はじめまして。M1として入学しましたMubeです。ブログ…全く慣れていませんが、よろしくおつきあいのほどお願いいたします。最初から陰気な話題でスタートです。
2009年5月2日に「日本の偉大なロックスター(通称ですが)忌野清志郎」が亡くなってからそろそろ4年になります。毎年5月になると各種の追悼イベントが開かれます。ファンだったので、お仲間から必ずこの季節になると声が掛かるのですが、「本人が出ないので行きません」と答えていました。なのですが、今年は友人が出産となってしまいチケットが余るということで、追悼公演に属する「矢野顕子 忌野清志郎を歌う」ツアー2日目、日比谷公会堂公演に行ってきました。
どんなスターが亡くなってもですが、追悼番組放送、追悼公演やイベント、追悼本・追悼DVD販売などが怒涛の如く展開されます。「秘蔵写真」が出てきたり、忌野清志郎の場合もご多分にもれずたくさんのモノやイベントが死後世に出ました。最初は右往左往でなんでも買いまくっていましたが、段々と「死人に口無し」と言いますか、これは本人が望んだかたちだろうか?と疑問が沸いてくるようなものも見られ、そのうち本人発言率、本人関与率の多いものだけにチェックするようになりました。
そして追悼ライブ…というのがまた多かったのですが、一度足を運んでみたところ「玄人カラオケ大会」というか、ほかの歌手やかつてのバンドメンバーが順番に歌うといったイベントに、ぽっかり空いた穴をかえって再確認させられるようで、わびしくなって行かなくなりました。
追悼、追善…といえば歌舞伎などでも追善公演をしていますよね。亡くなった名優の当たり役をゆかりの役者さんが務めていて、故人の遺影とお焼香台が設置されていたり、思い出のパネルがロビーに展示されたり。常に死者とともにいるというか、「亡くなった何代目は…」みたいな視点から現在の役者を眺めている歌舞伎などの観賞法には追善公演はなじみやすいものかもしれません。新しい歌舞伎座でも3階設置の鬼籍に入った歴代の名優の写真パネルが大人気で、誰彼が似てるのなんだの言いつつ眺めていると、ここはたくさんの役者が重層的に同じ名前を繰り返しながら演じている場所なんですよ、ということが視覚的に自然に入ってきてとてもよい展示だなと思います。追善の意味もこのパネルで大いに納得させられます。
戻りまして、歴史も若いロック業界の場合の追悼・追善は…?二代目清志郎を息子が継ぐというわけでもないので襲名の気合もなく、ただ故人の歌を歌うだけで、ロックが形骸化していくというか、追憶と感傷のみに走ってしまうカラオケ大会に堕してしまいがちです。ところが今回の矢野顕子公演は…この私の数年来の追悼イベントへのモヤモヤを晴らしてくれる素晴らしいライブでした。今回の『忌野清志郎を歌うツアー』について矢野顕子は「ファッションとか歌唱法とか、彼のキャッチーな部分の芯にある“曲の素晴らしさ”に向き合いたい」というコメントでしたが、原曲をほとんどとどめないアレンジで大胆に曲に切り込むことで清志郎の曲(のうちの詩)のいちばんコアな部分をあぶり出して、そこで死んでしまった盟友と音楽で語り合っている、そしてその会話は過去の二人の時間から生まれつつも、今、ここで進行しているというありえない時間に圧倒されました。清志郎が「アッコちゃんにはまいったな~」とか言いながら照れてる様子が見えてくるようで、「ああ、これこそ供養、追善…」と、お線香の一本でもあげたくなるような魅惑のアッコちゃんでした。
そして、歌舞伎の追善公演なども同じじゃないといけないんだろうなと思いました。先代を偲ぶという過去へのまなざしを持ちつつも、過去だけにとらわれて型の中で形骸化した「カラオケ」になってしまってはだめで、死んで無口になってしまった故人と深く対話すること、さらには現在そこでライブで生きている自分が演じていることの意味が加わってこないとロックやかぶきにはならないんじゃないかと思いました。そんなことを考える週末でした。雑文にて失礼いたしました。
2013年4月25日木曜日
2013年4月24日水曜日
トーダイ食探訪①
はじめまして!今年M1として入学しましたpugrinです。
まだ慣れないことが多く、ゼミブログも何を書こうかなーと思っていましたが、
初めてなので、今回はかる~く東大でのランチ事情について書こうと思います!!!
