2012年11月11日日曜日

東京の祭りを考える

先日ぼんやりテレビをながめておりましたら、徳島で行われている国民文化祭の中継映像が流れていました。文化庁のHPによれば、国民文化祭とは「全国各地で国民一般の行っている各種の文化活動を全国的規模で発表し,競演し,交流する場を提供することにより,国民の文化活動への参加の機運を高め,新しい芸術文化の創造を促すことを狙いとした祭典」だそうで、なかなかに華やかです。

文化庁・国民文化祭:http://www.bunka.go.jp/geijutsu_bunka/02kokubunsai/
第27回国民文化祭・とくしま2012:http://www.pref.tokushima.jp/awastyles/

さまざまな文化団体が入れかわり立ちかわりパフォーマンスを繰り広げるのを見ておりましたが、何といっても一番盛り上がったのは、大勢の踊り手による阿波おどりの実演です。実は私自身も、むかし阿波おどりの連(れん:パフォーマンスグループのようなもの)に入って踊らせてもらったことがありました。ただし、場所は徳島ではありません。私が参加したのは、”東京の阿波おどり”でした。

阿波おどりとは、その名の通り、阿波=徳島に発祥した盆踊りの一種で、よしこのという独特な音楽に乗ってリズミカルに踊られるものです。この阿波おどりは、徳島県人会などを中心に全国に広がり、各地で「阿波おどり」と名のつく祭りが行われるようになりました。私の参加していた小金井市の連は、その町で生まれ育った地元の方々が中心になって結成した連で、小さなお子さんから年配の方まで、熱心な人になると、親子三代で参加している方もおられました。週に何度か地元の体育館や公民館の一室を借りて練習し、夏になるとその成果を都内各地の祭りで披露します。中でも最大の舞台が『東京高円寺阿波おどり』、2012年に第54回を迎え、毎年約150連が参加・100万人が訪れるという一大イベントです。

東京高円寺阿波おどり:http://www.koenji-awaodori.com/

話は変わりますが、江戸時代には、「江戸三大祭」と呼ばれる三つの大きな祭りがありました。『神田神社の神田祭』『日枝神社の山王祭』『富岡八幡宮の深川祭』がその三大祭で、いずれも神社が行う宗教的祭礼であり、また江戸っ子の心のよりどころでもありました。一方、現代の「東京三大祭」はと言えば、『東京高円寺阿波おどり』『スーパーよさこい(原宿・表参道)』『浅草サンバカーニバル』。よさこいは元来高知の、サンバはご存知ブラジルの祭りなので、「東京三大祭」はいずれも違う土地からやって来た祭りが、東京という地に根づいたものと言えそうです。

「東京は田舎者の集まり」などという言葉がある通り、東京は、各地から上京してきた人々が寄り集まってできた都市だと言われています。江戸時代にさかのぼってみると、「三代住めば江戸っ子」という同じような言葉があり、新開地・江戸に各地からやって来た人々がこの地に住みつき、”江戸っ子”となって独自の文化を築いてきたことが分かります。その文化の象徴の一つが「祭り」であり、華やかな祭りを通じて、人々は江戸という町を享受し、そこへの帰属意識を高めていきました。

『東京高円寺阿波おどり』も、もともとは『高円寺ばか踊り』という名で、地元の商店街の青年部が町おこしの一環として始めたものだそうです。人の集まるところに祭りあり。その宗教的意味合いが薄れる一方で、コミュニティの人々をつなぐ「場」へとゆるやかに変質しつつあるのが、現代という時代の祭りなのかもしれません。

(mio.o)

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