、ダンス好きの研究室の先輩に誘われ思い立って行ってきたのが、彩の国さいたま芸術劇場での「ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団」『コンタクトホーフ』です。残念ながら公演はもう終わってしまっています。

自分にとっては、「彩の国さいたま芸術劇場」「ピナ・バウシュ」どちらも初めての経験でした。池袋から与野本町まで埼京線で揺られること半時間。開演1時間前に着いたにも関わらず当日券を求める人々の長蛇の列ができていました(そして我々もその列の中に)。

ピナ・バウシュといえば、2007年に京都賞を受賞し、彼女の逝去後2011年、ヴェンダース監督のドキュメンタリー「PINA/ピナ・バウシュ 躍りつづけるいのち」が公開されて以来、ますます国内の知名度が上がった印象があります。日本でのヴッパタール舞踊団の公演は、2010年に行われたピナ・バウシュ追悼公演「私と踊って」(@新宿文化センター大ホール)以来だそうです。


今回の舞台「コンタクトホーフ」が扱っているのは男女間の「コンタクト」に伴うハラスメント、何が自然な振る舞いであるのかを考えさせられる内容です。最初に、ダンサーが両手で髪をなで下ろして歯をみせるシーンがあります。これが舞台導入のための儀礼的な意図を持つものなのかわかりませんが、この表情と仕草だけで、ぐっと舞台に引きせられるような緊張感がビリビリと伝わってきました。

ピナはダンサーに、作品の制作、振り付けの決定に対して100もの質問を考えさせるそうです(出所:『埼玉アーツシアター通信no.48』)。それも「愛を共生されたらどうするか」「なにも考えられないときに何を考えるか」といったもの。このように表現される振り付け制作のプロセスは、演じることにとって象徴的です。

ひとつの動作や発声に対して表現の方法は、無限の可能性があります。表現者はときにずっと昔の記憶をたぐり寄せていくことで、ひとつの表現に行き当たるかもしれません。そのようなプロセスで作られていくダンサーたちの動きが、自分の経験や精神世界のすべてを熟考した末にでてくる動きであるからこそ、これほどまでに濁りなく、取替えの付かない一人ひとりの動きとして現れ、観客の身体に直接に問いかけてくるのかなと感じました。
休憩をはさみ約3時間にもわたる舞台でしたが、あっという間に過ぎ去り、気づけばスタンディングオベーションが起こっていました。

さいたま芸術劇場は、舞踊団と2004年にも「天地TENCHI」を共同制作しています。今回この劇場での公演がされたのには、このような共同制作の歴史があったからだろうかと思いました。
東京近辺にもまだまだまわったことのないたくさんの気になる公立劇場があると感じました。さて、末筆となりますがこれからどうぞよろしくお願いいたします(haruko)

特別展「栄西と建仁寺」展に行ってきました

はじめまして、M1のNobukaと申します。
これからどうぞよろしくお願いいたします。

 この4月に入学して、なにもかも新しいことづくしで
まだ教室に向かうにも迷っている日々です。
ブログ投稿も慣れないことばかりですが、お気づきの点があればご指摘ください。

先日大学院の入学式に出席してきました。
「大学院の入学式はそんなにたくさん人がいないのでは・・・」と思っていたら
予想以上に多くの新入生が出席していて驚きました。
そんな私も親まで出席の一大行事に。
せっかく東京まで出てきたのだからなにか観光でも、ということで
東京国立博物館で開催している特別展「栄西と建仁寺」展に行ってきました。

 栄西(この展示では「ようさい」と読んでいました)は
1141年生まれで、日本に禅宗(臨済宗)を広め、京都最古の禅寺「建仁寺」を開創。
また宋から茶種を持ち帰り栽培し、日本発の茶の専門書『喫茶養生記』を著し、
日本の茶租としても尊崇されている人物です。
参考URL:http://yosai2014.jp/highlight.html

 もともとミーハーに“風神雷神”に興味があって行ったのですが
私にとっては開山栄西の生誕を祝し、建仁寺で毎年4月20日に行われる「四頭茶会」の再現空間とお茶に関わる展示が一番印象に残りました。
もともと高校時代には(なんちゃって)茶道部員だったこともあり
再現空間だけではなく、お茶会の様子も放映されていて、とてもわかりやすく、すんなりと入ってきました。
「久しぶりに抹茶が飲みたいな」と思いつつ、本来の目的である“風神雷神”に向けて見学を進めます。

・・・これがなかなか現れません。
 
第一展示室が終わって、第二展示室を進んで・・・、最後にやっと登場。
そのほかで満足度が上がってしまい(あとはすっかり疲れてしまし)、いざ作品を目の前にして思うことは
「ああ、一枚の屏風じゃなかったのか」。
いままでずっとチラシや駅の吊広告でばかり見ていたのですっかり一枚に収まっているのだと思っていました。せっかく本物を目の前にしてその感想というのも少し寂しい気もしますが、今回は栄西がお茶の元祖だと知ることができたことが収穫でした。
   