(そしてきっとご飯の報告は今後も続くかと思うので①としましたw)
社会人経験を経てまた学生に戻った身としては外せないのは
「学 食」。
まずは学食をいろいろ食べて回りました。
①銀杏・メトロ食堂
法文2号館の地下にある、ふるーい食堂です。
わたしは親子丼を注文しましたが
可もなく
不可もなく
といった感じでした。ちなみに360円。
とってもお得です☆
②第二食堂
書籍部の2階にある食堂です。
ザ・生協というようなメニューです。
あ、学部(ほかの大学でした)の時食べたことある・・・
みたいな印象。
その時食べたのは
竜田揚げ丼(390円(確か))。
やはり竜田揚げに間違いはなかったです。
③中央食堂
安田講堂地下の名物食堂!なんでしょうか、
やはり観光・見学のお客さんが多いこと!!
赤門ラーメン(ハーフで360円)はなかなか美味しかったです♪
個人的にはたくさん唐辛子をいれてもーっと辛くしても好きです(^0^)
そしてその赤門ラーメンの人気もあって
麺コーナーはめっちゃ並びます。
あと量がすごいです。
自分はハーフでお腹いっぱい、普通の量は多分食べきれない・・・
でもお値段は30円しか違わないのですよ。
④UTカフェ・ベルトレ・ルージュ
うってかわって。
新しくってオッシャーなカフェが赤門近くにあります。
(※オッシャー:お洒落な、の意)
観光用といっても過言ではないですね。
近所の奥様方がランチしていらしたりして
優雅です。
お値段も、優雅です。
パスタやプレート、サンドイッチが優雅なお値段相応に
美味しいです。
ただ先日わたしは新聞でこのカフェについての記事読み、
その記事のイチオシに釣られて食べてしまいました。
パフェを。
美味しいです( ^ ω ^ )
ソフトクリームにフローズンベリーがいっぱい載ってて
砕いたスポンジも入っててベリーソースまでかかってて
うふふふ( ^ ω ^ )
【さてここからはいったん学食を離れます。】
⑤生協のお弁当
不思議なことに、
学食で暖かいご飯を椅子に座って食べるより
お高いんです。
それだって525円とかですけど。
それでもって内容がものすごく
マニッシュ。
カツとハンバーグとか、それにスパゲッティとか。
何買おうか値段と内容とカロリーで迷ってるうちによくわからなくなり、
ついうっかり天丼を手にとって安田講堂前のベンチで食べました。
油。。。を食べている感じがすごくその。。。
脳内麻薬を分泌してるような感じがして。。。
最後は胃もたれでした。
お弁当はよく選んで買おう!
⑥ネオ屋台ワゴン
三四郎池の入口横にあるのです。
なんと。オフィスみたいーとか思いましたが
やはり東大くらい広いとそういった需要もありますよね。
「からあげエッグカレー」(680円)
これもテッパンすぎるチョイス!
(※テッパン=鉄板:硬い、確実な、の意。)
購入後即座に三四郎池のほとりで食すこの贅沢。
もうピクニックかと。
唐揚げサクサクで中が柔らかくて
温玉とカレーと混ぜるとか
それにサラダもついてくるとか
素晴らしすぎます。
ロケーション込みで今一番のお気に入りになりましたw
(ごめんね学食)
以上、修士の2年はあっという間かもしれませんが、
そのあいだにお昼ご飯はいろいろ食べられるはず!
