2014年12月31日水曜日

今年も一年いろいろありました 大町市と小林ゼミ

大晦日です。2014年も終わろうとしています。

今年の小林ゼミ、夏学期はグループに分かれ、「文化によって」大町市に関わる提案を出し合い、冬学期は一気に「冬期芸術大学」の開催、「文化資源活用ビジョン(仮称)」の策定に向けた準備作業に突入していきました。そして12月には「冬期芸術大学」の企画プロデュース、ファッション、空間美術、パフォーマンスの全講座が終了し、各コースの受講者が参加する全体企画会議を経て、2015222日には大町市の平公民館で活動成果発表会が行われます。こう書いてしまうとさらっとしていますが、かなりすごい展開だったなと思います。

◆「冬期芸術大学」の意義
この「冬期芸術大学」によって、文化活動が多い割にはそれが地域の活性力に結びつかないと評されてきた大町で、一歩深い「マネージメント」の概念が共有されていく機会になったのではないかと思います。それぞれの分野の人々が、少しだけほかの分野と全体を意識すること、「行政は敵!」みたいな対立概念を超えて市民も文化の運営主体であることに意識をシフトしていくことの意味を、市民も行政も一緒に考える貴重な機会に、私たちゼミ生も立ち会えてありがたかったなと思います。

私は「企画プロデュースコース」に同席させていただきましたが、たくさんの意見と熱意を持つ市民の方々の議論を聴いて、こういうところから誰のものでもない大町市民から生まれる文化の「企画」が生まれていくのだろうなと思いました。
 

大町市平公民館より撮影。この雪景色のもと2月22日の冬期芸術大学成果発表が行われます。どんな企画が生まれていくのでしょうか?!
 
 
◆ゼミの役割
ゼミが地域に関わることについて、M1の方は今年大いに悩み、M2となったわれわれもいまだにその意味がつかめていなかったりしますが、ゼミの役割は昨年よく言われていたように「触媒」なんだなと改めて思いました。地域のことを何にもわかっていないゼミ生が上から目線で文化政策を押し付けたり、ある方向に誘導したり、自分たちの好き勝手な活動を展開してしまうのではなく、自分たちの持っている力(知識や地域のことを考える想像力)の限りによそ者としての提案をぶつけていくことで地域に化学反応を起こしていくことしかむしろ私たちにはできなくて、その先からは地域の市民や行政の方々がその地域独特のやり方で自分たちの地域を主体的に運営していくことが目指されるのでしょう。

今回の「冬期芸術大学」はそんな化学反応が起こっていた現場だったのではないでしょうか。そして222日の成果発表まで、まだまだいろいろな化学反応が起こっていくのでしょう。点在していた大町の「文化資源」が、じわじわと結びついていく現場に、2015年もできる限り立ち会っていきたいなと思います。よろしくお願いいたします。   Mube

2014年12月29日月曜日

大町市と私の1年を振り返る

長野県大町市という響きに初めて触れてから9か月。
ゼミに入って右も左も分からなかった私にとって怒涛の1年でした。
大町と関わったことで本当に多くを勉強させてもらいましたし、
3度もお邪魔させていただいてすっかり大町を好きになりました。

大町市での宿泊先から撮影(2014年12月22日朝)















新しいことをやろうとするまちにそもそも正攻法などないかもしれませんが
文化政策の正攻法も知らないまま体当たりでやってきました。
外部の人間に何ができるのか、どこまでの権利があるのか、
文化にまちを変える力があるのか、問ばかりが積もりました。
何一つ確信を持っていないし、自分なりのこたえもありません。

大町冬期芸術大学を視察させていただきました。
文化の持つ力など眉唾物と思っていました。
しかしときめきが躍るのを目撃したように思います。
最終的に大町の皆さまが幸せであればそれでよいと思うのです。

そして何より大町のために奔走する市職員の方々と出会えて幸せです。
彼らのような人がいるのだから、大町はずっと輝いていると思います。

それでは皆さま良いお年を!

(risaia)

2014年12月19日金曜日

ポスターセッションに参加してきました

小林ゼミは、12月6・7日の土日に京都橘大学で開催された日本文化政策学会第8回年次研究大会のポスターセッションに参加し、私を含むゼミ生3名が現地に赴きました。

 
発表件数は19件あり、いずれも力作揃いでバラエティーに富んだテーマが並んでいました。私たちのテーマは「地域と大学の素敵な関係!?~協働の可能性と課題・長野県大町市を事例に~」で、計3枚のポスターを掲示しました。

7日の11:30から13:30の2時間がコアタイムと呼ばれる発表時間で、発表者たちは各ポスターの前で説明をしたり質問に答えたりしました(全体的に若い発表者が多く、我々3人の社会人学生は少し浮いている気がしないでもなかったような・・・)。

ポスターセッションは初めての経験でしたが、通常の学会発表とは違って、聴き手の方々と近い距離でざっくばらんにお話ができましたし、当事者である我々とは違った視点からの質問を受けることにより、多くの気づきを与えていただきました。
  
 
ただ、うちの場合は3枚ということで情報量が他のポスターより多かったため、なかなか隅々まで読んでいただくのは難しかったようです。時折、「全部を読む時間がないので、簡単に説明してもらえますか。」と頼まれることもありましたので、発表の仕方については、今後さらなる工夫が必要かと思います。

個人的には、ポスターセッションに臨むにあたって、これまでのゼミの取り組みを振り返り、先輩方により蓄積されてきた一連の資料に目を通したことで、大変勉強になり、自分の中の情報もだいぶ整理されました。

