2014年11月28日金曜日

武豊町民会館(ゆめたろうプラザ)とNPOたけとよの事例

先日,ゼミに遠くからお客様がいらっしゃいました。
愛知県の武豊町から、NPOたけとよの方が、武豊町民会館(ゆめたろうプラザ)とNPOの活動についてお話しました。

正直言って、前回のゼミで、「NHKクローズアップ現代」の番組をみて、初めて「武豊町」という地名を聞きました。日本に来て3年目、愛知県に対してのイメージも、モリゾーとキッコロにとどまっていますOrz...

その方々から、武豊町が知多半島にあって、ミズカンの本社がある半田市から近い、また名古屋のベッドタウンという性格をもっているという紹介を聞いたら、なんとなく地理的位置が分かりました。
1998に町民会館の建設の話を出した「第4次武豊町総合計画」から、2004年、会館の開館まで、住民が参加していることが特徴で、「NHKクローズアップ現代」もこれに注目して、取材していました。行政から、「箱」をポッツンとおいてて、そして、住民に「使ってください」というのが、おそらく、70-80年代、地方文化施設の建設ブームからの思想です。こういう施設が、「できちゃった施設」と言い、なんだか、すでに「しょうがない」、どこか「諦めて受け入れるしかない」という使い手からのため息の声が聞こえようです。最初の設計者の選択から、建設設計の検討、また後ほどの運営に、住民の意見を取り入れるだけではなく、「主役」として任せられてて、しかも、事業などが賑わってて、集客面も財政面も成功しているのが、とても珍しい事例だと思います。

NPOたけとよの方から、意見を出し合うワークショップが「とにかく大変だった」とおっしゃっていました。しかし、武豊町民会館の住民中心としての仕組みの成功は、行政側のサポートと理解という点で恵まれていることが大きいと言えるでしょう。

ちょうど,来月から、『みんなのアムステルダム国立美術館へ(The New Rijksmuseum)』というドキュメンタリー映画が上映されます。ストーリーはすこし似たような感じがします。1994年に、一回閉館したアムステルダム国立美術館のリニューアルにまつわって、アムステルダム美術館の館長、学芸員、建築家、市民の間が揉めていたらしくて、建物の入り口を、建築家のファンシーなものにするか、それとも、市民たち日常生活にとって、重要な自転車の通路にするか、美術館側はかなり頭を抱えていました。去年、予定より大幅遅れていて、美術館がやっとグランドオペンできました。この映画はこの過程を記録したものです。こういう住民・市民が大きく声が上げられ、そして施策やハードインフラ建設に影響が与えられるのは、日本とオランダが共通している、「デモクラシー」が欠かせない時代の流れからこそかもしれません。こういう背景の下で、行政と住民・市民はもはや対立としていられないと思います。ミュージアムやホールの「公共性」は、多様なセクターのパートナーシップから成り立て始めているし、施設が縦および横の「つながり」を要求し、さらに増強していると気がします。言い換えれば、こういうミュージアム・ホールがあったこそ、市民と行政、また企業、建築家、芸術家などが集まれ、お互いのことを理解しようと努力して、一緒に考えて、悩んで、そして楽しめる「場」ができました。こうして、文化施設も「はこもの」から「みんな」のものへ生まれ変わります。

最後に、映画の宣伝です。
http://amsmuseum.jp
武豊町もいつか行きたいですのー
(Mengfei)

SNSの広報とは

M1のRaeです。
広報のあり方について考えています。
実は、自分がSNSでの広報の役割を認識していないのではないかという、不安を感じているのです。


Raeは広報班のFacebook担当となっているのですが、観光協会のページやブログの書き方を手本にしてなるべく自分の気持ちを表す言葉や絵文字をふんだんに使うようにしています(しばらく自身が更新していなかったので偉そうには言えないのですが)。そして、広報の役割として毎日更新しなければならないと思ってきました。もしかしたら、毎日更新していることなど誰も気にしないかもしれません。しかし、ちょっと興味がある方が調べてそのページが毎日更新されていたら、勢いのある良い企画ではないかと思ってもらえると思うのです。

