2012年7月17日火曜日

音楽の側からみた「劇場法」


7月14日に東京藝術大学で開催された日本音楽芸術マネジメント学会第4回夏の研究会
《「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律」に基づく「指針」の在り方》を聴講してきました。(プログラム

公布・施行(6月27日)後にはじめて出席した劇場法関連研究会。また、これまでに参加したシンポジウム等は主に演劇の側から論じるものだったので、音楽の側から「劇場法」が語られる場を今回はじめて経験しました。

「指針」の在り方に研究会の焦点が絞られたのは、
(第16条)「劇場、音楽堂等の事業の活性化に必要な事項に関する指針を国が作成する。」
とあるためです。2012年末(年度末ではなく)に指針が決定されるみこみで、9月ごろには文化庁HPでパブリックコメント募集の可能性があることが明らかにされ、法律の実効性を担保する指針の在り方に反映させるためにも議論を喚起したいという主旨説明がありました。

パネルディスカッションとフロアからの発言を通じて、ホール運営者、演奏家、教育機関などそれぞれの立場の意見が表明された訳ですが、聞いていて、実演芸術に関わる「予算」、「市場」や「雇用」に関する日本の現状を意識させられる話が多かった感があります。

前文に「国民の生活においていわば公共財ともいうべき存在」と記された劇場、音楽堂。しかし、「公共財」であることを国が認定した前提として扱うのではなく、社会により広く実感として共有されるようになることこそが課題なのではないかと思いました。

 (ykn)

1 件のコメント:

  1. 私も現場がどういう雰囲気なのかを直接知りたくて、話を聞きに行きました。マイクの調子や進行の流れについてはさておき、これまで意識が建物に向けられてきたところから、人(実演家、実演家を支える専門家、観客)に向けていくということは確認できました。

    「指針」については、「望ましい一定の方向性を出していくこと」と説明されました。yknさんの文章にもありますが、9月頃に文化庁より鑑賞者を含めて広く意見を募集するとのこと。こういうところにも参加し、様々な意見を聞きながら(俯瞰せずに)自分の考えも鍛えていこうと思います。
    (青・さいとう)

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