2014年4月15日火曜日

いちはらアート×ミックス 其の二

bangulさんが紹介されている「いちはらアート×ミックス」、4月5日に行ってきました。
一番の目的は指輪ホテル「あんなに愛しあったのに~中房総小湊鉄道編」の観劇でした。
移動する列車内で繰り広げられる芝居は、今回の芸術祭で最も「市原でやってこそ意義がある」作品だと思えました。車窓からは満開の桜に菜の花畑、この雰囲気なくして成立しない劇でした。

市原地域一番の武器は小湊鉄道である、そう思えたことが今回の収穫でした。
この路線は一時間に一本程度しか走らず、運賃も高め。車社会に暮らす地元の人が頻繁に利用するような鉄道ではないと推測します。ですが今回は「桜・菜の花(千葉県花)・小湊鉄道」の三点セットをカメラに収める方が来場者の半数以上いるのではないかと思うくらいでした(鉄道ファンも、そうでない人も)。ビルも山もない空はただ広く、いかに過疎が進む地域であっても「のどか」と感じます。車内で複数のゾンビが跋扈しても、全体としては幸福感に包まれた芝居が観られたのは、「な~んにもないのどかさ」があってこそでした(これから観劇予定の方、ネタバレごめんなさい)。

話が逸れますが、私は千葉市に十年住んでいます。以下千葉市民として気になったことを書きます。

JRの路線名になっていることもあり、内房(線)・外房(線)は毎日聞いていますが、「中房総」という表現は初めて聞きました(「なか」房総?「ちゅう」房総?)千葉の中で、ディズニーランドでも沿岸部でもなく、県中部が注目されたことは日常生活の中でもこれまでありませんでした。

一方、小湊鉄道とJR内房線を繋ぐ五井駅は、快速電車を使えば一時間で東京駅に着きます。いわばベットタウンとしての利便性があるかないか、ぎりぎりの位置にあります(実家の最寄り駅も、五井駅の外房線版といえるような位置です)。実家付近も十分田舎ですが、「田舎=快速電車が通らない場所」というような考え方が昔から私の中にある気がします。「自分は千葉県でもベットタウン側に暮らしている、田舎ではない」という感覚です。
けれども、美術や演劇を見ようと思えば、まさにその快速電車で東京・横浜まで出かけていくのが当たり前です。私が指輪ホテルに飛びついたのも、千葉で観劇すること自体が非常にまれだったからです。
思い立てばすぐに”アートの中心地”に行ける分、それを自分たちで作り出そうとする機運は(少なくともベットタウン側では)出てきづらいのかもしれません。その点において、芸術祭が「千葉」ではなく「中房総」という表現を用いたのは実情に合っていると思いました。

(N.N.)



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