ただし、「更新」=単純作業、で内実の伴わないものや感想だけを更新することはしたくない。
…と思いつつ、どうすればそれが実現できるのか目下悩み中です。

例えば、私は自分がある団体にいいね!をして読み手となった場合、あまり主観的な文章が続くといいね!を外します。勿論固すぎる文章が並ぶFacebookページも無意味だと思いますが、あるFacebookページの大半の投稿に興味がなくてもその中に面白そうなものがたまに飛び込んでくるから見るのです。
Facebookのようにフロー状態の情報が毎秒のように更新されていく状況においては尚更、読み手の頭の中で一瞬のうちに取捨選択をしているのではないでしょうか(自分がフォローするFacebookページは、お知らせ➕書き手の気持ち➕写真や動画があって初めて目を通す気がします)。バランスを取るのが難しい。
バランスと言えば、上にも述べたとおり、私は毎日一度はFacebookが更新されていなければいけないと思っています。しかし、他の方による大事な情報の投稿があった日はそれをone of manyとして流したくないと思っているので、投稿しないようにしようと思っています。

個人ページの投稿はある意味自己満足の部分があるので良いのですがFacebookページとなると見てもらわなければいけません。しかも、そこから企画に惹きつけなければいけないわけです。昨日の協働ではないですが、広報班としても私個人としても記録やニュースレターとの連携をすれば解決策になるのではないかと考えています。しかし、どう連携すればいいのか頭の中で整理がつきません。時間が過ぎていくのに、上手い解決法を導き出せません。そこで、このままFacebookを無為に更新し続けていくのではないかと思うと急に怖くなったのです。

勿論これからも更新を続けていくつもりです。しかし、SNSでどうすれば見てもらえる、しかも中身が詰まった広報になるのでしょうか?今はとりあえず、お手本になるようなページを見つけられたらいいと思ってはいるのですが、それも上手くいっていません。
SNSでの広報は簡単だと思っていたのですが、それは甘かった。難しいです、本当に。

2014年11月27日木曜日

小金井でのトークイベントのご案内

M2のtantakaです。
実は、修士論文提出直前なのですが、トークイベントのご案内です。

というのも、現在小林ゼミでは、大町市の文化資源活用ビジョン策定に向けて、慌ただしく動いていますが、
以前2006年度から2008年度まで小金井市における芸術文化振興に関する条例と計画の策定に携わっていました。
(その後も小林ゼミは、2012年度まで小金井市での取り組みに携わりました)

現在、小金井市では、芸術文化振興計画推進事業として「小金井アートフル・アクション!」を実施しています。
計画では、市民が計画の推進主体となると掲げられ、6年目の現在、NPOアートフル・アクションが事業の実施を担っています。
その「小金井アートフル・アクション!」の事業として、来る12月7日にトークイベントが行われます。

以下紹介文は、NPOアートフル・アクションのHPの転載です。
ご興味のある方は、ぜひご参加下さい。

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地域プロジェクトのしくみ研究会 
~アートプロジェクトを通して「つながりのしくみ」の可能性を考える~ 

近年盛んに行われている「地域アートプロジェクト」。その概要は、インターネットで検索すれば簡単に知ることができます。しかし、「その地域で、その時期に、なぜ、そのようなプロジェクトが実施されることになったのか」「どういう枠組みで、誰が、何のために、どういう形でそのプロジェクトの運営を担っていたのか」という背景こそが、その地域ならではのプロジェクトを成り立たせる重要な要素であり、背景の仕組みを知り、学ぶことで、多くのことを得ることができます。 

この研究会では、12月~3月の期間に、4つのトークセッションを行います。施設や団体の連携や協働に留まらず、人をつなぐこと、アイデアをつなぐことも協働や連携ととらえ、公共施設の相互関係、公共的なアートプログラムの新しいあり方を見据えつつ、より創造的な活動に発展させるための連携や協働の可能性を探ります。 

参加者の皆さんと一緒に、アートプロジェクト運営への理解を深め、どうしたらより創造的になるのか、これからの可能性を考える、可能性の発見?実践型の新しい形のトークイベントです。様々な事例に触れながら、「小金井では何ができる?どんな仕組みが必要?」など考え提案しあえる機会になればと思います。 

【第一回】 

日時:2014年12月7日(日) 14時~17時 
場所:小金井市民交流センタースペースN 
定員:20名 
お申込み・お問い合わせ:NPO法人アートフル・アクション 
メール:mail@artfullaction.net 
電話:050-3627-9531(平日10時~17時) 
申込締切:2014年12月6日(土) 
※お預かりした個人情報は厳重に管理し、本事業の運営およびご案内にのみ使用します。 