と意気込んでいるpugrinでした(∈^▽゚)キラッ☆
次回以降もがんばっていろいろ書き込みますね~
まだ慣れないことが多く、ゼミブログも何を書こうかなーと思っていましたが、
初めてなので、今回はかる~く東大でのランチ事情について書こうと思います!!!
(そしてきっとご飯の報告は今後も続くかと思うので①としましたw)
社会人経験を経てまた学生に戻った身としては外せないのは
「学 食」。
まずは学食をいろいろ食べて回りました。
①銀杏・メトロ食堂
法文2号館の地下にある、ふるーい食堂です。
わたしは親子丼を注文しましたが
可もなく
不可もなく
といった感じでした。ちなみに360円。
とってもお得です☆
②第二食堂
書籍部の2階にある食堂です。
ザ・生協というようなメニューです。
あ、学部(ほかの大学でした)の時食べたことある・・・
みたいな印象。
その時食べたのは
竜田揚げ丼(390円(確か))。
やはり竜田揚げに間違いはなかったです。
③中央食堂
安田講堂地下の名物食堂!なんでしょうか、
やはり観光・見学のお客さんが多いこと!!
赤門ラーメン(ハーフで360円)はなかなか美味しかったです♪
個人的にはたくさん唐辛子をいれてもーっと辛くしても好きです(^0^)
そしてその赤門ラーメンの人気もあって
麺コーナーはめっちゃ並びます。
あと量がすごいです。
自分はハーフでお腹いっぱい、普通の量は多分食べきれない・・・
でもお値段は30円しか違わないのですよ。
④UTカフェ・ベルトレ・ルージュ
うってかわって。
新しくってオッシャーなカフェが赤門近くにあります。
(※オッシャー:お洒落な、の意)
観光用といっても過言ではないですね。
近所の奥様方がランチしていらしたりして
優雅です。
お値段も、優雅です。
パスタやプレート、サンドイッチが優雅なお値段相応に
美味しいです。
ただ先日わたしは新聞でこのカフェについての記事読み、
その記事のイチオシに釣られて食べてしまいました。
パフェを。
美味しいです( ^ ω ^ )
ソフトクリームにフローズンベリーがいっぱい載ってて
砕いたスポンジも入っててベリーソースまでかかってて
うふふふ( ^ ω ^ )
【さてここからはいったん学食を離れます。】
⑤生協のお弁当
不思議なことに、
学食で暖かいご飯を椅子に座って食べるより
お高いんです。
それだって525円とかですけど。
それでもって内容がものすごく
マニッシュ。
カツとハンバーグとか、それにスパゲッティとか。
何買おうか値段と内容とカロリーで迷ってるうちによくわからなくなり、
ついうっかり天丼を手にとって安田講堂前のベンチで食べました。
油。。。を食べている感じがすごくその。。。
脳内麻薬を分泌してるような感じがして。。。
最後は胃もたれでした。
お弁当はよく選んで買おう!
⑥ネオ屋台ワゴン
三四郎池の入口横にあるのです。
なんと。オフィスみたいーとか思いましたが
やはり東大くらい広いとそういった需要もありますよね。
「からあげエッグカレー」(680円)
これもテッパンすぎるチョイス!
(※テッパン=鉄板:硬い、確実な、の意。)
購入後即座に三四郎池のほとりで食すこの贅沢。
もうピクニックかと。
唐揚げサクサクで中が柔らかくて
温玉とカレーと混ぜるとか
それにサラダもついてくるとか
素晴らしすぎます。
ロケーション込みで今一番のお気に入りになりましたw
(ごめんね学食)
以上、修士の2年はあっという間かもしれませんが、
そのあいだにお昼ご飯はいろいろ食べられるはず!
