2012年12月31日月曜日

フランス便り(9)メッス


皆様、大晦日いかがお過ごしでしょうか?
大晦日はこたつにみかんでゆるゆるカウントダウン派(時にはカウントダウンすらしないで駅伝に突入派)のM.Oです。

12月末。
ふと「あ、メッスにいこう…」と思いたち、電車を予約。
そしてそのまま数日が過ぎ、電車の行き帰りの時間のみしか知らない状態で、メッス駅に降り立ったのが昨日の正午。

駅に着く5分くらい前から、「そういえば地図ないな…」とは思ったものの、どうにかなるだろうと考え、駅周辺をうろうろ。
その時は本当に何もなく、帰りの電車の時間を遅くし過ぎたか?これは映画館コースか?などと不安になりましたが、結果、すごく良い所でした。

程なく目的地であるポンピドゥー・メッスに到着。
建物の第一印象は、なんかくらげというかおばけみたいでした。
中に入ってみると、くらげ的なおかげで広々した空間が広がり、窓も大きく開放感がありました。それぞれの階のギャラリーへのアクセスは扉で区切られており、それぞれが全く別空間です。

今回見た展示は3つ。
「パレード」
展覧会の最初の概説のところで「この展覧会は一点しか飾ってません」という説明がある通り、Picassoの巨大パレード幕以外は全てコピー(デッサン等の画像をシール状にして壁にペタペタしている)という展覧会。
美術館でこれだけシールが展示される事も珍しいのではと思いましたが、豊富な手紙やデッサン等の史料をたどってパレード幕に辿り着いた時の「わぁ」感は大きかったです。

「FRAC FOREVER 」
ロレーヌ地方の現代美術基金の所蔵する写真を展示しています。
受付を通った時にはい、と渡されたのはまさかの巻巻式緊急時用小型ライト。
中に入ると真っ暗、みなさんライトで照らしながら作品を見ています。
更にこの展覧会で面白いのは、作品をライトで探りながら観る様に、壁面に展示コンセプトのキーワードが無数にばらばらに配されており、鑑賞者が勝手に捉えて良い、という点です。
とはいえ、周りを見ていると、作品と無数の言葉を鑑賞しながら結びつけるのはちょっと困難なようでした。(しかも全てフランス語なため英語圏の方には意味不明)

「Sol Lewitt」
壁画に特化した展覧会。内容は勿論素晴らしかったです。
ちょうどパリにあるギャラリー、マリアン・グッドマンでも展示していましたが、やはりこういう作品は美術館向きですね。
パレード展での幕の設置や修復の様子が展示されていたのと同様に、こちらでは壁画製作の様子を記録したドキュメンタリーも会場で流れていました。

その後、中心地にあるカテドラルへ。
とりわけこの時期ですから、より一層荘厳で美しく見えます。
予習を全くしなかったおかげで、予期せずシャガールのステンドグラスに遭遇出来たのも良かったです。

そしてクール・ドール美術館(Musée de la cour d'or)へ。
名前はメロヴィング王朝の宮殿の伝説に由来するとか。
行ってみると、入り口には大きくMusée「s」の表記。
何故複数形?と思いながら中に進むとその理由が明らかに。
「美術館+博物館=美術館ズ」だったのです!
これはフランスでは結構珍しいのでは。
中は複数のゾーンから成り立っており、またかつての建物を一部利用しているため、リアル迷宮。内容もかなり充実していますので、ロレーヌ地方やメッスの事を知るには是非こちらへ。

ぶらぶらしていると、先述したFRACの施設を発見。早速中へ。
展示していた作品はあまり私の好みではありませんでしたが、これまでのメッス散策を総じて見ると、地方としては結構な量の芸術との出会いがあった様に感じます。

さすがに少し疲れたので、旧市街をぶらぶら。
メッスはクリスマスマーケットやイルミネーションにも力を入れている様で、趣のある建物が多い街は華やかで綺麗です。
そんな事もあって、年末をメッスで過ごそうとするフランス人で街は活気があります。
勿論商店は全てしまっていますが、皆さん思い思いに街を散策していました。

フランスはパリばかりが注目されがちですが、各地それぞれの個性があり、旅してまわるには面白い国です。
私自身は都会生まれ・都会育ちのためどうしても都会贔屓ですが、たまにこうしてふらっと出かけると色々な出会いや発見があるのがフランスの良い所の一つだと思います。
そういう意味では、皆さんが報告して下さっている様に日本の地方も面白いですね。私も大町に行ってみたいです!

それでは皆様、良い年越しを!
(M.O)

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