今回、ポスターを作成するにあたって頑張ってくださったM1の皆さん、本当にありがとうございました。
 
また、小林先生を初め、学会の運営や研究発表をされた先輩方も大変お疲れさまでした。

そして、当日、質問やコメントをくださった皆様に改めて感謝申し上げます。

                                                               (TK)

 

2014年12月17日水曜日

樋口一葉の通った伊勢屋質店、のこしたい

東京大学近くに、樋口一葉の通った「伊勢屋質店」があるのをご存知ですか。
私は割と最近になって知りました。そしてそこが取り壊されることを今朝知りました。
それはだめだ、という思いに突き動かされ、本日シンポに参加しました。

私はもともと、そこまで街並み保存に関心はありませんでした。
勿論、価値のあるものだから保存すべきだろうとは思ってきましたが、
だからといって特別何かを考えたり行動したりするほどではありませんでした。

大学院に入って、古い街並みを大事に思う友人たちに出会いました。
そうして初めて私は、これらの景色に、のこってほしいと思うようになりました。
これまで2年本郷に住んできて、街をさほど愛せなかった自分を恥ずかしく思いました。

今回、所有者と、関わっていた大学との間で交渉がうまくまとまらず、
それゆえ解体する選択に至ったそうなのです。
そんなものなのか?と思いました。
なんとかなったんじゃないか?って。
実際そういう意味では、希望は残っていると信じます。

国の登録有形文化財が、こんなに簡単に失われていいのでしょうか。
なんのための文化財制度なのでしょう。
もともと私自身文化財制度について勉強不足ではあったのですが、
この制度が必ずしも文化財を守ってくれない、という現実に、ただ愕然としました。

東京大学は、地元に目を向けているのでしょうか。
地元で、学問的な価値だけでなく古い時代の趣を今に伝える宝物が失われていく。
その現実を、手をこまねいて見ているだけの大学であるべきではないと思います。
さらにシンポジウムでは、こんなに質店の近くにあるにも関わらず、
買い取り先として東京大学の名前が挙がらなかったこともショックでした。

詳細は以下のURLをご覧ください。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014121702000137.html

事態は予想以上に切迫しています。
本郷でなにかしないと、と思った夜でした。

(risaia)

2014年12月16日火曜日

修士論文からの帰還

無事修士論文を提出したPugrinです。
ただいま小林ゼミ!

今週から本格的に復帰し21日からまた大町に伺う予定ですが、
先日行った展示について共有いたします。

日本科学未来館@お台場
チームラボ「踊る!アート展と 学ぶ!未来の遊園地」
http://odoru.team-lab.net/

チームラボは、プログラマやエンジニア、数学者、建築家、
CGアニメーター、Webデザイナー、グラフィックデザイナー、絵師、編集者など、
スペシャリストから構成されているウルトラテクノロジスト集団です。
アート・サイエンス・テクノロジーの境界線を曖昧にする活動をしており、
その集大成ともいえる14点が一堂に会したのがこの企画展です。

日本古来の空間構成を基にデジタル技術を結集し、
観る者が全身でその空間を体感する
「超主観空間」を創りだします。

光が踊れば、観る者も踊る。
光に埋め込まれた「文字」「意味」「過去」「未来」に触れること、
その戯れは学びを超える。

チームラボの創りだすデジタルアートは
アートと科学、学びと遊び、大人と子供といった概念の境界に橋をかけます。
そこから発せられるメッセージは「一緒に創ること」、「共創」です。

これはゼミでも、文化政策でも
今後もっとも大切にされていくことの一つなのではないでしょうか。
休みに入ってから、そして年度の終わりにかけての方が
小林ゼミの本番です。
今年の仲間と、今できる最高のパフォーマンスを、一緒に創っていきたいと思います。

お台場は遠いですが、日本科学未来館は国立の文化施設です。
企画展は3月まで開催されているので、よろしければぜひ行ってみてください。

2014年12月8日月曜日

“呪われた街”ウッチ訪問

師走になるとあちこちで『くるみ割り人形』の公演が開かれます。本日はポーランド第三の都市ウッチ(Łódź)でその一つを観てきました。ところがその数日前、ニュースで今年のとあるジャーナリズムの賞Michał Matys『呪われた街、ウッチ』(Łódź, miasto przeklęte)という記事に送られたことを知りました。私にとってウッチといえば、Andziej Wajda監督の『約束の土地』(原作はノーベル賞作家のWładyslaw Reymont)の舞台であり、19世紀に紡績業で栄え人々の欲望が交錯した多民族社会。また、ポーランド映画の黄金期を支えた監督の多くが学んだウッチ映画大学があるという認識。

記事には街が危機に瀕しているとありました。1989年に体制転換が起こった時、紡績業は自由市場の波に乗れなかった。そしてモノカルチャー経済からの有効な方向転換を果たせないまま衰退していく事態が、仮にも国で第三とされる都市(人口は2013年で71万)で今起きている。予想範囲内の内容でしたが、これがウッチ出身のジャーナリストという現場の人間から出てきた意見であり、また賞というかたちで評価されたこと自体が重要なのだと思います。「最大の問題は教育を受けた若年層が、ウッチから他の街に仕事を求めて流出していくことにある。残るのは教育を受ける機会に恵まれず、他に行き場所もなかった年配層である」という文章を読むのはいたたまれなかったです。