と意気込んでいるpugrinでした(∈^▽゚)キラッ☆
次回以降もがんばっていろいろ書き込みますね~
2013年4月20日土曜日
フランス便り(14) 「隠された」文化施設 La Maréchalerie - centre d'art contemporain
新学期が始まりました。小林ゼミにも新たにメンバー加わり、今後の活動が楽しみです。
(新メンバーの方は過去ログにゼミで取り組んだプロジェクト関連の記事がありますので、そちらも参照して下さい)
さて、ブログの方も気分新たに!といきたい所ですが、今回の投稿は昨年末のフランス滞在の続きです。まだ紹介出来ていないものがあるので。。。
2012年11月下旬、「輸送」されてくる大量の観光客に紛れつつかの豪奢なヴェルサイユ宮殿に行く手前で左手に曲がり、扇形に広がるひっそりとした建物へ、インタビューに行きました。その名もラ・マレシャルリ( La Maréchalerie:蹄鉄場の意)。
ルイ14世の主席建築家マンサール(Jure Hardoin-Mansart)が1678-1682年に建てた厩舎裏手に位置するヴェルサイユ建築高等教育機関( l’école nationale supérieure d’architecture de Versailles :énsa-v)の現代美術センターで、フランスでは唯一の建築学校付属の現代美術施設です。
2004年、当時の校長ニコラ・ミシュラン(Nicolas Michelin:前職は芸術学校長)のイニシアチブのもとで建築と造形芸術の関係を再考する場としてこのセンターが作られました。
当該施設は、単に学校のギャラリーというよりはむしろ、「建築の授業を造形芸術の範囲にまで拡張する試み」として位置づけられており、年3回の展覧会を開催、より厳密に言えば、「3つの創作をサポート」しています。
建築家の卵である生徒にとっては、建築とアートの関係性を学ぶ場であると同時に、職業経験を得る場でもあります。
各展覧会にあたって、当該施設に所属するディレクターが「仕事の質/サイトスペシフィックな作品プラン/新進気鋭かどうか」という観点から選出したアーティストに対し、100%の資金・物資提供を行い作品を制作してもらいます。
その際に学校側が法定最低賃金(SMIC: Salaire Minimum Interprofessionnel de Croissance)で有志アルバイトを募集し、生徒は創作活動の物理的な手伝い(創作的観点には関与しない)や展覧会での監視などを行います。
一方芸術家にとっては、「創作活動の継続=作品を見える形で発表し続ける」ことであるので、有益な創作・展示の機会として活用している他、建築家との出会いにより創作におけるより空間的に自由な創造・新しい経験を得る事が期待されています。この事は今日のアートや建築に求められている在り方に則していると言えます。
その限りにおいて、当該施設は建築学校とつながってはいるものの、芸術のためだけの施設という点では建築と離れ、独立した機関として機能しています。
ラ・マレシャルリには、大きな文化施設と異なりメセナとなる企業がついていません。企業にとっての協賛の理由となる「可視性(いわば広報力)」が低いからです。
展覧会の内容によって、スポンサーまたはパートナーが物資の提供を行っています。例えば、私が伺った際の展覧会では展示室一面にブロックが敷き詰められていましたが、そのブロックをある企業が無償提供する、などです。
*フランスにおけるメセナとスポンサー・パートナーの違い:メセナは主に予算(お金)を複数年に渡り与えるが、スポンサーは物資や副次的協力を行う
原則として、各展覧会は既存の作品を持ち込み展示するのではなく、新たにその場で一定程度以上「サイトスペシフィック」と言える作品を制作します。
そこでは芸術家が作品の所有者であり、展覧会終了後に作品を売るか、壊すか、持ち帰るかは芸術家の一存に任せられています。(一般的にこうした作品は外部への持ち出しと再展示が困難な場合が多い)