内容: 
第1部「 北欧とイギリスのアートが生まれるしくみ/育つしくみ!-Fantasy design in community-」
第2部「国内事例:「アートを通じて子どもと社会を繋ぐ」NPOの取り組みについて~つなげる/つながるしくみについて考える」
第3部 参加者によるディスカッション
北欧やイギリスで生まれる数々の " 地域コミュニティと積極的に関わっていくタイプ ” のアートプロジェクト。私たちの周りでも、いろいろな試みが行われるようになってきていま

今回のトークイベントでは、
1)ロンドン留学や北欧旅行で自ら経験したユニークなアートプロジェクトのひとつ、北欧の "こどもが企画・進行する" 「Fantasy Design in Communication」というプロジェクト
2)香川県で行われている、アートを通じて保育園と社会をつなぐ取り組みについて
の2つの事例を取り上げ、最終的に「アートによって小金井で生み出すことのできる価値とは?」をテーマに参加者と語り合いたいと思います。

事例発表者: 
1)田辺エリ:ロンドン芸術大学に大学院留学の体験を持つ。現在はNPOアートフル・アクションの活動に、インターンとして楽しみながら関わっている。 
2)四方田七穂:武蔵野美術大学芸術文化学科在学中。NPOアートフル・アクションインターン。 


主催:東京都、東京文化発信プロジェクト室(公益財団法人東京都歴史文化財団)、小金井市、NPO法人アートフル・アクション

11月26日の小林ゼミ公開研究会の報告

11月26日のゼミは公開研究会という形で外部の聴講者の方もいらっしゃった中、
愛知県武豊町のゆめたろうプラザで活動するNPOたけとよの方々に来ていただき、ゆめたろうプラザの建設と運営への住民参加についてお話を伺うことができました。

元の公民館の設備が不十分であったために現在のゆめたろうプラザの計画が始まったそうですが、文化ホールがどうあるべきかについて考えがあり意見表明の機会を待ちわびていた住民が居たこと、そのような住民がホールの建設過程に参加できたことが、きちんと活用されるホールの実現に大きな役割を果たしたとのことでした。

それは一見当たり前のように感じてしまいますが、その当たり前(に見えること)を実現する難しさというのも、説明やその後の質疑応答の過程で感じました。

当事者意識を持つ有償・無償のボランティアの存在を前提とした文化ホールの建設・運営への住民参加は、成功や継続性の保障がないだけに行政の側も実施にあたって少なからぬ逡巡があったと想像します。それだけに、指定管理者制度の導入でせっかくの成功を覆すようなことは、やはり勿体ないなと思いました。

これだけでは感想文になってしまうので、NPOたけとよの持続の観点でもう一つ、私が個人的に気になった点を取り上げておきます。それはホールの運営参加および利用の世代間の偏りです。

名古屋のベッドタウンで立地産業もあり、過疎化とは縁の無い武豊町にあっても、NPOたけとよの構成員は50代以上が3分の2を占めているそうです。
また、そこで行われているプログラムについても、高校生までと比較的高齢の世代の2極が対象になっているのかなという印象を持ちました。
現在はNPOたけとよは比較的順調に運営されているようですが、世代間交流や新たな参加者の加入が実現し、可処分時間や所得など世代による事情の違いを克服することで、今後も継続して時代の要望に応えた文化ホールの運営が実現できるのかなと思います。

個人的には世代間の置かれた状況や嗜好の違い、都市と地方での世代の分布の偏りというのは
今後の文化に関する産業や政策を考える上で不可欠の論点だと思うのですが、世間であまり話題にならないのは何故でしょうか。(K.S.)


2014年11月26日水曜日

今日の感想


東京は雨模様で、寒さもひとしお…一気に冬に駆け込んでいるようです⤵ 長野北部もお寒いそうですね。
冬期芸術大学は開校式が終わり、とうとう始動しました☀ゼミも気合いが入ってきています。
今日の小林ゼミには、愛知県武豊町のゆめたろうぷらざの方たちがいらして、お話してくださいました。ゆめたろうぷらざは町民の手で立ち上げた芸術文化施設です。
私個人的には、ここまで町民の手だけで出来るのかということに、純粋に驚きを禁じ得ませんでした。そして、有名な公立劇場ですら中々実現できずに苦労している他県の文化芸術施設との協働、を行って若手や無名演奏家のコンサートを行っている話が特に気に入りました。

