2015年1月29日木曜日

「公立文化施設経営」がコンテンツになりつつある。

久しぶりの投稿になります、pugrinです。
先日、Mengfeiさんがブログに書いてくれた
『みんなのアムステルダム国立美術館へ』を見てきました。

http://amsmuseum.jp/

2003年、オランダ女王ベアトリクスは
「市民に文化をひろく享受せしめるべく」国立美術館の全面改装を命じます。
本作は国の威信をかけた美の殿堂を閉館し、改装というプロジェクトを歩み
再度開館に至るまでの10年のドキュメンタリーです。

芸術・文化への関わり方はいろいろあるのですが、
その中で「高級な美を」「国のために」はわかりやすいものかもしれません。
そしてそれらは粛々と頭脳明晰な専門家によりすすめられる、
と思われているかもしれませんが
この映画に描き出されるのはそんなありきたりなイメージではなく
生々しい生活と公立文化施設の共存に横たわる大きなギャップ、
出世への欲望、専門家同士のセンスの対立、それでも作品を扱える喜び、場所そのものへの愛
そんな人間たちの泥臭い内面の交錯です。

個人的には、サイクリスト協会との議論がどのように変わっていったのか
何が問題でどのように対応したのかをもっと詳しく見たかったのですが、
ともあれ芸術や文化も個人的な娯楽として表象されがちな昨今において
こんなに人間たちが衝突しあって、
迷ったり憤ったりしながら物事は進めていくしかないんだと伝えようとする本作は
とても上質のドキュメンタリーだと思いました。

手順を踏みつつも、いったり来たりしながら
時間をかけて、それでも「やるしかない」というのが政策実施の核心ではないかと思います。
高級な芸術が好きかどうか、のような部分を差し置いて勉強になる一作です。
周りの人に「何勉強してるの?」と質問された時にも便利かもしれません(笑)

まだ公開していますので、お時間のある方は是非。

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