作家選出の基準として「新進気鋭の作家」が挙げられていますが、施設の芸術性を誇示し生き残るために、しばしば既に有名な芸術家も招いています。川俣正さんもここで展覧会を開いています。
さて、先程この施設には「可視性(visibilité)が無い」と述べましたが、その理由は場の特殊性にあります。
駅からヴェルサイユ宮殿に向かう道の途中に位置するこの施設も、例にも漏れず17世紀の建物であり、歴史的建造物の法律で景観保護を義務付けられています。
従って、看板をつける事はおろかチラシを貼る事も出来ません。かろうじて透明な小さい掲示を出しているだけです。実際私も、なかなかたどり着けませんでした。
また、そもそもバンリュー(banlieue:パリ郊外)に位置する文化施設は、一般的にパリ市民(または観光客)には遠く、パリには既に様々な文化施設があるのでわざわざ郊外に行く必要はなく、注目度は低いという立地上に圧倒的に不利な点があります。
そんな郊外の文化施設にとって、イル=ド=フランス地方の現代美術施設を結ぶトラム(TRAM Réseau art conteporain Paris/Ile-de- France)は画期的なネットワークになっています。
週末にシャトルバスでランダムにいくつかのセンターをめぐるツアーが組まれており、気軽に行く事が出来ます。
ラ・マレシャルリは、その他にも教育プログラムに力を入れており、午前中(一般開館は午後から)には子供たちを招いてワークショップをしたりしています。
とは言え、ベルサイユの市民は比較的「保守的で現代美術に対して警戒的」だそうです。
近年、現代美術を用いて文化遺産を再評価・プロモーションする事が流行しており、パリ近郊でもヴェルサイユ・オフ(一夜限りの現代美術のお祭りニュイ・ブランシュ(Nuit Blanche)にあわせて開催)やフォンテーヌブロー城でデザイン展などが行われています。
背景としては、2007年の文化・コミュニケーション省(以下、文化省) 改革により国の管轄下にあった文化施設の経済的自立が促進されるようになったことが挙げられます。
ヴェルサイユは海外からの安定した集客があるものの、一般的に目新しさが無く客足が途絶えがちな過去の文化財に、起爆剤としての現代美術を用いるという極めて経済的な観点からの試みであり、それは美術館で頻繁に企画展が開催されるのと同じ原理です。
とは言え、そうした「コンテンポラリーアート万能説」の神話に乗っかった企画の中には、文化財と展示されるアートとの関連性が見えないものも多く、しばしば問題になっているわけです。
そもそも、コンテンポラリーアートも安くはないので、こうした企画で採算がとれるのかというのもブラックボックスのままです。
余談ですが、インタビュイーの人が指摘した通り、結局この日私はヴェルサイユに行ったにもかかわらず宮殿に足を踏み入れる事はありませんでした。
(M.O)
2013年4月18日木曜日
日常から消えゆく伝統-チャイニーズ・ストリート・オペラの明日を担う若き俳優たち
役者さんたちはメイクも衣装も一人でこなします。 大忙しの楽屋には常連客が記念撮影に来ることも。 |
シンガポールのストリート・オペラは19世紀初頭、たくさんの移民が中国からシンガポールに渡った頃からエンターテイメントとして、また宗教行事の一部として始まりました。道路や駐車場、寺廟の敷地や遊園地などに作られた仮設舞台で、華やかな衣装と賑やかな音楽とともに無料で上演されます。(出演料は寺廟など行事の主催者が劇団に支払います)日本では北京の京劇がよく知られているかと思いますが、シンガポールでは福建、潮州、広東のオペラが特に人気があるそうです。
本番前に寺院で奉納の舞を披露する役者さんたち。 手前の女優さんが抱いている人形は演劇の神様で、 上演中は楽屋からお寺の祭壇へ移されます。 |