グッズ売り場やパンフレットではこども向けなのか、最近のゆるキャラブーム旋風の影響か、
ようさいさん」なる、すこしシュールでかわいいおじいさんキャラが作られていました。興味のある方はグッズもぜひ。

気付いた点としては
東京国立博物館の平成館は建物の構造のせいか
2階での企画展を見学するルートでは左右の2部屋に分かれていて、一度は一般スペースの廊下に出る仕組みになっています。
その廊下ゾーンでグッズ販売スペースがあるという、なかなか唐突な設定なっています。
個人的には、やっぱりグッズショップは全部見終わってからがいいなと思うのですが
建物構造上、仕方がないものなのでしょう。
博物館・美術館を展示スペースとして考えたときに、建物の構造がマッチしないことは多々あるように感じます。ただ、それによって企画の流れが寸断されたり、変わってしまうのは残念です。
私は単純な考え方のせいか、企画展を見ているときはなるべくその企画の世界に浸って、できれば外の世界から離れたいと思います。建物の特性を生かしながら展示のルーティングを作る難しさを感じます。むしろこのスペースで「ようさいさん」アニメを作って放映したら、お子さま層にヒットするのでは、なんてことも考えました。グッズ購入までは至りませんでしたが、「ようさいさん」は意外と気に入っています(笑)。

 これからも時間があればいろいろな展示に行きたいなと思います。
おススメの展示があれば、ぜひ教えていただければ幸いです。

これからもどうぞよろしくお願いいたします。                      (Nobuka)

2014年4月22日火曜日

文献紹介


博物館が所蔵しているパブリックドメインの芸術作品の画像へのオープンアクセスについて実践事例が調査された報告書があるので紹介します。
 
Kristin Kelly. Images of Works of Art in Museum Collections: The Experience of Open Access. Council on Library and Information Resources, 2013.

アブストラクトはこちら:http://www.clir.org/pubs/reports/pub157
カレントアウェアネスで紹介されています:http://current.ndl.go.jp/node/23823
「みんなの翻訳」というサイトで日本語訳が4分割で公開されています。
1)前置き部分:http://trans-aid.jp/index.php/article/detail/id/36406
2)調査の詳細:http://trans-aid.jp/index.php/article/detail/id/36651
3)まとめ部分:http://trans-aid.jp/index.php/article/detail/id/36653
4)資料編:http://trans-aid.jp/index.php/article/detail/id/36654

以下、日本語訳をもとに。

所蔵作品の画像のデジタル化やデジタルアーカイブの構築など、いくつかの事例がありますが、この報告書の中で取り上げられているのは米国と英国の11の博物館です。

・大英博物館(British Museum)、ロンドン
・インディアナポリス美術館(IMA: Indianapolis Museum of Art)、インディアナポリス
J・ポール・ゲティ美術館(J. Paul Getty Museum)、ロサンゼルス
・ロサンゼルス・カウンティ美術館(LACMA: Los Angeles County Museum of Art)、ロサンゼルス
・メトロポリタン美術館(MMA: Metropolitan Museum of Art)、ニューヨーク
・モルガン・ライブラリー(Morgan Library and Museum)、ニューヨーク
・米国国立美術館(NGA: National Gallery of Art)、ワシントンD.C.
・ヴィクトリア&アルバート博物館(V&A: Victoria and Albert Museum)、ロンドン
・ウォルターズ美術館(Walters Art Museum)、ボルチモア
・イェール英国芸術センター(Yale Center for British Art)、ニューヘイブン
・イェール大学アートギャラリー(Yale University Art Gallery)、ニューヘイブン

画像へのオープンアクセスを実現する際にどのような懸念があったのか、提供する際に料金を請求するか否か、営利目的と非営利目的で料金の徴収に違いを設けるか、画像の解像度や提供に伴う手続きなど、それぞれの博物館における状況についての調査結果が示されています。オープンアクセスへの動きを促進するものとして、上層部の支援や館長の指導力が挙げられています。

調査の詳細を知りたい場合は報告書本文を読む方が良いと思いますが、画像の利用を考えている場合は、報告書の最後にある付録Bでそれぞれの博物館の画像の利用条件などが整理されているため、その部分を参照すると便利かと思います。

春休みのこと:文化施設めぐり

とうとうM2になったtantakaです。
もう新年度が始まって3週間が経とうとしていますが、春休みのことを少し書いてみたいと思います。

私は、春休みに10日間「建築・都市研修ツアー」というものに参加し、ル・コルビュジェの建築をメインに見てきました。
ニースから始まり、スイスに寄って、パリまでフランスを北上するという豪華なコースです。

