2012年6月11日月曜日

「温泉」再発見

6月10日のB・Sさんの投稿「別府市現代フェスティバル『混浴温泉世界』」に関連して、この間ひょんなことで発見した話題をご紹介したいと思います。

先日、大学の図書館内に置かれているマガジン・ラックの横を通り過ぎたところ、ふと『温泉図鑑』なる文字が目に飛び込んできたので、思わず立ち止まって手に取ってしまいました。普段は“経済”や“情報基盤”や“国際交流”といった硬い文字の踊る棚に、「温泉?」と不思議に思い、中をぺらぺらとめくると、きれいな写真入りでさまざまな温泉地の歴史や町並み、祭礼などが紹介されています。

◆『温泉図鑑―文化編―』(日本温泉協会企画:2009-10)
(※ 同じシリーズで、『温泉図鑑―自然編―』もあります。
   東京大学の総合図書館にも所蔵されているので、ぜひ一度ご覧ください)

温泉は、古代においては神聖な神事の場であり、時代が下るにつれて、その医学的な効用が注目されるようになりました。癒し・疲労回復のためのスポットとして広く親しまれてきた温泉は、やがて保養地として独自の文化をはぐくむようになります。

現代における温泉のもつ役割を、単に地理学的・自然科学的な視点からだけでなく、社会的・文化的視点も含めて包括的に考えることで、これからの温泉のあり方を考えようとしている組織として、平成15年に設立された「日本温泉地域学会」という学術団体があります。


◆日本温泉地域学会

HP上の学会概要には、次のように書かれています。
「本学会は、温泉地に関する人文・社会・自然の総合的な研究の場であるとともに、各温泉地の諸問題の解決に寄与することを目的として、平成15年(2003年)5月11日、群馬県草津温泉での創立総会において設立されました。」

毎年秋に、日本各地の温泉地で学会が行われているようですが、過去の大会プログラムを拝見するに、やはり温泉地が今後どのように変わっていくべきかという点に、根本的な問題意識があるように思われます。「温泉」という資源を考える上で、文化というファクターを避けて通ることはできないのであり、B・Sさんが挙げられた別府市の試みも、おそらくはそうした問題意識から生じたものではないでしょうか。研修旅行で訪れる予定の芦原温泉では、ぜひ「温泉地の今」を目に焼き付けてきたいと思います。


mio.o 

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