2014年5月26日月曜日

国立新美術館の「イメージの力―国立民族学博物館コレクションにさぐる」展覧会

Mengfeiです。
この間、国立新美術館の「イメージの力―国立民族学博物館コレクションにさぐる」展覧会に行ってきました。

日本記号学会の発表会の登壇者、高麗大学のキム・ソンド先生のアテンダントとして、ミュージアムに案内させていただきました。
空港からホテルに行って、荷物を預かってもらって、まっさきに先生が新美のイメージ展に行きたいと、ものすごい熱意が伝えてきました。

乃木坂駅から直接していて、先生が新美の立ち位置の便利さに感心していらっしゃったようです。
展覧会の解説バネル(とくに英語)、展示品、とアイデアに、先生がとても感銘うけていらっしゃいました。

なぜかというと、よく西洋の博物館・美術館で見られている展示手法と異なるからです。
「地域・歴史別ではなく、aetheticsがこの展覧会、中心としての陳列基準です」と最初の解説ペネルがこういっていました。
The British Museumにいっても、The Metropolitan Museum of Artにいっても、地域別が当たり前のように、
アジア、アフリカや中東などが別々のギャラリーに分かられていて、回ってみると、なぜか文化のハイラーキーが暗示されているように感じ取れます。それが、よく指摘されていた、帝国主義・西洋のまなざしから見る、Darwinistの展示手法とも言えます。こういったハイラーキー付け、分類しがちなModernist・西洋のまなざしに馴染まれて、アジアなどのミュージアムでも、こういう展示手法が多いようです。

今回のイメージ展が違う方法に挑みました。
六章、「プロローク」、「みえないもののイメージ」、「イメージの力」、「イメージとたわむれる」、「イメージの翻訳」、と「エピローグ、見出されたイメージ」というテーマ別で構成されていました。
キーワードとして、ハイブリッドの展示でした。
たとえば、第一章の「みえないもののイメージ」の中で、様々の宗教のイコンが並ばれていました。
ドイツのイエス像から、チベットのTangKa、ネパールの曼荼羅(なんと2004年に四日間で作られてた砂絵)がずらりと目の前で広がりました。
それがまさしくハイラーキーではなく、文化の共通・宗教の力が伝わってきます。

最後のところに、先生が「翻訳」という言葉に引っかかっていらしゃったようです。
先生がフランスの理論や文化に馴染んでいらっしゃって、英語との違いによく気づきます。
「Translate」という言葉、もっと広い意味で、一つの言葉から一つの言葉への訳だけではなく、文化の違いも混じってて、その訳された土地で、種がもしかして同じですけれど、撒いたあと、すこし違う芽や花が出てくるかもしれません。
一つの言語は交流を可能したツールだけではなく、それを通して、違う世界も見えてくるかもしれません。

先生と一緒に展覧会を回って、本当に刺激が多かったです。
いつも友人と都合がバラバラで、興味も違うので、一人で展覧会に行くことが多いですが。
同じものを見て、違う視点や感想を共有するのがなかなかいいということに気づきました。

最後に、このイメージ展は他のBlockbuster展との違いも見つかりました。
それが、図録しか売っていないということです。また、学生料金が500円というかなり安い値段です。
日本の展覧会、商業性が強いほうが多いです。
絵はがきからはじめグッズいつもものす〜ごく並ばれていて、いつも展覧会の後、そういう「周辺商品」のSpectacleに圧倒されます。買うとき時も多いですが。
今回はそういうことがなく、終わり方ちょっとすっきりの感じでした。
よくみれば、主催、共催、後援、協力の方々は国立民俗学博物館(行ってみたいですね)、日本文化人類学会、NHKや国立情報学研究所、と千里文化財団です。調べてみると、「千里文化財団」は 国立民族学博物館友の会です。今回企業や民間メディアが入っていないです。そのものすごく大きい柱などぜったい包装、運送料高かったでしょうね。みんな頑張っていましたね。

展覧会は6月9日までです。ご興味がある方、ぜひぜひお見逃しなく。

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