ル・コルビュジェといえば、「近代建築の五原則」を反映させた「サヴォア邸」や「モデュロール」を用いた「ユニテ・ダビタシオン」、後期の代表作「ロンシャンの礼拝堂」などが有名ですが、建築だけではなく、都市計画の分野でも『輝く都市』を1933年に発表し、太陽と緑、新鮮な空気をだれもが享受できる都市を理想と掲げ、チャンディガールなどで実現させたことでも知られています。
今回の旅行では、そのル・コルビュジェのいくつかの代表作を見るとともに、それに付随していくつかの話題の建築や歴史の残る街などにも足を運んできました。

そのなかで印象に残っている、というよりも勉強になったものを3つここに書きたいと思います。

①Carré d’Art(カレダール)
「カレダール」と手前が「メゾンカレ」

フランス南部のニームという街にある現代美術センターとマスメディア資料館が併設された市の複合文化施設です。


1984年に行なわれた設計競技でノーマン・フォスターという建築家が選ばれ、1993年に竣工しました。


向かいには紀元前3世紀に建てられたMaison Carré(メゾンカレ)という寺院が建ち、また周囲にもヨーロッパの街並みらしい建物が並ぶ中、この「カレダール」は、鉄骨にガラス張りの外観で、とても異彩を放っていました。


しかし、実際にこの施設に入ってみると、利用者は絶えることなく、多くの市民に愛されていることがわかります。



本を読む人と話しながら作業しているグループ


この施設に入っていくほとんどの人が資料館を使っていて、何か調べものをしたり、本を借りたり、勉強をしたりしているようで、中には複数で作業しているグループもいました。







入り口前の階段でくつろぐ利用者たち

また、1階は少し地面より上がってあるため、入り口前は階段になっていますが、その階段には若い人たちがおしゃべりをしたりしながら過ごしている様子も見ることができました。











歴史的な街並みからは少し異質に感じられ、嫌厭されても不思議ではないように思いますが、利用者が空間をうまく使い、多くの人に愛されているように感じました。


②La Maison de La Culture et La Jeunesse(文化と青少年の家)

2つめは、ル・コルビュジェが設計したフィルミニの「文化と青少年の家」で、1965年に竣工しました。
「文化と青少年の家」外観と左側がスタジアムのトラック


フィルミニという街は、サン・テチエンヌという工業都市の近郊にある町で、工場で働く人が多く住んでいるそうです。








そこに、ル・コルビュジェは集合住宅である「ユニテ・ダビタシオン」やスタジアム、教会などを設計し、フェルミニのという新たな都市を構想しました。

横にあるサッカー場
スタジアムを隔てて反対側にある教会

ところで、「文化の家」とは、劇場や映画館、図書館や展示室などをもつ複合文化施設のことで、フランスの初代文化省大臣アンドレ・マルローによる「文化の民主化」政策の中核をなす事業でした。
フランス各地で「文化の家」は建設され、このフィルミニの「文化と青少年の家」もその事業の一環として建てられています。


施設内には、大小様々な階段状の座席の付いた部屋やスタジオ、ホールがあり、暖炉のある休憩室のようなスペースもありましたが、残念ながら私たちが訪れたときには、この施設を利用している人は全くいませんでした。

階段状の座席のあるスタジオ
暖炉のある休憩スペース


階段状の上から撮った部屋の様子
スクリーンではコルビュジェの
作品紹介映像が流れている


一部の部屋はル・コルビュジェの作品を展示したり、「文化の家」やル・コルビュジェの作品を紹介するための映像が上映されるために使われていましたが、それも本来の趣旨とはちがうのではないでしょうか。






入り口近くの様子


施設の横にある競技場ではスポーツを楽しむ青少年の姿が多く見られましたが、入り口のまわりには腰パンの若者たちがたむろし、施設自体に近付き難い印象さえ受けました。




サッカー場のようなスポーツ施設は多くの人に利用されているようですが、ホールなどを持った文化施設の難しさを目の当たりにしたように思います。
文化施設というものの意味、プログラムと設計の工夫について考えさせられる、そんな施設でした。


③Rolex Learning Center(ロレックス・ラーニング・センター)

最後は、スイス連邦工科大学ローザンヌ校にあるラーニングセンターです。

ロレックス・ラーニング・センター外観


2004年に行なわれた設計競技で、日本の建築家ユニットSANAA(妹島和世と西澤立衛)が勝ち取り2010年にオープンしました。

88,000㎡もあるという敷地に、22,000㎡にわたる一層の建築から成り立っていますが、床面は緩やかに上下していて、とても独特な空間でした。




室内は図書館、学習スペース、カフェ、レストラン、ホール、フードコート、学生団体のオフィスや、キャリアセンター、ブックショップなどが、ほとんど仕切りなく配置され、大部分を自由に使うことができるようでした。

図書館入り口
学習スペース(私語厳禁のサインがある)










カフェ
レストラン


オープンスペースにはビーズクッションが置かれ、コンセントも配置されているため、学生たちの多くは、自分のスペースを確保して、床に直に座って、何かをしたり、寝ていたり、思い思いに過ごしているようでした。


