2012年12月17日月曜日

フランス便り(6)裾野?


数週間ぶりの晴天に恵まれた(と思ったら結局一瞬だけでした)パリからこんばんは。
朝は9時くらいまで薄暗く、夜は17時にはもう暗い、しかもいつもどんよりしていて、雨が降ったりやんだり。
そんな所にいると、「冬は鬼門」とまでは言いませんが、何故ここに住む人々が夏の到来を心待ちにし、一夏限りの命かのように遊び回り日光浴し回るのかが分かる気がします。

先日、携帯電話のプリペイドのチャージをしに行った時の事。
対応してくれた感じのいい30才前後の店員さん、ついでにチャージ作業もしてくれるというので携帯を渡すと、待ち受け画面になっていたスカルの作品に反応。
「これ誰の作品?」と聞かれたので
「フランス人の若い作家さんの」と答えると
「うんそうそう、スカルと言えばDamienって感じだけど、実はフランス人もこのモチーフで作品作ってる人多いんだよねー」との事。
「はぁそうですか」とだけ言うのも何となく申し訳ないので「現代美術お好きなんですか?」と一応聞いてみると、待ってましたと言わんばかりのスピードで返事あり。
「好き好き、アート業界で働いてる友達もいるんだ。ところでペロタン(Galerie Emanuel Perrotin:マレ地区にある有名現代美術ギャラリー)には行った?」
と言われたので
「あ、はい。Kaws(アメリカ人アーティスト、現在ペロタンにて展示中)とか。。。」と言うと
おもむろに自分の携帯を取り出し
「これこれ、見て見て!」と展覧会会場写真を私に見せ始めた店員さん。
「あ、これ自分のコレクション」と満足げに小点を飾っている自室の様子を見せてくれました。
漠然とですが「この人本当に好きでこの作品を買って、それと一緒に住んでるんだなあ」と感じる良い写真でした。
結局コレクションを自慢されただけですが、店の外に出て歩きながらふとこの状況を考えてみました。
私は彼の経歴等を知らないので確実ではありませんが、彼が一般的な教育を受けて一般的な生活を送っているフランス人の1人であるとするならば、フランスのマーケットの裾野の広さを感じてしまうのでした。
あるいは彼の様に購入出来なくても、何かを見たり、それについて議論したりする事(時々脱線していますが)が自然に行われているのは興味深いです。
美術館でもギャラリーでもアートスペースでも、老若男女喋ってます。(一人でも!)

ちなみに私は、Kawsの”Imaginary Friends”よりも、同時開催中のGuy Limoneの”Espace Public”やDaniel Arsham ”STORM”の方が個人的には好みだと言う事、また「エレベーター」が好きだという事は、Kawsが好きな彼の前では言うまい、と思ったのでした。。。
(M.O)

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