手厚い支援を受けたアマチュア劇団は19世紀の移動劇団のように木製仮設舞台を建ててコミュニティ向けに上演するのではなく、立派な照明と音響を備えた豪華舞台で公演を行います。ストリート・オペラは福建語や潮州語など方言で上演されるため公演には英語と中国語の字幕もつき、観光客や中華系でないシンガポーリアンでも楽しめる仕組みになっています。新たな担い手として芸を磨いたアマチュア劇団は、今やシンガポールのストリート・オペラを代表する”プロフェッショナル"として、様々な場面で伝統的な専業劇団に取って代わろうとしているそうです(たとえば、プロに代わって寺廟に呼ばれるアマチュア劇団もあるようです)。
会場の様子。奥に見える光がオペラの舞台。 白い服を着て歩いているのは 神様が憑依した童乩(シャーマン)。 |
では、昔ながらのプロフェッショナル劇団はどうなったかというと、こちらも寺廟の行事を中心に現在でも活動を続けています。アマチュア劇団の公演が年に4~5回なのに対し、ストリート・オペラを専業とするプロフェッショナルによる公演は毎月15日以上も行われているというのですから驚きです。シンガポールにお住まいの方は、ある日突然空き地にテントが出現し賑やかな音楽が聞こえてくるという光景に出くわしたことがあるかもしれません。そこではこのストリートオペラやより大衆化した歌台(getai)と呼ばれる中華系歌謡ショーが上演されているのです。
先日、シンガポール人の友人と私は運よくプロフェッショナルによるストリート・オペラに遭遇しました。4月上旬のシンガポールでは華人の間で清明(Qingming)節という、日本のお彼岸のような先祖供養の行事が営まれ、各地の寺廟では様々な儀礼が行われています。そうした宗教行事の一部として欠かせないのが、ストリート・オペラなのです。更に幸運なことに、とても寛容で親日的な一座のみなさんに舞台裏に招かれて、私たちはプロのストリート・オペラの現在を垣間見ることが出来ました。
"おばあちゃん"にヘアメイクをしてもらう劇団員のお孫さん。 彼もりっぱな俳優として舞台に立ちました。 |
私たちが出会ったのは双明鳳閩劇団という福建語(閩語)のオペラを上演する劇団です。伝統的なラッパからキーボードまでどんな楽器でも弾き熟す細身の座長に率いられた一座は総勢20名ほど(毎日役者さんが入れ替わるので総数を把握できませんでした)。役者さんは大ベテランと若手の男優さん二人を除くと全員女性、楽団(中華系のドラムセット、笛など)は全員男性です。今回は台湾から有名な女優さんを一人ゲストで呼んでいましたが、ゲスト以外のメンバーのうち何人かは血縁者で、それ以外の団員も互いを兄弟姉妹と呼び合う、大家族のような集団でした。
役者さんはお化粧やヘアメイク、衣装の着付けまですべて自分で行います(出番のない日は舞台技術も担当していました!)。濃厚なメイクアップがなされるので、公演の前後では誰が誰だかわからなくなるほど。また、彼らの多くが50代以上の大ベテランなのですが、舞台の上では化粧と照明で実年齢をかき消し、18歳の少女を可憐に演じてしまうのです。
どんな楽器でも使いこなす座長さん。かつては 劇団規模が大きく楽団も大人数だったと思われ ますが、現在ではキーボードが代役を担っています。 |
しかし、団員の高齢化はプロフェッショナルな劇団にとって課題であることは間違いありません。プロによるストリート・オペラ衰退の原因は、若年層の関心の低下と、熱心な好例の愛好者の減少に拠るところが大きいと言われています(その他新しい娯楽の発展や芸の質の低下も指摘されています)。ところが、双明鳳閩劇団では二人の20代の役者さんに出会うことが出来ました。
その一人、26歳のオンさんは「子どもの頃から親に連れられてストリート・オペラを観にいっていて、いつしか自分も舞台に立ちたいと思うようになっていました。自分たち若い世代が同年代に伝えていかなければ、この素晴らしい伝統は途絶えてしまうと気づいて以来、もう10年近く女優をやっています。」と語ります。ストリート・オペラとセーラームーンを観て育ったという彼女、普段は体育の先生なのですが、公演のある日は優雅な王女や荒々しい悪党に”変身”します。そんな彼女の生活は多忙を極めるのですが、なぜパートタイムのアマチュア劇団ではなく専業のプロ劇団を選んだのか、その答えは彼女の演技に対する情熱にあるように思いました。
ストリート・オペラの魅力を尋ねると、オンさんは次のように答えました。