そうしてウッチに対するイメージをこれでもかと悪くして現地へ行きましたが、まずここには旧市街も中心となる広場も存在しないという、ヨーロッパの都市のあり方に照らしてみれば驚くべき事実が発覚。ちなみに今日はカトヴィツェというかつて炭鉱業で栄え、やはり衰退した街から来た方と街を回りましたが、そこにも旧市街や広場はないとのことです。何だか“中心地”がないこととその街の盛衰はどこかで関係があるのじゃないかと適当な推測をしてしまいました。

 
右の写真はメインストリートのulica Piotrkowskaです。多くの店が閉まる日曜だということを考慮しても、この閑散ぶりは首をかしげざるを得ない(一日中霧という天気も大いに影響しているはず)。これでも数年前のシャッター街状態よりは改善しているそうです。おそらく皆は街のランドマークであるマヌファクトゥーラ(Manufaktura)に行っているのだろうという予想は的中。2007年に18世紀の工場跡地を改装するかたちで開業したこの施設には四つ星ホテル、映画館、現代美術館(ポーランドの作品を中心になかなか面白いコレクション)、工場の歴史を紹介する博物館、スポーツジム、各国料理のレストラン街にホームセンターと、まさにここだけで一つの街が形成されていました。クリスマス商戦期間ということもありますが、周辺地域に暮らしているのであろう人々がここに集結する様は、イオンモールで時間を過ごす日本の地方都市住民のポーランド版を思わせました。ただし“集結場所”であるマヌファクトゥーラの一歩外に出れば、なぜか街灯が十分にない真っ暗な街が広がっているので、両者の差は日本のそれよりも鮮明です。元々が工場なので外装は横浜赤レンガ倉庫と似ていますが、倉庫どころか工場をまるまる一つ扱ったわけで、規模が桁違い。逆に言えばこれだけ広い跡地が長らく荒れるにまかされていたわけで、元工場長のMieczysław Michalskiが何とかして事態を打開したかったのも頷けます。改装費は25千万ユーロ、フランスの基金がロスチャイルドの団体と組んで出資したそうです。つまりこれはあくまで工場主を中心とした活動であり、地域住民が何らかの形で入り込めるような規模ではなかったのだと予想します。そして改装が工場跡地の整備を主目的としており、周辺地域の環境整備には手が回わらなかったのだろうということも。

ポーランド歴が長い方に聞けば、現在ウッチは映画とデザイン、現代美術の街として売り出そうとしているようです(ちなみにロケ地としてではなく、映画製作を学びたい人を集めたいようですが、映画大学生時代のロマン・ポランスキーが今なおヒョイと出てきそうなほど“昔の映画の路地“がたくさんあります)。個人的にはマヌファクトゥーラ開業から7年も経ってなお、ランドマークができた影響が波及せず、周辺の変化が小さいのはなぜか気になります。またこの街には複数の大学が存在し、つまりは(記事の内容とは逆ですが)流入してくる若年層も確実にいるはずなのに。今回は訪問する機会を逃しましたが、マヌファクトゥーラから数キロの場所にはOff Piotrkowskaという、これまた工場跡を利用したデザイナーギャラリーやカフェ、クラブが集まった施設があるそうです。もしかしたらこここそ注目すべき場所なのかもしれません。
ただ、最も気になるのは変化のための資金がない以上に、人々の中に「お上が何かをしてくれるのを待っている」精神があるらしいことです。これは私がウッチのみならずポーランド全体に対してぼんやりと抱いている印象論にすぎません。九月にエアランゲンに行ったことを思えば、隣同士の国でもずいぶん違うなと思わざるを得ませんが、住民の意見で実際に地域を変えられるという現象自体が新しい(=馴染みのない)とすれば、この精神性にはなかなか根深い経緯があるのではとこれまた適当な予想。現に同じく九月に訪問したヴロツワフ(Wrocław)は非常に元気のある街だと思いましたし、これらの地域に関する事例を私が十分に資料を読めないことが最大の問題です。
(N.N.)

第1回地域プロジェクトのしくみ研究会(小金井市)の報告


なんとか先週に修士論文を提出してきたM2のtantakaです。
昨日は、小金井市で行われた「地域プロジェクトのしくみ研究会」に参加してきました。
先日、このブログでもご案内したトークイベントです。

小金井アートフル・アクション!にインターンとして携わる2人がいくつかの事例を紹介し、その後のディスカッションで、発表者と参加者がいっしょになって、それぞれのプロジェクトの背景や運営方法、プロジェクトを行う理由などについて議論しました。






1人目が紹介した事例は、香川県高松市で行われている「芸術士」という取り組みについてでした。
詳細についてはHPを見ていただければと思いますが、市民有志による勉強会から出た企画が市で事業化されたそうで、「芸術士」と呼ばれる芸術家たちが、それぞれに分担して、市内の保育所や幼稚園で、週に1回表現活動を子どもたちと一緒に行う事業だそうです。
この事業は、イタリアの「レッジョ・エミリア・アプローチ」という幼児教育の考え方を参考にしているそうで、子どもと社会をつなぐきっかけとなることを期待されているとのことでした。