他のゼミ生の感想も楽しみです❗

追: 最近気づきましたが、私は協働という言葉に弱いです。

Rae

2014年11月25日火曜日

大町市、文化資源活用ビジョン策定にむけた先週末の動き

先日、大町市を訪問しましたのでご報告です。
22日ちょうど研究室の参加学生たちを乗せたバスが新宿に着いた頃ですが、長野北部でかなり大きな地震がありました。大町市も大きい揺れに遭われたと思います。
一日も早くみなさまが平穏な日々に戻られることを心よりお祈りします。

この金曜・土曜(21日・22日)は、大町市は盛りだくさんで、「文化資源活用ビジョン」の策定委員会と、先日ブログでもお伝えしました市民文化会議、冬期芸術大学開講式がありました。
今回は、先生と、M1の社会人学生の方々3名と私の、やや年寄りメンバー(先生のお言葉です笑)でお邪魔してきました。大町市の文化・芸術や文化資源について考えている方が一堂に会するものすごい2日間であったなと、東京に帰ってきてあらためて感じています。思えば、自分は町の方とまともにお話をするのはこれが初めてでした。

策定委員では、文化・芸術関係者の方のあつい思いや意気込み、市民文化会議でもたくさんの方の考えを聞くことができました。後者のワークショップに参加される人数は、前日には、10人から400人と全く予想がつかないと話をしていましたが、50名近くもの多くの方がいらっしゃって大盛況でした!参加者の方からきかれた、大町市の文化資源に関して、「市」で抱えている問題に対してみんなで話し合うことに対して、「ようやくこのような段階にきた」とか、「ずっと待っていた」という言葉が印象的でした。

市民文化会議、残すところ後2回ですが、内容は毎回バージョンアップの予定です。

これから、計画の策定と、ビジョンに描かれる像の実現にむけて、思いがどのように形になっていくのかが楽しみです。

写真は、上から市役所からの風景と、エネルギー博物館。(haruko)

2014年11月20日木曜日

公開研究会(第2弾)を開催します。

公開研究会の第2弾を開催します。
今回お呼びするのは、武豊町民会館(ゆめたろうプラザ)の運営をされているNPOの事務局長の高橋洋子さんと、副理事長の高木正博さんです。

武豊町民会館は、かつてクローズアップ現代においても、市民参加型のワークショップを行いながら建設をして、運営にまでその市民の人たちが関わるということが紹介されました。その後それがどうなっているのかというところを学びたいと思います。
これまでに、公立文化施設は、直営か財団かという選択肢が普通だったかと思います。NPOが運営に係わることによって、どのような可能性が拓けるのか、困難な点はどのようなことがあるのか、そんなことをお聞きできればと思っています。
研究会は公開ですが、会場の都合上、事前にお申し込みください。

11月26日(水) 14:50〜16:30
場所:東京大学本郷キャンパス内(お申し込みいただいた方にご連絡いたします)
会場の都合上、事前のご参加申込みをお願いします(締めきり11月25日)
marisemi.blog@gmail.com(@がスパムメール対策で全角になっていますので、半角に変換の上ご連絡ください)

なお、本研究会は、科学研究費基盤研究(B)「地域文化政策領域における『新しい公共 』の担い手と環境整備」の一環で行います。

(小林真理)

2014年11月19日水曜日

総合芸術の力!

M1のRaeです。
現在とあるオペラ公演に関わっていて、劇場に入る「小屋入り」初日を明日に控えています。朝9:00から夜10:00まで劇場で過ごすことになりますので…じゃあいつ書くの?→略。ということで今書きます。

オペラとは総合芸術。これは当たり前のこととして言われていますね。なぜなら、音楽、美術、ファッション(衣装)、舞踊。全ての要素が詰まっているからです。オペラを作るには音楽スタッフ、照明スタッフ、美術スタッフ、衣装スタッフ、大道具・小道具スタッフ…その他色々な要素のスタッフが集まって決めて行かなくてはなりません。スタッフ会議の時や練習の時にあーだこーだ言いながら一つの作品を作り上げていくわけで、初めて会うスタッフさん達と一つの作品をつくり上げるその一体感は何者にも代えられませんし、不思議な高揚感です。特に、舞台(パフォーミングアーツ)はナマモノで、今の時代いくらアーカイブで後ほど鑑賞できるからとは言っても、やはり刹那的な芸術だと思います。
だからこそ美しい。(偉そうですが)無駄だとおもえるものにこそ美があるというのは私の持論です。文化=無駄と考える人が多いというのは「文化=刹那的なものである確率が高い」という構図なのではないか、というRae仮説に基づくと文化=刹那=いずれ消える=美という公式が出来るのです。