自分の場所を確保して思い思いに過ごす学生達
スマートフォンを弄ったり寝ている人も多い


もちろんカフェや学習スペース、図書館を使っている学生も多かったですが、それ以上に圧倒的に床に座っている人が多かったように思います。

右側のガラスの部屋は予約して使う会議室
その外側では床に座って学生が思い思いに作業している
微妙なくぼみを自分のスペースにしている学生



床に設置されたコンセント
普段は蓋で隠されている

きっと椅子と机という形に縛られることなく自由に使えることが、学生たちの学習意欲をかき立てるのではと感じました。

私も、もしこの施設を使うことになったら、真っ先にコンセントとビーズクッションを確保して床に座って作業を始めると思います。




施設の外にも居場所を見つけて座っている学生たち

本当に「いろいろな」空間が揃っているために、学生たちは散り散りに自分の居心地の良い場所を見つけていて、話し合いをしていたり、個人作業をしていたり、空間が有効に使われていることがわかりました。
それは室内だけではなく、屋外にまで広がっているようでした。



あまりにも斬新な建築であるため、雑誌などで見たときには懐疑的に思っていましたが、実際に訪れてみて、こんなにも多くの学生が空間を活用していることにとても驚きました。
建築がこんなにもうまく利用されているのを見るのは、初めてだったかもしれません。


〈まとめ〉
このように、ここでは3つの施設について書きましたが、それぞれに気付かされたり、学べるものがありました。
このゼミに参加するまで、こうやって文化施設について考えたことは一度もなかったと思います。
先日ある文化施設を訪れた際に写真撮りましたが、その写真では雰囲気が伝わらないと一蹴されてしまいました。
確かに私の撮った写真は建物のデザインばかりを写していて、人がどのように施設を使っているか、この施設の魅力は何なのかが伝わるような写真ではなかったのだと思います。
今回は、その利用者のことを意識して写真を撮ることを心がけてみたところ、自然とその施設のプログラムや使われ方に目がいきました。
みなさんにも、写真から3つの施設の雰囲気が伝わっていることを願っています。
こうやって様々な施設を見ていると、自分の住むまちにもこんなのが欲しいとか、あそこはこうすればいいのにと思うことがしばしばあります。
5月にあるコンペにアイディアを出す予定でいますが、1年間ゼミで学んだことだけではなく今回の旅行で見て学んだことを盛り込めたらと考えています。



さて、最後は、フランスらしい写真で終わらせたいと思います。














(tantaka)


2014年4月21日月曜日

わが町の大逆転

はじめまして、M1のMKです。昨年の須坂ゼミに引き続いて、これから小林ゼミにお世話になります。

さて、先日(4/4)にNHKの首都圏ネットワークで放映された「わが町の大逆転」について思うところがあったので、はじめての投稿とすることにしました。
これは、各地のNHKアナウンサーがゲストのように招待されて、地元を発展させる取り組みをしている場所をVTRで発表するものです。
https://www.nhk.or.jp/tokuho/archives/2013_10-2014_03.html

この中で、対照的だと思った小美玉市(茨城県)と笛吹市(山梨県)について取り上げたいと思います。
勿論「大逆転」と打っている通り、この番組に取り上げられている都市の共通点は、住民が「私の市には魅力がない」と捉えているところです。

⚪︎小美玉市
ここでは、今まで使われていなかったホールの活用としてスター成り切り歌謡ショーを行っています。全て市民手作りのショーですが、本番四ヶ月前に厳しいオーディションを行い出演者には歌唱指導を受けることと、30人以上の専属応援団を連れてくることが必須の条件だということです。他にも市民ミュージカル(二日間1600席分が満席!)、ミステリーじかけの合コンもホールで行われているようでした。
これらは市民が話し合いをし、企画、コンペを行っているそうです。この取り組みのお陰で、「見る側から参加する側へ」と住民の意識が変化したと述べられていました。

⚪︎笛吹市

山梨県が富士山の存在で観光客が多く訪れる場所であるということは、皆さんご存知だと思います。しかし、近年まで意外にも外国人観光客の宿泊率が最下位だったのです。(とい
うのも、広島や京都、東京に泊まる人が多いから)
そこで、笛吹市はインドネシアからの観光客を呼び寄せようとしています。インドネシアには2億を超す人口と急速な経済発展があり、インドネシアにはないもの(例えば桃)が沢山あるからだそうです。インドネシアのベッカムと呼ばれる人やインドネシアの人気モデル、人気歌手を呼んで、雪遊び、ほうとうづくり、寺での日本文化体験をしてもらいSNSで
発信してもらったところ大きな反響があったそうです。

インドネシア人観光客が宿泊地をして選ぶ県5位に入ったとか。宿泊先には礼拝用の部屋やハラルでの和食…と、インドネシア人の舌に合うような調味料も用意しているということでした。

