2014年10月14日火曜日

はじめまして、M1K.S.です。私も今年の8月に大町と台北を訪問しましたが、今回は台北の建築保存についてご紹介します。前の投稿と少し被るので、少し詳しめに書いてみました。

台北合宿では随分と色々な場所を見て回りました。その中で着いた当日から実感できたのは、歴史的な建築物の豊富さです。

最初は一々感動して写真に撮っていましたが、このような町並みばかりなのでいつの間にか慣れてしまいました。

そんな台北も世界中の他都市の例にもれず、1960年代には道路幅を7.8mから20mに広げるという都市計画で歴史的な建物が多く失われたそうです。この道路拡幅と連動してのことだと思いますが、2,3階建ての建物を15階建てまで許容する規制緩和もなされたようです。

そんな開発の時代から保存が模索されていたのが、ゼミで訪問した大稻埕です。この地区は淡水河に隣接し、清朝時代から布や漢方薬などの問屋街として栄えてきました。ここには台北市により都市再生拠点が設置され、ソフト・ハード両面からの整備が進んでいます。

私たちが最初に訪問したのは、URS44大稻埕工作坊というまちづくり拠点です。ここで台北市政府都市発展局の方と台湾歴史資源経理学会の方から説明を受け、その後実際に町並みを歩きながら解説をしていただきました。

以下では写真と共に簡単な解説をしていきます。

これは初期の保存例です。正面のファサードを復元(再現?)し、セットバックした後ろに高層棟が建てられています。
次の保存段階の例がこれです。正面のファサードをかなり正確に復元し、その後ろにセットバックした高層棟を建てています。道路の狭さと敷地の奥行のおかげで高層棟も目立ちません。高層棟のデザインも伝統建築風になりましたね。
最新の段階では、新築で低層の伝統建築を再現しています。本来は鉄筋コンクリートではなく煉瓦造だと思いますが、表面をタイルやモルタルで覆えば分からないでしょうね。低層の建物を建てることで利用できない分の容積率は、地区外に移転できるそうです。

次はソフト面を見ていきます。
これはおしゃれな工芸品を集めたお店ですね。元々この地区には無い業種でしょう。ここでお土産でも買おうかと見ていると、日本製の商品が(笑)。

こちらは地元の老舗とのコラボで新しい商品を作り出したという展示です。この展示が行われていたURS127には、都市再生の本を集めた図書コーナーもありました。

この他にも地域の記憶の展示、画廊、日本産食品の店などがありました。もちろん昔ながらの乾物屋さんもあります。

今回は見学していませんが、若者の起業支援なども行われているそうです。既にブログで紹介されている剝皮寮歷史街區の凍結的な保存よりも新しい、文化的な魅力で人と資本を集めるという、都市開発と保存の合わせ技がここでは取られているようです。

歴史的な建物を利用した再開発では外観だけを再現したものが日本でもよく見られますが、それでいいのかと考えさせられた光景を最後に紹介します。

台北で見た商店建築は奥行きが長いので、採光・通風のためと思われる中庭があります。
ここは3階分の高さがあり、各部屋にはデザイナー事務所やケーキ屋が入居していました。外観からは想像できない独特の空間を体験することの驚き、それが長い間存続してきた実物であるという安心感は、やはり何者にも代えがたいものだと実感しました。

(K.S.)

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