大町市冬期芸術大学について語る前に、私が素晴らしい!と思った例を紹介します。
以前東京芸大のオペラアーツマネジメント事業に参加して知ったのですが、八王子では昨年から学園都市ふれあい文化財団が主催でオペラ公演をやっています。↓↓↓
http://www.hachiojibunka.or.jp/minami/event/detail.php?id=e_3031e8c7
市民オペラなんて山ほどある、と思われるかもしれませんがこの表を見て下さい。(同HPから引用掲載)



音楽監督

村上 敏明 (藤原歌劇団団員)

演出

馬場 紀雄 (オペラ演出家)

コレペティ

江澤 隆行(日本大学藝術学部非常勤講師)

演技指導・バレエ振付・指導

高宮 由利子 Yuriko Dance Arts主宰)

舞台監督

井上 裕二(有限会社マスタープラン代表取締役)

字幕

舞台字幕/映像 まくうち

 衣装製作協力

東京家政学院大学 生活デザイン科

 ヘアメイク協力

山野美容芸術短期大学 専攻科芸術専攻 

撮影

東京工科大学 メディア学部 intebro

協力

八王子市立上柚木小学校 

 制作

公益財団法人八王子市学園都市文化ふれあい財団 
これは次回公演「ラ・ボエーム」のスタッフ構成なのですが、なにがすごいかというと、地元の専門大学や地域団体の力を結集して作品を作り上げているのです。昨年の「椿姫」の時には声がけも苦労されたようですが、成功をおさめたため今年以降も続けていきたいと思っているようです。そして私はこれこそ総合芸術の力だなあ、と思います。


 私は、小林ゼミで良く出る宿題、企画立案で去年からしつこくオペラをやりたいと言ってきました。それは、オペラが総合芸術だからです。総合芸術の力は、単独よりもずっと強いと思います。(全く違う研究分野の人と知り合うことで刺激が与えられて、気がつかないうちに自らの研究も影響されているのと同じような。)

小林ゼミと大町市は、今秋から本格的に大町市冬期芸術大学に向けて出発していますがその冬期芸術大学ではパフォーマンス、ファッション、空間芸術、アーツマネジメントコースに分かれて一つのパフォーミングアーツを作り上げる予定です(Rae予想では初年度なら18%×4=95%くらいの力ですかね)。

実を言えば、何が始まるか全く把握していなかった半年前、大町市の行政に関わることは怖いし「無駄」なのではないかと思っていました。

大町市に、別に八王子の例を真似して下さいといっているわけではありませんし、元々専門大学が多いことを活かしている上に大都市東京近くにある八王子の真似をしても崩壊するだけだと思います。しかし「総合芸術」をこれから100年200年作っていくということに向かって舵を切った大町市は、「意外と」面白くなるのではないかと思った(ている)のです。
面白がっているだけでは何も進まないかもしれませんが、面白いところには人が集まります。人が集まると、あれやこれやでどんどん面白いものができてきます。殆ど全くといって良いほど違う分野の人が集まる総合芸術においてなら、尚更。更に言えば、刹那の芸術・パフォーミングアーツにつきものの一定の緊張感は、至上のスパイスです。受講者の皆さんにおかれては、既にそれを経験している方だけでなく、初めて総合芸術を作る(あるいは触れる)方にこそその醍醐味を味わって欲しいと思います。

それでは小屋入り行ってきます!

らえ

2014年11月18日火曜日

伊藤キムさん


先日、ゼミにゲストとしてお迎えした、振付家・ダンサーの伊藤キムさん。

Pugrinさんの紹介にもあったように、大町冬期芸術大学の講師を務めていただく方です。
 

 

事前に写真を拝見しただけでも、かなりインパクトのある方だなと思っていて、実際にお会いしたらどんな感じなんだろうと、ゼミ当日はうっすら緊張?してしまいました。 

実際のキムさんは、思いのほか物腰の柔らかい語り口で私たちにお話くださいましたが、映像で見せていただいたキムさんの活動は、やはりというか、全て私の想像を超えた、かなりぶっ飛んだものでした。 

「アーティストは人々に不安を与え、日常を揺らす存在」というキムさんのコメントが印象に残っていますが、まさにそれを地で行なっています。映像を見ているだけでも、私は不安になり、一時的に日常を揺らされました。 

私はダンス未経験ですし、これまでまともに鑑賞することもなく生きてきましたが、キムさんの映像を見ていて、ダンス一つでこんなにも人は変わるものなのかと純粋に驚いてしまいました。