以上の二つを見ると、前者は地元の力を活用し後者は観光客の力を活性化につなげようとしています。 去年須坂ゼミで「ホールでのオペラワークショップ」を提案した私にとっては前者に共鳴することがあり素晴らしいことをやっているな、と思ったのですが、後者の取り組みがこれからどうなっていくのかは…少し気になりました。インタビューやデータ
がなかったので分かりませんが、地元の人はやっぱり「魅力ない笛吹市」という意識を変えられないままなのでは…とも思います。正直、後者の方が楽に考えられそうでイベントのようになるかもしれないという印象を持ちました。(すみません)
これから関わって行く都市だけでなく、私の「わが町」ではどちらのかたちが相応しいのかということも、このゼミの中で考えていきたいと思っています。




今日も、ウルトラマンの影がじわじわと。

先日、新宿高島屋で開催された「円谷英二 特撮の軌跡展」に行ってきました、pugrinです。
https://www.takashimaya.co.jp/store/special/event/tsuburaya.html

会期中最後の土曜の昼過ぎという、
最も混雑しそうな時間帯を目がけて行ったにもかかわらず
まったくのスムーズな観覧状況。
ストレス無くジオラマや怪獣を堪能できました。

という話ではないのです。

私はこの展覧会で、デパートの催事場とはいえ、
ウルトラマンと特撮のワクワク感に魅せられた
かつての少年たちがわんさと集う様が見たかった。

全体の人数を把握しているわけではありませんが、
スタンプラリーや物販スペースの充実、展示内容から見て
購買意欲以外が刺激されている感じはあまりしませんでした…。
つまりデパートの集客にウルトラマンが利用され、かつ
内容もその域を出るものではなかった
というのが印象です。

祖師谷ウルトラマン商店街ではタロウ街頭がライトアップされ、
最新作の劇場版公開に合わせてマクドナルドでも
おもちゃ付きハッピーセットが販売されるなど
円谷プロダクションの版権管理担当が嬉しい悲鳴を上げるようなこの春だからこそ
こうした生のイベントにも注目が集まるものと考えていましたが、
必ずしも大きな効果が得られるわけではないようです。

ただ、この展覧会で分かったこともあります。(ある種当然のことかもしれませんが…)
・子供たちにとって怪獣・ウルトラマンは古いものではなく、
1970年代の放映当時と同様に興味をそそる存在であるということ。
・円谷英二の特撮への姿勢は、「自分で考えみんなでやる」という
クリエイティブの基本に忠実なものであったということ。
この二点は修士論文を書く上でポイントになるのではないかと思います。

自分で意識しているせいか、最近特撮やウルトラマンに関する話題が
多く飛び交っている気がしています。
基礎調査や先行研究をきちんと踏まえ、早くフィールドワークに行かねば
と気持ちがはやるこの頃です。

『源氏物語』 歌舞伎×オペラ×能楽

本日終演の演目について書くのも気が引けますが…
面白い試みだと思ったので市川海老蔵の特別講演『源氏物語』について書きます。

京都四條南座にて4月5日(土)~21日(月)の期間『源氏物語』が上演されました。
(厳密には本日の昼の部が最後の公演になるようです。)
私自身は、日テレ情報番組news every.を見てつい先日知りました。
「歌舞伎」「オペラ」「能楽」をコラボレーションしたものだそうで、
歌舞伎界からは市川海老蔵が光源氏を務め、
能楽界からは片山九郎右衛門、梅若紀彰らが出演、
オペラ界からはメトロポリタン歌劇場で活躍するカウンターテナーの
アンソニー・ロス・コスタンツォが出演しています。

ニュースでは、コスタンツォが市川海老蔵に寄り添うようにして光源氏の心情を歌いあげるシーンが取り上げられていて、非常に印象的でした。意外にも違和感はさほどなく、うまく融合していると感じました。そもそも人間の心情を表現する際に、手段の選択は大差がないのかもしれません。
もっと早くその存在を知っていれば、そして、東京公演があれば、是非観に行きたかったです。

それにしても、コラボ物のような革新的な試みにはどうも惹きつけられてしまうようです。
南原清隆(ウッチャンナンチャン)や九世野村万蔵らの現代狂言「狂言とコントが結婚したら?」や、滝沢秀明主演の「滝沢歌舞伎」も、何となく気持ちをひかれるものがあります。

最後に、初めての投稿で要領を得ませんが、お気づきの点があればご指摘くださいますようお願い申し上げます。

(shieri)

参考URL
松竹株式会社http://www.shochiku.co.jp/play/minamiza/schedule/2014/4/post_145.php#tab01

ようやく、新歌舞伎座での観劇

新歌舞伎座といっても東銀座にある歌舞伎座のことですが、
歌舞伎座がリニューアルして平成25年4月、第五期として開場したのはもう皆さんご存知ですよね。ので、新しい歌舞伎座の意味として新歌舞伎座と言ってみました。^^

