2014年10月3日金曜日

アート・アーカイブについて

ご存知の方もいると思いますが、東京アートポイント計画×NPO法人アート&ソサイエティ研究センター P+ARCHIVEというところで、アート・アーカイブ・キットというものが公開されています(http://www.art-society.com/parchive/kit)。

「スターター・パックのダウンロード」は、プロジェクトを実施する際、資料がどこで誰によって作成されるのかについて確認するためのワークシートです。

「アート・アーカイブ・キットPDF」は、プロジェクトの進行に応じて生じてくる資料をアーカイブしていくために考慮するべき事柄が簡潔にまとめられ、アーカイブする際に使える資料が収録されています。

「アート・アーカイブ・ガイドブックβ版+」は、“アーカイブにあまり馴染みのないアート・プロジェクト運営者にアーカイブの目的やその構成を解説し、アート・プロジェクトの活動の記録・保存方法を紹介することを主な目的とした案内書”だとされています。アート・プロジェクトに焦点を当て、アーカイブを作る意味や、プロジェクトの進行に応じてアーカイブ作成のためにどのようなことを考慮してどのような作業をする必要があるのかについて分かりやすくまとめられています。

なぜ記録が必要なのか、記録するときに何を考える必要があるのか、についてある程度認識を共有させておくために、今学期のゼミで記録に関わるような人には「アート・アーカイブ・ガイドブックβ版+」を、時間を見つけて読んでおいてほしいと思ったので、紹介しておきます。

(余談その1
夏休みに受講したとある集中講義で、講義本体ではあまり取り扱われなかったのですが、受講生の中から「大学文書館」についての話題が提供されたことがありました。大学のxx年史が編纂されて、そのとき収集した資料を保存するような形で大学文書館が設置され、大学における文書の管理と保存が行われるようになることがあるそうです。ただ、そのとき保存の対象とされるのはいわゆる「正史」のようなもので、業務文書とか事務文書が中心になっており、大学で行われている授業に関する記録はよくてもシラバスや便覧くらいで実際の授業で配布されたプリントなどは記録されていないのではないか、そのような誰がどんな授業をやっていたかについての記録も残していくべきなのでは、というような問題提起がされていました。
先日の授業後に先生がちらっと話されていましたが、この授業の記録も色々な形で取られて残されているわけですが、十分に整理されて活用されているか、というとそうでもない部分があり、うまく活用できるように整理も必要ですし、作成時点で保存や整理、活用のことまで考えて記録が作られるような仕組みづくりや運用方法も必要なのだろうな、と思いました。大学全体の文書管理まで扱うことはできませんが、この授業に関してはせっかくこれまでの記録が残されてきているわけですし、何らかの形でうまく記録を保存して活用していけるような仕組みづくりを考えていければな、と思っています。

(余談その2
再び、とある集中講義での話です。紙の質というのは色々あって、酸性紙は劣化しやすくて中性紙は保存性が高い、再生紙はまだ十分に保存性が実証されていないのだそうです。それで、お高い紙はそれなりに保存性という意味での質もよろしいらしく、戦争期のような物資不足のときは使われている紙も劣悪なものが多くて保存性もよろしくないようです。最近は経費節減という形で安い紙を使うようにとされる場合があるわけですが、安い紙というのはやはりそれなりの質らしく、長期的に保存するべき文書に保存性のあまりよろしくない紙を使うのはどうなのだろうか、という話題がありました。
長期的な視点の必要な事業や制度設計を、短期的な評価軸で評価して進めていくと、後々被害や損失が出る危険性があるわけですが、それらを記録する文書に関しても、短期的な利益のために保存性について考慮することなく記録媒体が選択されると、後で大きな記録の損失が生じる可能性があるのだろうなと思いました。

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