大町冬期芸術大学の受講生の方々には、理屈抜きでキムさんの世界にどっぷり浸かっていただきたいと思います。
 

                                                    (TK)

文化政策の難しさ


先週から、「〇〇を文化で豊かに」の難しさをあらためて感じ始めたので投稿します。
risaiaさんの投稿もありましたが、大町市を(大町市でなくても、どこかの地域を対象に)文化でまちづくりをすることはおそらく、人類が月に到達するよりも難しく「平和な世の中をつくる」という目標と同じくらい複雑な事柄だと思います。
経済学者のH.サイモンは、技術的に解決可能な問題とそうでない問題を分類し、例えば月旅行は、前者で「複雑な事柄ではあるが、唯一の問題領域にかかわるものである」といいます。それはその達成のために「技術的な能力のみが問われている」からで、いくらそれに対する手続きが複雑であったとしても、技術的に解決できるという意味では単純なのだと。
翻って、文化で大町(でなくても、どこかの地域)を豊かにする、さらには、町にとってアウトサイダーである東京 大学の研究室が関係を持って、その達成目標が多岐に渡り複雑すぎて、それを行うことはたとえ「協力体制の行き届いた単一の組織」があったとしても、成功か、失敗か、「人間は月面を歩いた」か否かというような、客観的で単一の目標がないから、決定的に到達ができないのです。
多分このような問題に対し、限界合理性の中で人間は、具体的な問題認識にまでおろしてきて、今よりも適切な配置はどんなものか議論する、デザインする、試行錯誤で計画を作り上げていくしかないと思って私はゼミにはのぞんでいます。このように文化政策をどう取り組むか、地域社会をどうデザインするかという問題は、答えられる問を立ててそこに科学的アプローチを行う研究とも本質的に異なるもので、そこに関わる大学の教員、生徒はいつも歯がゆさや難解さを痛感していていると感じます(haruko

ゼミとゲストとブログと文化政策

秋の小林ゼミは2名のゲストをお迎えしましたので軽くご報告です!

修士論文中のpugrinです。

一人目は、冬季芸術大学講師のダンサー、伊藤キムさん。
コンテンポラリーダンス?なにそれおいしいの?という方でも
「隻眼でアエラの表紙になったひと」と言えばどのくらすごいかなんとなくわかるでしょうか。

とにかく教室に入ってきた瞬間からすごい。
もちろん隻眼(かつボーズ)という出で立ちもさることながら、
オーラがあふれ出してるんです。
ちょっと手でも挙げようものなら、指先からビーム!ですよ。
とにかく、個人的な意見ですが

「自分ははこんなふうに生きてる、
さあこの全身に注目するがいい
そして日常が退屈な毎日の繰り返しだなんて
少しでも思えなくさせてやる」

というような空気を発しているような人です。

いくつかキムさんが関わったプロジェクトの動画を見せていただきましたが、
キムさんが動いた(舞った)瞬間に「いつも」が一変する様子にものすごく感動しました。
特に「おやじカフェ」では、そんなキムさんプロデュースの下
普通の「おやじ」が「おやじ」を笑いに変えて踊る姿に一種の奇跡さえ感じました。

そんな人が大町でどんな旋風を巻き起こすのか?
彼に指導してもらえる冬季芸術大学参加者がうらやましくて仕方がないです。


そして二人目、五井渕 利明(ごいぶち としあき)さん。
もとは公務員でしたが、今はものがたり法人FireWorksにて、
「地方で映画を撮る」活動をされています。
また、NPOを支援するNPO、CRファクトリーの事務局長として活躍されています。

CRファクトリーのビジョンは「すべての人が自分の居場所と仲間を持って、心豊かに生きられる社会」で、そのためのミッションは「居場所と仲間を感じる、あたたかいコミュニティを街にあふれさせること」だそうです。
そのための方策が映画なのであって、決して「田舎の風景を利用して売れる映画を作る」ことではないのです。つまり、「映画ではなく、映画づくりを通してまちづくりをする」ということだと思います。

五井渕さんは、自身の仕事を語る上で、大事なのは「
「信頼は自分の働きで作るもの、一人ひとりが使命を持つこと」
とおっしゃっていました。
人を動かすのは人、1+1を3にするのがイノベーション、とも。

どんなことでも、今自分が何かをすることが、誰かの何かに関わる
その積み重ねで時間が動いていることを、ただの偶然と思わないように生きなければ、
というのが私の感想です。
五井渕さんだけが「特別」「すごい」と思っていては、まるで彼の苦労や努力の瞬間がなかったことのようになってしまいます。
ゲストでお話してくださったことを、わたしたちは「研究の材料」というよりは「自己反省と現状の再確認」のために考え直さなくてはならないのではないでしょうか。

修士論文中なのに、だらだらとすみません。
でもこういうことが、わたしは文化政策だと思います!
ではでは!

