2013年6月28日金曜日

「シネマ歌舞伎クラシック」

今週末はいよいよ文化経済学会ですね。
同じく今週末土曜日から「シネマ歌舞伎クラシック」も始まります。
 
 シネマ歌舞伎とは、HDカメラで撮影した歌舞伎の舞台公演を、映画としてスクリーンでデジタル上映するというもので、20051月に『野田版 鼠小僧』が公開されました。tantakaさんが書いていらっしゃるライブビューイングのように生中継ではありませんが、過去の舞台映像を編集したものを上映する、以前私がブログで書いた『ゲキ×シネ』と同様のものです。役者の細かい表情や身体の動きをクローズアップで見れるなど異なる角度から歌舞伎を鑑賞できる、劇場とは違った観劇体験です。
 

 シネマ歌舞伎が開始した当時は珍しいデジタルシネマを使った映画以外のコンテンツとして、またデジタルと歌舞伎という一見相反する要素の組み合わせに大きな反響を呼びました。 そして今回のシネマ歌舞伎クラシックは、三十年も前の舞台を大画面で鑑賞できるということで注目されています。
上演作品は以下5作品で、現在はもう観れない大名題の名演技を楽しめる、とても贅沢なラインナップになっています。

『隅田川』(昭和56年1月歌舞伎座)
上映時間:52分
清元志寿太夫出演
  斑女の前:六世 中村歌右衛門
  舟人:十七世 中村勘三郎

『本朝廿四孝 十種香』(昭和58年1月歌舞伎座)
上映時間:60分
  八重垣姫:六世 中村歌右衛門
  腰元濡衣:七世 中村芝翫
  原小文次:三世 實川延若
  白須賀六郎:中村福助(現 梅玉)
  長尾謙信:十三世 片岡仁左衛門
  花造り簑作実は武田勝頼:七世 尾上梅幸

『梅雨小袖昔八丈 髪結新三』(昭和56年5月歌舞伎座)
上映時間:125分
  髪結新三:十七世 中村勘三郎
  手代忠七:七世 尾上梅幸
  白子屋お熊:七世 中村芝翫
  下剃勝奴:中村勘九郎(十八世 勘三郎)
  家主長兵衛:十七世 市村羽左衛門
  弥太五郎源七:十三世 片岡仁左衛門

『二人椀久』(平成9年9月歌舞伎座)
上映時間:32分
  松山太夫:四世 中村雀右衛門
  椀屋久兵衛:五世 中村富十郎

『年増』(昭和59年4月歌舞伎座)
上映時間:22分
  年増お柳:七世 中村芝翫
 
(シネマ歌舞伎クラシックホームページより引用)

 この作品の中でも、戦後歌舞伎界の女形の最高峰とされている六代目中村歌右衛門さんの『隅田川』、そして十七代目中村勘三郎さんの当たり役であった『髪結新三』は、特に外せない作品です!

 過去の役者さんについて調べるうえで写真、劇評、芸談以外の手がかりとして、実際の舞台映像を見ることができるのはとても貴重な体験です。私の場合は勉強のためでもありますがただ記録として過去の映像を保存するだけでなく、映像資料を活用することで、一人でも多くの人に歌舞伎って面白いかも!と感じてもらえたらいいなと思います。そして、そのような場としてシネマ歌舞伎を、今後東京だけでなく各地の映画館や公共施設にも広げていくことが必要なのではないでしょうか。
 
「シネマ歌舞伎クラシック」
 【期間】2013629日(土)~719日(金)
http://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/
 【劇場】 東劇(東京)
(M.H)

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