心から待っていた歌舞伎座の開場でしたが、チケットがなかなか取れなくって観れなかった歌舞伎を(その間は主に国立劇場でお世話になりましたが^^)ようやく今日歌舞伎座にて観劇することができました。

私が観たのは、歌舞伎座新開場一周年記念鳳凰祭四月大歌舞伎の昼部です。
演目の並びに少し不満(というか疑問)を持ちますが、ま、三津五郎さんが元気よく見えたのでそれで満足です。
 (*演目については下記を参照:
  →http://www.kabuki-bito.jp/theaters/kabukiza/2014/04/post_74ProgramAndCast.html)

お蔭様で東銀座に行くのも久しぶりでしたが、まず驚いたのは駅から直結のアクセスでした。
以前は地下鉄の改札を出て狭い階段(往復する人は一列で歩かないと行けなかったところ)を上り劇場へ行けたのが、今は劇場までの直結のアクセス、しかもエスカレーター、エレベーターで、地上に上がり正面玄関へと行けるようになりとても便利になりました。
また、地下には賑やかな売店や食事処が並ぶ「地下広場」があり、そこでお土産などの買い物も出来ますが、私は何より、そこにコンビニや珈琲ショップが入っていることはもう言うまでもなく嬉しかったです。
いつも歌舞伎座へ行く時には、劇場の近いところにコンビニや珈琲ショップがなかったため、家の近所で買い物を済ませないと不便だったことを経験しているからよけいに嬉しかったかもしれません。
劇場の中も変化があり、リニューアルの理由の中、最も話題になった二つ、客席の広さとエスカレーターやエレベーターのことですが、それらは完璧に整備されていました。またお手洗いも綺麗に、数も増えてました。(無論、男性の方は分かりませんが^^;)(やはりお手洗いは大事ですね。アリオスのことではないですが、、、)
 (*当時、歌舞伎座の建替え計画に関しては下記などを参照:
http://www.kabuki-za.co.jp/annai/pdf/tatekae210826kaiji.pdf#search='%E6%AD%8C%E8%88%   9E%E4%BC%8E%E5%BA%A7%E5%BB%BA%E3%81%A6%E7%9B%B4%E3%81%97'

歌舞伎座の訪問によりまだウキウキしている私でありますが、
一つ気になるところは、反響の問題かどうかは分かりませんが、以前と比べると少し聴きやすくはなかったような気がします。そもそも一階か三階あるいは四階の客席でみた私が、初めて二階席でみたので、比較は出来ないかもしれませんが、少し気になりましたね。

最後に一言。
やはり寂しいですね。団十郎さんと勘三郎さんがいないので、、、(涙)

(bangul)

2014年4月15日火曜日

いちはらアート×ミックス 其の二

bangulさんが紹介されている「いちはらアート×ミックス」、4月5日に行ってきました。
一番の目的は指輪ホテル「あんなに愛しあったのに~中房総小湊鉄道編」の観劇でした。
移動する列車内で繰り広げられる芝居は、今回の芸術祭で最も「市原でやってこそ意義がある」作品だと思えました。車窓からは満開の桜に菜の花畑、この雰囲気なくして成立しない劇でした。

市原地域一番の武器は小湊鉄道である、そう思えたことが今回の収穫でした。
この路線は一時間に一本程度しか走らず、運賃も高め。車社会に暮らす地元の人が頻繁に利用するような鉄道ではないと推測します。ですが今回は「桜・菜の花(千葉県花)・小湊鉄道」の三点セットをカメラに収める方が来場者の半数以上いるのではないかと思うくらいでした(鉄道ファンも、そうでない人も)。ビルも山もない空はただ広く、いかに過疎が進む地域であっても「のどか」と感じます。車内で複数のゾンビが跋扈しても、全体としては幸福感に包まれた芝居が観られたのは、「な~んにもないのどかさ」があってこそでした(これから観劇予定の方、ネタバレごめんなさい)。

話が逸れますが、私は千葉市に十年住んでいます。以下千葉市民として気になったことを書きます。

JRの路線名になっていることもあり、内房(線)・外房(線)は毎日聞いていますが、「中房総」という表現は初めて聞きました(「なか」房総?「ちゅう」房総?)千葉の中で、ディズニーランドでも沿岸部でもなく、県中部が注目されたことは日常生活の中でもこれまでありませんでした。

一方、小湊鉄道とJR内房線を繋ぐ五井駅は、快速電車を使えば一時間で東京駅に着きます。いわばベットタウンとしての利便性があるかないか、ぎりぎりの位置にあります(実家の最寄り駅も、五井駅の外房線版といえるような位置です)。実家付近も十分田舎ですが、「田舎=快速電車が通らない場所」というような考え方が昔から私の中にある気がします。「自分は千葉県でもベットタウン側に暮らしている、田舎ではない」という感覚です。
けれども、美術や演劇を見ようと思えば、まさにその快速電車で東京・横浜まで出かけていくのが当たり前です。私が指輪ホテルに飛びついたのも、千葉で観劇すること自体が非常にまれだったからです。
思い立てばすぐに”アートの中心地”に行ける分、それを自分たちで作り出そうとする機運は(少なくともベットタウン側では)出てきづらいのかもしれません。その点において、芸術祭が「千葉」ではなく「中房総」という表現を用いたのは実情に合っていると思いました。

(N.N.)