大学ゼミと地域の関わりかた~私の悩み

大学ゼミとして地域の文化政策に関わることの難しさを痛感している今日この頃。
地域はその未来を本気で文化に託しているのに、十分なサポートを行えていないことを歯がゆく感じています。
そもそも、ゼミと地域がどのような距離感で関わり合えばよいのか、私自身分かりかねています。

ゼミ生の一人一人が5%の力を持ち寄って20人集まれば100%になるという計算にはならないと思います。
ゼミ生にもそれぞれの事情がありますし、5%をつなぎ合わせて1つの形にするのは簡単ではありません。
そこにはかなりの係数が働いてくることを考慮に入れなければなりません。

私は、大町冬期芸術大学が、大町市になにかを巻き起こしてくれると信じています。
それがどのように帰結するかは分かりませんが、大町市で面白いことが起こると信じています。

私は大町市が好きです。
大町市には、文化で大町を変えようと本気で動いてくださっている方々がいます。

でも、なぜ私はこうも動けないでいるのでしょうか。
結局私にとって、地域の文化行政は他人事なのでしょうか。

地域の未来をかけた本気の文化行政に関わること。
そんな責任の重い仕事に関与する意味を、今一度考え直したいと思います。
(risaia)

2014年11月17日月曜日

長野県大町市「文化資源活用ビジョン(名称未定)」の策定に向けて市民ワークショップの開催案内

 私たち、東京大学大学院人文社会系研究科文化資源学研究室小林ゼミは、文化でまちづくりをしようとしている大町市を2012年からバックアップし、現在、「文化資源活用ビジョン(名称未定)」の策定に向けて準備を行っています。この度、その一環として、ビジョン策定の方向性を考えるワークショップを開催することとなりました。
 「文化財や文化遺産に限らず、これまで気づかれなかったモノやコト、人」といった文化資源を活用し、大町市を元気にしたいと考えています。第一に、私達が普段文化・芸術と考えているものがどの様なものか、また大町にとってどのような価値があるかということを考えてみます。次に、それらを活用するにあたって、大町市で活動をしてく上で抱えている問題は何かを浮かび上がらせ、それについて一緒に考えていきたいと思っています。
 できるだけ具体的で、実効性のあるビジョンを策定するためにも、大町市で市民文化活動、芸術活動に携わっている市民のご意見をお聞かせていただきたいと考えております。
 皆様、貴重なご意見、心よりお待ちしております。

・日程:第一回目-20141122日(午前10時~)
          第二回目-20141218日(午前と午後、2回)
          第三回目-2015124日(午前と午後、2回)

・場所:大町市市役所東庁舎2階 東大会議室

・問い合わせ先:大町市生涯学習課
               
                                                       (bangul)

2014年11月16日日曜日

最近ワルシャワ独特の文化資源には何があるだろうと考えるとき、社会主義時代の遺産が思い浮かぶようになりました


まずその筆頭格として、名実ともに街のシンボルとなっている文化科学宮殿 (Palac Kultury i Nauki)を挙げなくてはいけません。8月にショパン空港へ着陸したとき、飛行機の窓から一目でこの建物だと分かったほどのランドマークです(37階建て、234m)。1952年から四年間かけてスターリンからの“贈り物”として建造されたため、ソ連からの支配と権威主義の象徴としてこれに複雑な思いを抱く市民は多いです。特に昔は高層建築といえばこれしかありませんでしたので、余計に“見下ろされている”感覚が強かったのだろうと推測します。一方で、1989年に体制転換を果したときに壊すに忍びなかったほどの建物であることも事実です。三つの劇場に二つの博物館、映画館にコンサートホールとワルシャワ有数の文化施設が集結しています。建物の設備はさすがに古く、陶器製のシャンデリアや駅の電光掲示板を思わせる映画館の時刻表示に囲まれながら舞台や映画を見ることになります。作品そのものは国内外から集められた良作が多く、古い空間の中で新しいものを鑑賞するコントラストがここにしかない特徴だと思います(劇場の一つ、Teatr Dramatycznyは現在の芸術監督に代替わりしてから質が落ちたと演劇通の知り合いに聞きましたが)。
次にもっと生活に直結した場所を。市内に点在するBar mleczny(ミルクバーの意)はまさに“昭和から続く大衆食堂”といった趣で、味はそこそこですがとにかく安い家庭料理を味わえます。時代に合わせて内装をポップにした店もありますが、個人的にはかっちりしたややそっけない内装といい、働くおばちゃんたちの仏頂面といい、そこだけ昔と変わらない雰囲気を残す店の方が好きです。例としてBar Mleczny Bambinoを挙げますが、ここは周辺が高級な繁華街となりつつあるからこそ余計に時が止まったように感じます。年配層からビジネスマン、ベビーカーを押した家族連れまで幅広い層に利用されています。もちろん私のような学生にも。
 