「ストリート・オペラの魅力は他の役者さんや観客の反応を見ながらその場にぴったりなアドリブを入れていく即興性。そこに一番神経を使います。リハーサルも稽古なく、公演直前に演出プランを話し合うので、台本どおりに演じる舞台とはまったく異なります。字幕がついていたら、アドリブを見て、間違った!と思うお客さんがいるかもしれません。でも私たちの舞台に間違いなんてないのです。私たちの表現は相手とのやり取りの中で生まれてくるものなのですから!」
『痴情王子』の演目に出演するオンさん (向かって左)と台湾からのゲスト(右) |
興味深いことに、漫画やアニメの影響を受けた彼女ならではの新しいアイディアもメイクや衣装に現れていました。双明鳳閩劇団にはもう一人、普段はオフィスでカスタマーサービスを担当する二十台の男優さんがいらっしゃいました。方言が流暢でなかったり、中国の古典に詳しくない若い世代の観客を開拓していくことは容易ではありませんが、彼らが今後のストリート・オペラにどんな新風を巻き起こしていくのか楽しみです。
劇団の情熱に感激した私と友人は、結局三日連続でストリート・オペラの楽屋に通いつめ、オンさんや8人のお孫さんがいらっしゃるというベテラン女優さん、役者さんの幼い子ども(お孫さん)たちのお話に聞き入ってしまいました。お寺の敷地で毎夜上演されるストリート・オペラは、劇場空間で行われるそれとはまったく異なる、宗教的かつ生活臭の漂うエネルギッシュなものでした。肝心の舞台は袖からちらりとのぞいた程度だったので、次回はじっくり観劇しにいきたいと思います。(齋)
2013年4月17日水曜日
日舞へのお誘い
昔の人たちは一年中変わらない色、すなわち常緑樹である松のみどりを、
不変性や長寿の象徴として尊んできました。
『松の緑』という長唄は、そうした背景から生まれた曲です。
作者は、四世杵屋六三郎。
弁慶と義経の逸話を題材とした『勧進帳』の作曲者でもあります。
... この長唄『松の緑』を私が踊ります。
不変性や長寿の象徴として尊んできました。
『松の緑』という長唄は、そうした背景から生まれた曲です。
作者は、四世杵屋六三郎。
弁慶と義経の逸話を題材とした『勧進帳』の作曲者でもあります。
... この長唄『松の緑』を私が踊ります。
他もおよそ20名の方々の踊りが披露されます。
何時:4月21日(日曜日)、11時から~
於:四ツ谷、須賀神社(http://www.sugajinjya.org/)
何時:4月21日(日曜日)、11時から~
於:四ツ谷、須賀神社(http://www.sugajinjya.org/)
お時間よろしい方は日舞の世界へどうぞ足を運んでみてください!
bangulより
2013年4月7日日曜日
新年度が始まりました。
この間修了式を終えたばかりなのに、もう新年度が始まりました。新しい人たちが入学してきて、新たな取り組みが開始されます。昨年度から関わりだしているところ、新たに関わり出すところ、少しずつ報告をしながら共有をしていきたいと思います。
(M.K)
(M.K)
2013年4月1日月曜日
徒然
こんにちは。ついに4月ですね。
さて、先週末はアートフェア東京、G-Tokyo、六本木アートナイトとアートイベントが目白押しでした。
皆さんはいかが過ごされましたでしょうか?
そんな3月23日の10時半から、いみじくも「東京芸大生の告白~夢か生活か…人生の決断~」という番組がやっていました。
「芸術の道をとるならば人並みの付き合い方とか人並みの幸せなんて望めない」「1番になれなければ何の意味も無い」といった学生の言葉を地上波を通じて朝から聞き、その足で「消費の場」に向かいながら、何が今本当にそれぞれの人達において求められているのだろうかと改めて考える週末になりました。
ちなみに、現地でも更に色々と考えさせられました。
そういう事をうまーく文章に落とし込みたい、落とし込まなければいけない、今日この頃です。
(M.O)
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