2014年4月12日土曜日

中房総国際芸術祭いちはらアート×ミックス

 昨日はいい天気に恵まれた中、千葉県市原市南部地域にて開催されている 『中房総国際芸術祭いちはらアート×ミックス』へ行って来ました。これは3月21日~5月11日まで、①廃校になった小学校の活用、②小湊鐵道の列車やバスなど交通の活用、③食や自然などの地域資源の活用、④関わる多種多様な人々の参加という4つの点を中心に、行われている芸術祭であります。(http://ichihara-artmix.jp/参照
 この芸術祭の総合ディレクターは、「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナ-レ」や「瀬戸内国際芸術祭」のの総合ディレクターなどで知られている北川フラム氏で、彼はこの芸術祭について「アートに加え、「食」というものをベースに据えた芸術祭を作りたい。また、市原は過疎化が進んでいて、廃校になった学校もあるが、それらを活かした色んなプロジェクトも考えた。」とインタビューしています。(http://qonversations.net/irobe_kitagawa/6861/より

 事前に、上記のオフィシャルホームページを通じて見学日程を組もうとしたものの、「いつどこで誰が何をどうやるか」が全く分からない、もしくは乏しい情報だけだったので、日程を組むのに苦労しました。でも、この芸術祭には知人の作品も展示&参加していたため、気持ちを乗り換え、期待を持って東京から友人らと一緒に車で伺いました。

 
 
 



 結局私が組んだ見学日程は、
市原湖畔美術館
IAAES
アートハウスあそうばらの谷
いちはら人生劇場
里山芸術劇場/白鳥公民館

最後のプラグラム以外は、観想パスポート(見学放題、乗り放題)の中に含まれているプログラムでしたが、車での移動でしたし、計画とおりに全部回っても300円~500円の差があったため、パスポートは買わずに、一回ずつ入場料をはらうことにしました。
 しかしながら予想できなかった大きな問題に逢着しました。それは「駐車料」です。もちろん無料の所もあるようですが、殆どが一箇所500円から1000円とられることを、現地にて分かったのです。また、訪問先ごとに駐車料を払わなければならない。。。これからこの芸術祭へ行こうとしている皆さんにはバスや鉄道で動いたりする方をお勧めしますが、本数がすくないため、動きを計算しないと空の下バス停や無人駅で長時間待つ事になりますので、ご注意を!

 
 
 今、菜の花が見ごろであったいちはらアート×ミックスの会場にて芸術祭を楽しんだ私は、
 
 
 
 1.アート関係なのでオフィシャルホームページをデザイン重視することも大事だが、デザイン的に懲りすぎ内容が全く見ずらい。シンプルで分かりやすく、基本情報をきちんと伝えることも大事。
 2.芸術祭運営方面などでの不親切さは、参加している作品などの質とは関係なく、芸術祭全体のイメージをきずつけてしまう可能性がある。
 3.意外とこの芸術祭は金食い。
ということが気になりました。
(bangul)


 


AAキッチン 食とアートの邂逅は続く

AAキッチン(写真提供 嘉藤笑子さん)
新学期になりました。新しいゼミ体制となりますが、どうぞ今年度もよろしくお願いいたします!今回は、2013年度の文化資源学フォーラムでお世話になった嘉藤笑子さん主宰のAAキッチンに、お礼参りをかねてPugrinさんと出かけたときのレポートです。

