2015年8月6日木曜日

Bayreuthにいってきました

こんにちは、お久しぶりです。Raeです。
先日ドイツ・バイロイトで行われた音楽祭に行ってきました。
音楽に関しては特に言えることがなく、ただただオケの響き、歌手の声の強さと演技力に圧倒されてきたのですがカストロフ演出リング4部作について、少し。

初演から数年経っているこのリングは読み替え演出です。ホテルやら、アレキサンダープラッツやら油田やら巨大な山やら…が登場して、テレビカメラとスクリーンがふんだんに使われている兎に角ダイナミックな舞台。しかし、読み替え演出賛成派の私でも3作目のジークフリートを観た日には、最後に森の小鳥とブリュンヒルデとジークフリートが三角関係になってしまうという謎の場面があり途端に陳腐なやり方に見えてしまったので、こんな演出酷い!と憤りさえ感じてしまいました。
ところが、次の「神々の黄昏」のラストシーンでチョロチョロした火の登場とラインの乙女たちが映し出される映像を観ていると、何かが腑に落ちたような気がしました。さらに、終演後に出てきたカストロフら演出陣がブーイングを平然と浴びても、平然とした顔で肩をすくめ、胸に手を当てて深々とお辞儀をしたのには思わず大笑いし「負けた!」とすら思ってしまいました。何度も観ない限り演出分析は難しいことですが、「分からないところや混乱することがあっても、この演出でそれを一々分解して取り上げ、見ていくことには意味がない!」と言っているような気がしたのです(最近の映画や演劇にもそういう手法がありますね)。それにしても、このような劇場に来ると日本のオペラ公演で足を踏み鳴らす大喝采やブーイングがないのは味気なく感じてしまいます。

ところで、初めてのバイロイトだったので色々と驚くことは多かれど、休憩中どこでもジークフリートかヴァルハラのライトモティーフ(※)を口ずさむ人がいたことには独特の雰囲気を感じました(かくいう私も一緒にいた友人にライトモティーフを気付かぬうちに熱く語っている自分がいて、友人もそれを歌うようになり、で。ワグネリアンでもないのにワグネリアンの気持ちを少しは理解できたような気がしたのですが…)。

この時期はさすがに町中どこでもワーグナー一色で、普段の街の様子はどうなっているのだろうと少し気になりつつバイロイトを後に…

(※)ライトモティーフ:わかりやすく言えば、映画のサントラの愛のテーマ、⚪︎⚪︎の登場のテーマのような、キャラクターや心情、情景を表すメロディー