2013年2月22日金曜日

リオデジャネイロのマラカナ村闘争



皆さん、

こんばんは。MPです。


今年の1月までリオデジャネイロ市の最も有名な競技場のすぐそばでは、ブラジルの先住民のグループが``Nao a demolicao, sim ao tombamento``というモットーで知事と戦った。このモットーは日本語では「破壊反対、登録賛成」となる。

 現在ブラジルでは、2014年のワールドカップ開催の準備が行われている。その結果、競技場、各チームのための寮、地下鉄、練習センターなどが全国に建設されている。あちこちに新たな建物が現れる一方で、古い建物が破壊される。ワールドカップを開催することに必要となるインフラを整えることにつれ、都市開発が早く進んで、風景がますます変化する。リオデジャネイロ市にはブラジルの最も有名な競技場、マラカナ(Maracana)競技場がある。1950年に開かれたブラジルワールドカップの決勝戦がこの競技場に行われ、ブラジルはウルグアイに負けたのだった。改修のために、来年にもマラカナでは最後の試合が開催される。現在マラカナには大きな工事が計画されていて、そのプロジェクトにおいて対象は競技場自体だけでなく、その周辺にも様々な工事を施す予定があり、ショッピングセンターや駐車場を建設するためにマラカナの周辺にある建物を破壊する必要がある。しかしながらその周辺には、1862年に建設された大邸宅が残っている。
その大邸宅は1950年代から70年代の終わりまで「先住民博物館」として使われていた。先住民博物館(ポルトガル語ではMuseu do Indio1950年代にインディオ文化やインディオについての研究を代表する人類学者Darcy Riberioによって、1953年に設立された。その前1910年から行政の公共サービス窓口としての「先住民保護サービス」も同館にあった。先住民博物館はブラジルで最初の正式な「先住民」を中心とする博物館だった。1978年には同館は別のところに移動し、建物が残った。博物館は移動したにも関わらず、その建物はインディオにとって重要なところとなった。
 1978年まで先住民の博物館であった建物は、リオデジャネイロ州の公共サービスの様々な目的で利用されたが近年廃墟になり、2006年には先住民が建物を占拠した。そしてマラカナ村という名前を付け、そこでリオデジャネイロに先住民文化の拠点を作ろうとした。先住民は、その建物を「文化センター」にすることを目指した。実際に7年前から「マラカナ村」はリオデジャネイロでの先住民の文化の拠点になった。毎月の最初の土曜日に先住民の文化祭を開催し、料理、踊り、昔話、先住民芸術などを通じて村の維持に当たる経費の一部分を支えることが出来ている。マラカナ村自体は先住民の文化そのものとも言えるだろう。そこに生活している人々は先住民コミュニティの生活様式を都会の中に果たしている。
 マラカナ村の人々は現在リオデジャネイロの市民の応援を得て、昨年の10月から裁判所で建物を破壊しないように、またそこに住んでいる先住民を退去させないように闘っている。現在でも毎日マラカナ村のリーダー達はリオ市のあちこちに行って活動をアピールし、市民の応援を要望している。11月の終わりに裁判所は建物を壊さないこととインディオを退去させないことを決定したが、リオデジャネイロ州の知事はその決定を訴えてキャンセルすることが出来、12月の終わりにはまたインディオが負ける恐れがあった。しかし今年の1月から、市民、ブラジルの文化庁や国連の批判も受けたリオデジャネイロ州知事は、マラカナ村の建物を文化財として登録することに決め、インディオの意思が勝った。それにも関わらず、村はそこに継続するかどうかはまだ不明だ。文化財登録は決まったものの、インディオが留まれるかどうかについてはまだ決まっていない。実はマラカナ村の建物だけでなく、今回のプロジェクトでは、マラカナ競技場の周辺を民間化することが決まっている。現在、民間化のプロセスが始まっており、競争入札で選ばれる会社や企業グループがマラカナ競技場とその周辺の責任者となる。民間化後においてはマラカナ村の保存や修理は民間の所有者の責任となり、村の将来はまだ不明である。同時にマラカナ周辺に以前からあった学校やスポーツセンターも壊す予定があるため、インディオだけでなくそこに住んでいる市民が今回のプロジェクトに対して非常に反対している。
 さて、世界的に期待されているワールドカップへの準備は、ブラジル国家表象であるサッカー(ポルトガル語ではFutebol)を中心に進むものの、同国家の先住民国民アイデンティティや文化財保護の問題を社会の中に浮き出させている。これからもリオデジャネイロだけでなく全国に、似た問題が闘争の対象になるのではないか。

マラカナ村の闘争は長く、昨年からインディオが何回もディベートを行った。ネットで公開されている。
以上のリンクで見ることが出来る。




Indio(インディオ)ラテンアメリカに住む先住民(百科事典(電子辞書版より)

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