2人目が紹介した事例は、北欧、イギリス、アメリカで行われているアーツ×教育、アーツ×地域活性、アーツ×医療・福祉の取り組みについてでした。
多様な事例をたくさん紹介してくださいましたが、その中で印象に残っているものを2つだけ。
一つ目は、イギリスのロンドンで行われている「Meanwhile Space」という取り組みです。
これは、空き家や空き店舗となったスペースを1週間単位で借りて使うことができるというプロジェクトで、日本でも似たようなプロジェクトは見られるように思います。
ここでは、事業を動かしているのはMeanwhile Spaceという私企業で、仲介役のような形で、レンタルする人を募ったりするためのHPの運営などを担っているようです。
空きスペースは、アーティストや学生などが借り、作品の発表展示の場として使ったりしているとのことでした。
もう一つはニューヨーク近代美術館で行われている「Meet Me」というプロジェクトです。
アルツハイマー患者とそのケアをする人を対象として、月に一回美術館の営業時間外に作品に触れ、ディスカッションをするプロジェクトだとそうです。
私財団によって事業は成り立っているということでした。

このような様々な事例をもとに、参加したみんなでディスカッションをしました。
プロジェクトの進行には、運営する側のモチベーションによって大きく左右されるのではとか、という意見や、芸術文化をツールとして使うのか、それとも芸術文化自体を目的とするのか、といった意見が出ていました。
発表にあった事例は、抱える課題を解決するために行われたプロジェクトが多かったのですが、小金井市においては、危機に瀕しているような問題が見えてこない中で、何のためにプロジェクトを行うか、といった意見も上がり、印象に残っています。

今回研究会に参加して、私が一番に感じたことは、議論が途絶えず、こんなにも地域に向き合っている市民がいるものかということでした。これは、小金井アートフル・アクション!のプロジェクトやミーティングに参加するといつも感じることでもあるのですが、こうやって地域に向き合う人が徐々に増えて行くことで、小金井でしか起こり得ない動きが生まれるのだと確信を持ちました。
内容について言えば、運営側の目的や方向性の共有、役割分担がプロジェクトを動かす要素なのかなということです。
ただ、ディスカッションの時間が短かったのか、今回の主題であるプロジェクトの仕組みだとかについては、あまり深く議論することができなかったのは、少し残念な点でもあります。
市内では他の様々な取り組みがあるようですが、このような取り組みを「点」であるとするなら、おそれをつなぎ、面での取り組みとできるような提案のきっかけになるのではと思っています。

今後も3月までにあと3回の研究会が行われます。
ちなみに、この研究会は市民スタッフの方が企画から運営までを行っていますが、これこそが小金井市らしい仕組みだと私は思っています。
予定では、 次回第2回目は美術館に関することを扱うとのことです。また第3回目には、私も発表者として登場する予定です。
その際にはまたこのブログでご案内します。回数を重ねるごとに議論も深まるのではと思うので、ぜひ多くの方に参加していただきたいと思います。

また、大町市での取り組みだけではなく、小金井アートフル・アクション!にも注目していただければ幸いです。

2014年12月2日火曜日

公開研究会(ゆめたろうプラザとの協働の取り組み)の感想

 M1のAlです。
 先週のゼミで、武豊町にあるゆめたろうプラザ(武豊町民会館)の設立について、運営しているNPOの方に話を聞かせていただきました。


 ゆめたろうプラザの設立当初から住民の意見を取り入れて、設立の構想段階から、運営まで住民参加という形を取り入れられている珍しい事例です。 
 話によると、その会館を運営している、住民を中心に組織されたNPOたけとよは幅広い事業を取り入れています。会館のホールで定期的に各ジャンル(クラシック、ジャズ、ポップスなど)のコンサートを行うだけでなく、ダンス・伝統芸能などのパフォーマンスも開催しています。そして、子ども向けのアート系のアウトリーチ、関連ワークショップもやったり、科学系の体験教室も開催したりしています。NPOの方々の話を聞いて、住民主役の文化施設として設立されたゆめたろうプラザがまさに住民の要望に即して、町民会館の目標に掲げているように「子ども・若者が育つ文化空間」になれたなと思いました。
 住民参画による市民会館の運営についてですが、台湾でも似たような事例を思い出しました。それは、「白米下駄村(白米木屐村)」という文化施設の設立です。台湾の宜蘭県(台湾北東部)にある白米村は、かつて炭鉱業が発達したため、自然環境が悪化しました。汚染された住居地域を改善するため、住民たちによる市民団体「白米地域発展協会(白米社區發展協會)」は、環境の改善に力を入れるようになりました。その動きは行政側から肯定を得て、政府の支援を得られるようになりました。それから、行政のまちづくり政策の一環として、白米地域発展協会はまちづくり振興の主体となり、まちづくりに努力するようになりました。住民たちの希望で昔ながらの下駄産業をテーマに、文化産業を中心としたまちづくりを進めていきました。そういう経緯で「白米下駄村」という文化施設が誕生しました。「白米下駄村」の目標は下駄を工芸品の一種に転換し、下駄の制作過程を体験することによって、住民・観光客に白米村の歴史的な・文化的・芸術的な価値を伝えようとしたのです。現在、住民団体の運営によって、「白米下駄村」は地域の活性化の役割を果たしています。
 しかし、こういう事例は実は台湾ではまだ少ないと言えます。台湾の文化施設の運営は「行政と民間の協働を取り入れられようになりましたが、やはり政府が主導的な立場に立って、部分的な業務を民間企業、市民団体に委託することが大半です。しかし、そういう形で建てられた文化施設は住民の要望に応えられなく、「ただの箱」になってしまった例も少なくないです。以上の二つの成功の事例を考えたら、改めて地域事業は住民参画が大事だと実感しました。


2014年11月28日金曜日

武豊町民会館(ゆめたろうプラザ)とNPOたけとよの事例

先日,ゼミに遠くからお客様がいらっしゃいました。
愛知県の武豊町から、NPOたけとよの方が、武豊町民会館(ゆめたろうプラザ)とNPOの活動についてお話しました。

正直言って、前回のゼミで、「NHKクローズアップ現代」の番組をみて、初めて「武豊町」という地名を聞きました。日本に来て3年目、愛知県に対してのイメージも、モリゾーとキッコロにとどまっていますOrz...

