2013年4月29日月曜日

東京国際レズビアン&ゲイ映画祭 春の名作劇場


はじめまして。文化資源学M1のmeroeです。
遅くなってしまいましたが、ブログ初投稿です。

今日は青山で開催された「東京国際レズビアン&ゲイ映画祭 春の名作劇場」へ行ってきました。
「東京国際レズビアン&ゲイ映画祭」というのは、セクシャルマイノリティを扱った映画を上映する映画祭です。1992年から毎年開催されており、次の7月には第21回が開催されます。
そして今回の「名作劇場」は、「Tokyo Rainbow Week 2013」というLGBTのためのイベント(昨日は「東京レインボープライド」というパレードが行われていました。私は行けなかったのですが…)に合わせて過去の映画祭の中から評判の高かった作品を上映するというイベントです。

前から映画祭の存在は知っていたものの、実際に足を運んで映画を観るのは初めてでした。せっかくなので3プログラム連続にしました。
まず1本目は『シェリー・ライト ― カントリーシンガーの告白』(2011,USA)。
人気カントリー歌手のシェリー・ライトがレズビアンであることをカミングアウトするドキュメンタリーです。カントリーというジャンルのファンは保守的で、歌手が同性愛者だという事実をまず受け入れないだろうというこということを知りながら、彼女はカミングアウトの決意をします。実際にその後彼女はカントリー界からオファーがかかることはなくなったそうです。
幼いころからの宗教的葛藤、カントリーの世界でレズビアンであることを隠して生きること、家族や周りの人々との関わり……ぼろぼろ泣いたせいで、朝していったメイクがほとんど落ちました。
それにしても驚いたのは、アメリカの、カミングアウトのためのビジネス(単にお金儲けという意味ではありません)の大きさです。彼女の決意ののち、「その日」が設定され、そのために着々と準備が進んでいきます。大勢の人が関わりながら、自伝の出版、テレビ出演、各地での講演といった計画が立てられ、実行されていきます。周りの人たちは彼女を受け入れ、支える友人でもありながら、ひとつの「事業」のためのパートナーでもあります。もちろんこの映画もその事業の一環です。「その日」を控えて憔悴しきった顔でカメラに向かって話したり泣いたりする彼女の映像が、ドキュメンタリーの素材のひとつとして使われていました。
少し調べてみたところ、有名人の「カミングアウト・プロジェクト」のプロがいて、シェリー・ライトについても「5月5日にある大物アーティストがカミングアウトする」とその前から話題になっていたそうです。有名人がそのキャリアを投げうつ覚悟でカミングアウトすることは社会的にも金銭的にもなにより精神的にも大きな負担になります。どうすれば大きな代償を払ったカミングアウトが黙殺されず、もっとも効果的に、有効なかたちになるかということが考えられなければなりません。彼女の場合はかつての自分のように悩んでいる同性愛者の少年少女に力を与えたいという願いがもっとも強かったので、どうすればそのような少年少女に彼女の声を届けることができるか、ということが課題となるわけです。

休憩を挟んで短編コレクション、『TSUYAKO』(2011,日本、USA)、『アンコール / 再演一齣戲』(2011,台湾)、『ごくごくふつーのっ!』(2011,日本)の三本立てでした。『TSUYAKO』はタイトルからしても『SAYURI』のような、厳しい環境の中で耐え忍ぶ美しい日本女性(しかもエロティック)というあまりにもオリエンタリズム的な映画で驚きました……。

もういちど休憩を挟んで、最後は『シェイクスピアと僕の夢』(2008,USA)。シェイクスピア『夏の夜の夢』の劇で妖精パックを演じることになったゲイの男子高校生が、実際に『夏の夜の夢』に出てくる惚れ薬を作ってしまい、街中でゲイカップルを成立させるというストーリーです。虚実入り交じる、ファンタジックでいかにもゲイっぽい(あえてそうしているのだと思います)キラキラむちむちした画面がとても楽しかったです。主人公とその想い人、どちらもかわいいです。

7月の映画祭もぜひ行こうと思います。


第21回東京国際レズビアン&ゲイ映画祭(http://tokyo-lgff.org/2012/
Tokyo Rainbow Week 2013(http://www.tokyorainbowweek.jp/


(meroe)

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