2014年12月8日月曜日

第1回地域プロジェクトのしくみ研究会(小金井市)の報告


なんとか先週に修士論文を提出してきたM2のtantakaです。
昨日は、小金井市で行われた「地域プロジェクトのしくみ研究会」に参加してきました。
先日、このブログでもご案内したトークイベントです。

小金井アートフル・アクション!にインターンとして携わる2人がいくつかの事例を紹介し、その後のディスカッションで、発表者と参加者がいっしょになって、それぞれのプロジェクトの背景や運営方法、プロジェクトを行う理由などについて議論しました。






1人目が紹介した事例は、香川県高松市で行われている「芸術士」という取り組みについてでした。
詳細についてはHPを見ていただければと思いますが、市民有志による勉強会から出た企画が市で事業化されたそうで、「芸術士」と呼ばれる芸術家たちが、それぞれに分担して、市内の保育所や幼稚園で、週に1回表現活動を子どもたちと一緒に行う事業だそうです。
この事業は、イタリアの「レッジョ・エミリア・アプローチ」という幼児教育の考え方を参考にしているそうで、子どもと社会をつなぐきっかけとなることを期待されているとのことでした。

2人目が紹介した事例は、北欧、イギリス、アメリカで行われているアーツ×教育、アーツ×地域活性、アーツ×医療・福祉の取り組みについてでした。
多様な事例をたくさん紹介してくださいましたが、その中で印象に残っているものを2つだけ。
一つ目は、イギリスのロンドンで行われている「Meanwhile Space」という取り組みです。
これは、空き家や空き店舗となったスペースを1週間単位で借りて使うことができるというプロジェクトで、日本でも似たようなプロジェクトは見られるように思います。
ここでは、事業を動かしているのはMeanwhile Spaceという私企業で、仲介役のような形で、レンタルする人を募ったりするためのHPの運営などを担っているようです。
空きスペースは、アーティストや学生などが借り、作品の発表展示の場として使ったりしているとのことでした。
もう一つはニューヨーク近代美術館で行われている「Meet Me」というプロジェクトです。
アルツハイマー患者とそのケアをする人を対象として、月に一回美術館の営業時間外に作品に触れ、ディスカッションをするプロジェクトだとそうです。
私財団によって事業は成り立っているということでした。

このような様々な事例をもとに、参加したみんなでディスカッションをしました。
プロジェクトの進行には、運営する側のモチベーションによって大きく左右されるのではとか、という意見や、芸術文化をツールとして使うのか、それとも芸術文化自体を目的とするのか、といった意見が出ていました。
発表にあった事例は、抱える課題を解決するために行われたプロジェクトが多かったのですが、小金井市においては、危機に瀕しているような問題が見えてこない中で、何のためにプロジェクトを行うか、といった意見も上がり、印象に残っています。

今回研究会に参加して、私が一番に感じたことは、議論が途絶えず、こんなにも地域に向き合っている市民がいるものかということでした。これは、小金井アートフル・アクション!のプロジェクトやミーティングに参加するといつも感じることでもあるのですが、こうやって地域に向き合う人が徐々に増えて行くことで、小金井でしか起こり得ない動きが生まれるのだと確信を持ちました。
内容について言えば、運営側の目的や方向性の共有、役割分担がプロジェクトを動かす要素なのかなということです。
ただ、ディスカッションの時間が短かったのか、今回の主題であるプロジェクトの仕組みだとかについては、あまり深く議論することができなかったのは、少し残念な点でもあります。
市内では他の様々な取り組みがあるようですが、このような取り組みを「点」であるとするなら、おそれをつなぎ、面での取り組みとできるような提案のきっかけになるのではと思っています。

今後も3月までにあと3回の研究会が行われます。
ちなみに、この研究会は市民スタッフの方が企画から運営までを行っていますが、これこそが小金井市らしい仕組みだと私は思っています。
予定では、 次回第2回目は美術館に関することを扱うとのことです。また第3回目には、私も発表者として登場する予定です。
その際にはまたこのブログでご案内します。回数を重ねるごとに議論も深まるのではと思うので、ぜひ多くの方に参加していただきたいと思います。

また、大町市での取り組みだけではなく、小金井アートフル・アクション!にも注目していただければ幸いです。

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