その方々から、武豊町が知多半島にあって、ミズカンの本社がある半田市から近い、また名古屋のベッドタウンという性格をもっているという紹介を聞いたら、なんとなく地理的位置が分かりました。
1998に町民会館の建設の話を出した「第4次武豊町総合計画」から、2004年、会館の開館まで、住民が参加していることが特徴で、「NHKクローズアップ現代」もこれに注目して、取材していました。行政から、「箱」をポッツンとおいてて、そして、住民に「使ってください」というのが、おそらく、70-80年代、地方文化施設の建設ブームからの思想です。こういう施設が、「できちゃった施設」と言い、なんだか、すでに「しょうがない」、どこか「諦めて受け入れるしかない」という使い手からのため息の声が聞こえようです。最初の設計者の選択から、建設設計の検討、また後ほどの運営に、住民の意見を取り入れるだけではなく、「主役」として任せられてて、しかも、事業などが賑わってて、集客面も財政面も成功しているのが、とても珍しい事例だと思います。

NPOたけとよの方から、意見を出し合うワークショップが「とにかく大変だった」とおっしゃっていました。しかし、武豊町民会館の住民中心としての仕組みの成功は、行政側のサポートと理解という点で恵まれていることが大きいと言えるでしょう。

ちょうど,来月から、『みんなのアムステルダム国立美術館へ(The New Rijksmuseum)』というドキュメンタリー映画が上映されます。ストーリーはすこし似たような感じがします。1994年に、一回閉館したアムステルダム国立美術館のリニューアルにまつわって、アムステルダム美術館の館長、学芸員、建築家、市民の間が揉めていたらしくて、建物の入り口を、建築家のファンシーなものにするか、それとも、市民たち日常生活にとって、重要な自転車の通路にするか、美術館側はかなり頭を抱えていました。去年、予定より大幅遅れていて、美術館がやっとグランドオペンできました。この映画はこの過程を記録したものです。こういう住民・市民が大きく声が上げられ、そして施策やハードインフラ建設に影響が与えられるのは、日本とオランダが共通している、「デモクラシー」が欠かせない時代の流れからこそかもしれません。こういう背景の下で、行政と住民・市民はもはや対立としていられないと思います。ミュージアムやホールの「公共性」は、多様なセクターのパートナーシップから成り立て始めているし、施設が縦および横の「つながり」を要求し、さらに増強していると気がします。言い換えれば、こういうミュージアム・ホールがあったこそ、市民と行政、また企業、建築家、芸術家などが集まれ、お互いのことを理解しようと努力して、一緒に考えて、悩んで、そして楽しめる「場」ができました。こうして、文化施設も「はこもの」から「みんな」のものへ生まれ変わります。

最後に、映画の宣伝です。
http://amsmuseum.jp
武豊町もいつか行きたいですのー
(Mengfei)

SNSの広報とは

M1のRaeです。
広報のあり方について考えています。
実は、自分がSNSでの広報の役割を認識していないのではないかという、不安を感じているのです。


Raeは広報班のFacebook担当となっているのですが、観光協会のページやブログの書き方を手本にしてなるべく自分の気持ちを表す言葉や絵文字をふんだんに使うようにしています(しばらく自身が更新していなかったので偉そうには言えないのですが)。そして、広報の役割として毎日更新しなければならないと思ってきました。もしかしたら、毎日更新していることなど誰も気にしないかもしれません。しかし、ちょっと興味がある方が調べてそのページが毎日更新されていたら、勢いのある良い企画ではないかと思ってもらえると思うのです。

ただし、「更新」=単純作業、で内実の伴わないものや感想だけを更新することはしたくない。
…と思いつつ、どうすればそれが実現できるのか目下悩み中です。

例えば、私は自分がある団体にいいね!をして読み手となった場合、あまり主観的な文章が続くといいね!を外します。勿論固すぎる文章が並ぶFacebookページも無意味だと思いますが、あるFacebookページの大半の投稿に興味がなくてもその中に面白そうなものがたまに飛び込んでくるから見るのです。
Facebookのようにフロー状態の情報が毎秒のように更新されていく状況においては尚更、読み手の頭の中で一瞬のうちに取捨選択をしているのではないでしょうか(自分がフォローするFacebookページは、お知らせ➕書き手の気持ち➕写真や動画があって初めて目を通す気がします)。バランスを取るのが難しい。
バランスと言えば、上にも述べたとおり、私は毎日一度はFacebookが更新されていなければいけないと思っています。しかし、他の方による大事な情報の投稿があった日はそれをone of manyとして流したくないと思っているので、投稿しないようにしようと思っています。

個人ページの投稿はある意味自己満足の部分があるので良いのですがFacebookページとなると見てもらわなければいけません。しかも、そこから企画に惹きつけなければいけないわけです。昨日の協働ではないですが、広報班としても私個人としても記録やニュースレターとの連携をすれば解決策になるのではないかと考えています。しかし、どう連携すればいいのか頭の中で整理がつきません。時間が過ぎていくのに、上手い解決法を導き出せません。そこで、このままFacebookを無為に更新し続けていくのではないかと思うと急に怖くなったのです。