AA キッチンはアートプロジェクト
 嘉藤さんは文化資源学会の会員でもあり、AANArt Autonomy Network)主宰者です。AANはアーティストやキュレーターたちと自発的に始めたNPO活動として、国内外の小規模組織や個人をつなぐネットワーク活動とアーカイヴを展開しており、ワークショップ、シンポジウム、展覧会など活動は広域で、教育的なアプローチも熱心に行っています。そのなかで「AAキッチン」の試みは、食を通じて地域社会とアートをつなぐ機能を形成していくための実験的な食事会で2011年より日本橋Creative Hub131に拠点を置いて開催されています。
 昨年2013年の春、初めてフォーラム取材のためにAAキッチンの夕食に参加させていただきました。訪れたビルは東京日本橋大伝馬町にある地上6階・地下1階の複合ビル「Creative Hub 131」。夕飯時になるとその日のAAキッチン参加者が集まってきます。AAキッチンの運営について嘉藤さんは以下のように語っています。
Creative Hub131」は、クリエイティヴな団体が複数入っている集合体で、縦型長屋のような大家族を形成しています。この古いけれどもユニークな共同ビルの3階はスタジオ内の人たちが通りすぎる空間で、コモンスペースの機能をもつ「社員食堂Lab.」になっています。「社員食堂Lab.」といっても、緩やかにつながるための機能であり、それぞれの担当者が自主的に運営しています。社員食堂Lab.は、担当者が曜日変わりで食事会を開催していますが、少額の会費制によって食事代を支払うかたちをとっています。さらに食品衛生管理者を置いて保健所の飲食業の営業許可を取得しています。
 AAキッチンには、入居者のみならず、外部からの一般参加者が参加しています。「つくる、たべる、かたづける」を基本構成に、みんなが共同で作業をしています。毎週水曜日に定期開催することで認知度が高まってきました。<食>を通じて人たちが集い、<共同作業>を通じて心が通い合ってきました。斬新なことをしているというより、古くからあるコミュニティにおける潤滑油のような方法だと思っています。
AAキッチンを始めて感じたことは、アルコールではなくAAキッチンという<場>に集まり、それが自然になりつつあると思うので、短期的なイベントではなくて、日常的な出来事になるようレギュラーに食を囲んでいます。
 江戸時代から現在に至るまで日本橋の旦那衆が地域を支え続けてきている文化の下地がここ(大伝馬町)にはあります。交流をしていくうちに昔からの旦那衆が「Creative Hub 131」の存在を認め始めています。彼らは「粋人」として目利きな人たちで、一見不思議な活動に見える私たちの試みに、自分たちの地域の将来的な活路を期待しているようです。アートと地域が一体になっての都市文化の再生が始まっていると感じますね。
AAキッチンでは、アーティストのトークや最新アート動向を紹介する機会を創発していきたい。それを食事の中で開催することでカジュアルな雰囲気を作れると思います。人は生まれた限り毎日食べ続けていくので、万人に共通する「食」を媒介にするコミュニケーションを探っていきたいですね。
            (第13回文化資源学フォーラム 当日配布冊子より抜粋)
新潟県十日町との 食とアートの交流
  先日久しぶりの再訪となりましたが、その日は1月からスタートした「なじょも十日町 by AAキッチン」第3弾の日で、大地の芸術祭の開催地である越後妻有・十日町市の、コシヒカリやへぎ蕎麦だけじゃない美味しいもののお披露目会でした。このシリーズでは、十日町の豊かな食文化を紹介しています。十日町の旅館のご当主が料理の腕をふるってくださいました。前宣伝以上に、当日の食事のおいしさといったらありませんでした!生の雪下人参にはじまり、菜っ葉のふきのとうがけ、サツマイモの石釜焼き、妻有豚の焼き肉、行者ニンニクを漬け込んだ特製の焼き肉のたれ、黒豆の入った葱の味噌汁…などなど、おいしいものは人々のテンションを大いに上げていくものです。

アーティストの立場からの意見が聞ける
 それに加えてAA キッチンの面白さは、そのメンバーの面白さです。嘉藤さんが美大で教えていることもあり、アーティストの方々などが多く集うこともAAキッチンの特徴です。この日も神山でアーティストインレジデンスを体験し、現在はオランダに滞在している若手アーティストや、カナダのトロントを拠点に東日本大震災に絡んだランドセルアートプロジェクトを展開している方の話など、実に興味深い話が盛りだくさんです。さらにはみなさん、アーティストや市民、行政をつないでいくという小林ゼミのヴィジョンを語ると、いかに連携が大切かをお互いに語る貴重な機会ともなりました。小林ゼミはアートプロジェクトを企画するゼミではないので、こういう場所でアーティストの考えていることを聞けるのはとても参考になります。ゼミの方で、ご興味ある方は是非言ってください。ご紹介しますので。
 
 今回改めて、「食」と「アート」を掛け合わせた主宰者嘉藤さんの嗅覚ってすごいなーと思いました。真の意味でおいしいもの、いいものを探し出して、どうしたらそれを共有することができて、新たな価値観をもって暮らせるのか?AA キッチンは実験的な場だなあと思いました。昨年の小林ゼミの鶴岡合宿の食文化創造都市のことや、「宴」における食をひとつの大きなテーマにした文化資源学フォーラムのことなど…どれだけ喰いしん坊なんだとも思いますが、原発事故も抱えた日本の中で、食って深いテーマだとこのごろつくづく思うのです。ゼミが関わる大町市では今年「信濃大町 食とアートの廻廊」もありますし。美味しいと安全が乖離する可能性もある揺れる価値観のなかで、自分たちは何を選び(選ばざるをえない場合もあります)、何を自分にとって最適の食とし、食の場を共有していくのか?「食」と「文化」をおきかえることも可能だろうかと思います。そして何より私たちは毎日食べ続けている!すごいことです。
                                                                                              Mube