 

イギリスのバンドTravisLove Will Come Throughという曲があります。そのミュージックビデオに登場するのがKijowska通りの団地です。1973年にできたこの住宅は全長が508m、ワルシャワ西駅から出てくる乗客に殺風景な地域を見せないために長くしたと言われています。これほど横に長いものは他にないとはいえ、ワルシャワの団地といえばこんな感じの場所が多いです。ただし、最近ここを訪れたところ、壁はすべてパステルイエロー・オレンジに塗られ、陰鬱な雰囲気はだいぶ減っていました。壁の色変えのみならず、ウォールアートを施すことも、自己表現以上に場所の雰囲気を変えるために行っているのではないかという例が多い気がします。
ワルシャワのシンボルって何?と聞かれ、文化科学宮殿とあっさり答えるのは歴史の関係上気が引ける。しかしそれ以外に目立ったシンボルもないこの首都には、今日もどんどん新しいものが流入・発生します。その中でも変わらない古いもの、私にとってはこの新旧の融合、両者のギャップが面白いです。それが部分的なものにせよ、社会主義時代をある種の特徴として肯定するのは、その時代から脱皮したがっている地域にとっては大変難しいのだろうと想像します。辛い過去の亡霊からは早く逃れたいものです。ですがそれから完全に逃れられるはずもなく、逆に強みとして捉えるポテンシャルがこの街にはある気がします。というよりも、新しいものが生まれるからこそ古いものにも以前とは違った価値を与えられる数少ない街だとさえいえます。首都を一歩出れば、古いものしか残っていない地域などいくらでも見つかるのですから。
(N.N.)
 

2014年11月7日金曜日

帰省のついでに、信濃大町youthサミットへ!


今年、12月 28 日(日)に、信濃大町youthサミットを開催するそうです。以下、フェイスブック頁からの引用になります。詳しくは↓
https://www.facebook.com/events/1476730392583931/?ref=22
この企画は、私たちゼミが2年半前から係わりを持ち、若手職員を対象に新しいことに挑戦するためのワークショップや研究会を行ったことがきっかけで、自主的な勉強が結実して開催することになったものです。(このほかにも新しい動きが生まれているそうです)。嬉しい連絡なので、ブログに投稿します。

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開催日は2014年も終わりに近づく師走12月28日(日)!!
しかも!!
東京近郊在住の参加者には朗報!!
東京駅前発新宿駅前経由会場行きのバスを出します!!
ということは・・・
帰省の片道交通手段をこちらで用意しちゃうってこと。このイベントに参加して、実家に帰るもよし、同窓会をやるもよし、好きにしてください!!(帰りの足は各自確保してね)
この年末年始を地元大町で過ごすのはいかが。

会  場  JA大北 アプロード
      (信濃大町駅近く アップルランドデリシア前)

日  程  12月28日(日) 13時~18時
     ・頑張っている社会人5人によるゲストトーク
     ・ワークショップ
     ・フリートーク
     ※詳細は考え中です!!

対  象  大町市にゆかりのある高校生以上の学生、社会人

参 加 費  学生さん無料(当日、学生証の提示が必要です) 
      社会人20代 2,000円  30代以上 5,000円

募集人員  100名

応募方法  主催者マチサラのFormから
https://www.hivelo-social-apps.com/fb-share/?fbPageId=341497159296110&hsa_id=form

スポンサー様も同時に募集しています!!
スポンサーや協賛、その他お問い合わせはこちらから
machisaraomachi@gmail.com
090-8451-1228


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(小林 真理)