勿論これからも更新を続けていくつもりです。しかし、SNSでどうすれば見てもらえる、しかも中身が詰まった広報になるのでしょうか?今はとりあえず、お手本になるようなページを見つけられたらいいと思ってはいるのですが、それも上手くいっていません。
SNSでの広報は簡単だと思っていたのですが、それは甘かった。難しいです、本当に。

2014年11月27日木曜日

小金井でのトークイベントのご案内

M2のtantakaです。
実は、修士論文提出直前なのですが、トークイベントのご案内です。

というのも、現在小林ゼミでは、大町市の文化資源活用ビジョン策定に向けて、慌ただしく動いていますが、
以前2006年度から2008年度まで小金井市における芸術文化振興に関する条例と計画の策定に携わっていました。
(その後も小林ゼミは、2012年度まで小金井市での取り組みに携わりました)

現在、小金井市では、芸術文化振興計画推進事業として「小金井アートフル・アクション!」を実施しています。
計画では、市民が計画の推進主体となると掲げられ、6年目の現在、NPOアートフル・アクションが事業の実施を担っています。
その「小金井アートフル・アクション!」の事業として、来る12月7日にトークイベントが行われます。

以下紹介文は、NPOアートフル・アクションのHPの転載です。
ご興味のある方は、ぜひご参加下さい。

●━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 

地域プロジェクトのしくみ研究会 
~アートプロジェクトを通して「つながりのしくみ」の可能性を考える~ 

近年盛んに行われている「地域アートプロジェクト」。その概要は、インターネットで検索すれば簡単に知ることができます。しかし、「その地域で、その時期に、なぜ、そのようなプロジェクトが実施されることになったのか」「どういう枠組みで、誰が、何のために、どういう形でそのプロジェクトの運営を担っていたのか」という背景こそが、その地域ならではのプロジェクトを成り立たせる重要な要素であり、背景の仕組みを知り、学ぶことで、多くのことを得ることができます。 

この研究会では、12月~3月の期間に、4つのトークセッションを行います。施設や団体の連携や協働に留まらず、人をつなぐこと、アイデアをつなぐことも協働や連携ととらえ、公共施設の相互関係、公共的なアートプログラムの新しいあり方を見据えつつ、より創造的な活動に発展させるための連携や協働の可能性を探ります。 

参加者の皆さんと一緒に、アートプロジェクト運営への理解を深め、どうしたらより創造的になるのか、これからの可能性を考える、可能性の発見?実践型の新しい形のトークイベントです。様々な事例に触れながら、「小金井では何ができる?どんな仕組みが必要?」など考え提案しあえる機会になればと思います。 

【第一回】 

日時:2014年12月7日(日) 14時~17時 
場所:小金井市民交流センタースペースN 
定員:20名 
お申込み・お問い合わせ:NPO法人アートフル・アクション 
メール:mail@artfullaction.net 
電話:050-3627-9531(平日10時~17時) 
申込締切:2014年12月6日(土) 
※お預かりした個人情報は厳重に管理し、本事業の運営およびご案内にのみ使用します。 

内容: 
第1部「 北欧とイギリスのアートが生まれるしくみ/育つしくみ!-Fantasy design in community-」
第2部「国内事例:「アートを通じて子どもと社会を繋ぐ」NPOの取り組みについて~つなげる/つながるしくみについて考える」
第3部 参加者によるディスカッション
北欧やイギリスで生まれる数々の " 地域コミュニティと積極的に関わっていくタイプ ” のアートプロジェクト。私たちの周りでも、いろいろな試みが行われるようになってきていま

今回のトークイベントでは、
1)ロンドン留学や北欧旅行で自ら経験したユニークなアートプロジェクトのひとつ、北欧の "こどもが企画・進行する" 「Fantasy Design in Communication」というプロジェクト
2)香川県で行われている、アートを通じて保育園と社会をつなぐ取り組みについて
の2つの事例を取り上げ、最終的に「アートによって小金井で生み出すことのできる価値とは?」をテーマに参加者と語り合いたいと思います。

事例発表者: 
1)田辺エリ:ロンドン芸術大学に大学院留学の体験を持つ。現在はNPOアートフル・アクションの活動に、インターンとして楽しみながら関わっている。 
2)四方田七穂:武蔵野美術大学芸術文化学科在学中。NPOアートフル・アクションインターン。 


主催:東京都、東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東京都歴史文化財団)、小金井市、NPO法人アートフル・アクション

11月26日の小林ゼミ公開研究会の報告

11月26日のゼミは公開研究会という形で外部の聴講者の方もいらっしゃった中、
愛知県武豊町のゆめたろうプラザで活動するNPOたけとよの方々に来ていただき、ゆめたろうプラザの建設と運営への住民参加についてお話を伺うことができました。

元の公民館の設備が不十分であったために現在のゆめたろうプラザの計画が始まったそうですが、文化ホールがどうあるべきかについて考えがあり意見表明の機会を待ちわびていた住民が居たこと、そのような住民がホールの建設過程に参加できたことが、きちんと活用されるホールの実現に大きな役割を果たしたとのことでした。

それは一見当たり前のように感じてしまいますが、その当たり前(に見えること)を実現する難しさというのも、説明やその後の質疑応答の過程で感じました。

当事者意識を持つ有償・無償のボランティアの存在を前提とした文化ホールの建設・運営への住民参加は、成功や継続性の保障がないだけに行政の側も実施にあたって少なからぬ逡巡があったと想像します。それだけに、指定管理者制度の導入でせっかくの成功を覆すようなことは、やはり勿体ないなと思いました。

これだけでは感想文になってしまうので、NPOたけとよの持続の観点でもう一つ、私が個人的に気になった点を取り上げておきます。それはホールの運営参加および利用の世代間の偏りです。

名古屋のベッドタウンで立地産業もあり、過疎化とは縁の無い武豊町にあっても、NPOたけとよの構成員は50代以上が3分の2を占めているそうです。
また、そこで行われているプログラムについても、高校生までと比較的高齢の世代の2極が対象になっているのかなという印象を持ちました。
現在はNPOたけとよは比較的順調に運営されているようですが、世代間交流や新たな参加者の加入が実現し、可処分時間や所得など世代による事情の違いを克服することで、今後も継続して時代の要望に応えた文化ホールの運営が実現できるのかなと思います。

個人的には世代間の置かれた状況や嗜好の違い、都市と地方での世代の分布の偏りというのは
今後の文化に関する産業や政策を考える上で不可欠の論点だと思うのですが、世間であまり話題にならないのは何故でしょうか。(K.S.)


2014年11月26日水曜日

今日の感想


東京は雨模様で、寒さもひとしお…一気に冬に駆け込んでいるようです⤵ 長野北部もお寒いそうですね。
冬期芸術大学は開校式が終わり、とうとう始動しました☀ゼミも気合いが入ってきています。
今日の小林ゼミには、愛知県武豊町のゆめたろうぷらざの方たちがいらして、お話してくださいました。ゆめたろうぷらざは町民の手で立ち上げた芸術文化施設です。
私個人的には、ここまで町民の手だけで出来るのかということに、純粋に驚きを禁じ得ませんでした。そして、有名な公立劇場ですら中々実現できずに苦労している他県の文化芸術施設との協働、を行って若手や無名演奏家のコンサートを行っている話が特に気に入りました。

他のゼミ生の感想も楽しみです❗

追: 最近気づきましたが、私は協働という言葉に弱いです。

Rae

2014年11月25日火曜日

大町市、文化資源活用ビジョン策定にむけた先週末の動き

先日、大町市を訪問しましたのでご報告です。
22日ちょうど研究室の参加学生たちを乗せたバスが新宿に着いた頃ですが、長野北部でかなり大きな地震がありました。大町市も大きい揺れに遭われたと思います。
一日も早くみなさまが平穏な日々に戻られることを心よりお祈りします。

この金曜・土曜(21日・22日)は、大町市は盛りだくさんで、「文化資源活用ビジョン」の策定委員会と、先日ブログでもお伝えしました市民文化会議、冬期芸術大学開講式がありました。
今回は、先生と、M1の社会人学生の方々3名と私の、やや年寄りメンバー(先生のお言葉です笑)でお邪魔してきました。大町市の文化・芸術や文化資源について考えている方が一堂に会するものすごい2日間であったなと、東京に帰ってきてあらためて感じています。思えば、自分は町の方とまともにお話をするのはこれが初めてでした。

策定委員では、文化・芸術関係者の方のあつい思いや意気込み、市民文化会議でもたくさんの方の考えを聞くことができました。後者のワークショップに参加される人数は、前日には、10人から400人と全く予想がつかないと話をしていましたが、50名近くもの多くの方がいらっしゃって大盛況でした!参加者の方からきかれた、大町市の文化資源に関して、「市」で抱えている問題に対してみんなで話し合うことに対して、「ようやくこのような段階にきた」とか、「ずっと待っていた」という言葉が印象的でした。

市民文化会議、残すところ後2回ですが、内容は毎回バージョンアップの予定です。

これから、計画の策定と、ビジョンに描かれる像の実現にむけて、思いがどのように形になっていくのかが楽しみです。

写真は、上から市役所からの風景と、エネルギー博物館。(haruko)

2014年11月20日木曜日

公開研究会(第2弾)を開催します。

公開研究会の第2弾を開催します。
今回お呼びするのは、武豊町民会館(ゆめたろうプラザ)の運営をされているNPOの事務局長の高橋洋子さんと、副理事長の高木正博さんです。

武豊町民会館は、かつてクローズアップ現代においても、市民参加型のワークショップを行いながら建設をして、運営にまでその市民の人たちが関わるということが紹介されました。その後それがどうなっているのかというところを学びたいと思います。
これまでに、公立文化施設は、直営か財団かという選択肢が普通だったかと思います。NPOが運営に係わることによって、どのような可能性が拓けるのか、困難な点はどのようなことがあるのか、そんなことをお聞きできればと思っています。
研究会は公開ですが、会場の都合上、事前にお申し込みください。

11月26日(水) 14:50〜16:30
場所:東京大学本郷キャンパス内(お申し込みいただいた方にご連絡いたします)
会場の都合上、事前のご参加申込みをお願いします(締めきり11月25日)
marisemi.blog@gmail.com(@がスパムメール対策で全角になっていますので、半角に変換の上ご連絡ください)

なお、本研究会は、科学研究費基盤研究(B)「地域文化政策領域における『新しい公共 』の担い手と環境整備」の一環で行います。

(小林真理)

2014年11月19日水曜日

総合芸術の力!

M1のRaeです。
現在とあるオペラ公演に関わっていて、劇場に入る「小屋入り」初日を明日に控えています。朝9:00から夜10:00まで劇場で過ごすことになりますので…じゃあいつ書くの?→略。ということで今書きます。

オペラとは総合芸術。これは当たり前のこととして言われていますね。なぜなら、音楽、美術、ファッション(衣装)、舞踊。全ての要素が詰まっているからです。オペラを作るには音楽スタッフ、照明スタッフ、美術スタッフ、衣装スタッフ、大道具・小道具スタッフ…その他色々な要素のスタッフが集まって決めて行かなくてはなりません。スタッフ会議の時や練習の時にあーだこーだ言いながら一つの作品を作り上げていくわけで、初めて会うスタッフさん達と一つの作品をつくり上げるその一体感は何者にも代えられませんし、不思議な高揚感です。特に、舞台(パフォーミングアーツ)はナマモノで、今の時代いくらアーカイブで後ほど鑑賞できるからとは言っても、やはり刹那的な芸術だと思います。
だからこそ美しい。(偉そうですが)無駄だとおもえるものにこそ美があるというのは私の持論です。文化=無駄と考える人が多いというのは「文化=刹那的なものである確率が高い」という構図なのではないか、というRae仮説に基づくと文化=刹那=いずれ消える=美という公式が出来るのです。

大町市冬期芸術大学について語る前に、私が素晴らしい!と思った例を紹介します。
以前東京芸大のオペラアーツマネジメント事業に参加して知ったのですが、八王子では昨年から学園都市ふれあい文化財団が主催でオペラ公演をやっています。↓↓↓
http://www.hachiojibunka.or.jp/minami/event/detail.php?id=e_3031e8c7
市民オペラなんて山ほどある、と思われるかもしれませんがこの表を見て下さい。(同HPから引用掲載)



音楽監督

村上 敏明 (藤原歌劇団団員)

演出

馬場 紀雄 (オペラ演出家)

コレペティ

江澤 隆行(日本大学藝術学部非常勤講師)

演技指導・バレエ振付・指導

高宮 由利子 Yuriko Dance Arts主宰)

舞台監督

井上 裕二(有限会社マスタープラン代表取締役)

字幕

舞台字幕/映像 まくうち

 衣装製作協力

東京家政学院大学 生活デザイン科

 ヘアメイク協力

山野美容芸術短期大学 専攻科芸術専攻 

撮影

東京工科大学 メディア学部 intebro

協力

八王子市立上柚木小学校 

 制作

公益財団法人八王子市学園都市文化ふれあい財団 
これは次回公演「ラ・ボエーム」のスタッフ構成なのですが、なにがすごいかというと、地元の専門大学や地域団体の力を結集して作品を作り上げているのです。昨年の「椿姫」の時には声がけも苦労されたようですが、成功をおさめたため今年以降も続けていきたいと思っているようです。そして私はこれこそ総合芸術の力だなあ、と思います。


 私は、小林ゼミで良く出る宿題、企画立案で去年からしつこくオペラをやりたいと言ってきました。それは、オペラが総合芸術だからです。総合芸術の力は、単独よりもずっと強いと思います。(全く違う研究分野の人と知り合うことで刺激が与えられて、気がつかないうちに自らの研究も影響されているのと同じような。)

小林ゼミと大町市は、今秋から本格的に大町市冬期芸術大学に向けて出発していますがその冬期芸術大学ではパフォーマンス、ファッション、空間芸術、アーツマネジメントコースに分かれて一つのパフォーミングアーツを作り上げる予定です(Rae予想では初年度なら18%×4=95%くらいの力ですかね)。

実を言えば、何が始まるか全く把握していなかった半年前、大町市の行政に関わることは怖いし「無駄」なのではないかと思っていました。

大町市に、別に八王子の例を真似して下さいといっているわけではありませんし、元々専門大学が多いことを活かしている上に大都市東京近くにある八王子の真似をしても崩壊するだけだと思います。しかし「総合芸術」をこれから100年200年作っていくということに向かって舵を切った大町市は、「意外と」面白くなるのではないかと思った(ている)のです。
面白がっているだけでは何も進まないかもしれませんが、面白いところには人が集まります。人が集まると、あれやこれやでどんどん面白いものができてきます。殆ど全くといって良いほど違う分野の人が集まる総合芸術においてなら、尚更。更に言えば、刹那の芸術・パフォーミングアーツにつきものの一定の緊張感は、至上のスパイスです。受講者の皆さんにおかれては、既にそれを経験している方だけでなく、初めて総合芸術を作る(あるいは触れる)方にこそその醍醐味を味わって欲しいと思います。

それでは小屋入り行ってきます!

らえ

2014年11月18日火曜日

伊藤キムさん


先日、ゼミにゲストとしてお迎えした、振付家・ダンサーの伊藤キムさん。

Pugrinさんの紹介にもあったように、大町冬期芸術大学の講師を務めていただく方です。
 

 

事前に写真を拝見しただけでも、かなりインパクトのある方だなと思っていて、実際にお会いしたらどんな感じなんだろうと、ゼミ当日はうっすら緊張?してしまいました。 

実際のキムさんは、思いのほか物腰の柔らかい語り口で私たちにお話くださいましたが、映像で見せていただいたキムさんの活動は、やはりというか、全て私の想像を超えた、かなりぶっ飛んだものでした。 

「アーティストは人々に不安を与え、日常を揺らす存在」というキムさんのコメントが印象に残っていますが、まさにそれを地で行なっています。映像を見ているだけでも、私は不安になり、一時的に日常を揺らされました。 

私はダンス未経験ですし、これまでまともに鑑賞することもなく生きてきましたが、キムさんの映像を見ていて、ダンス一つでこんなにも人は変わるものなのかと純粋に驚いてしまいました。

大町冬期芸術大学の受講生の方々には、理屈抜きでキムさんの世界にどっぷり浸かっていただきたいと思います。
 

                                                    (TK)