ところが、先日調べ物をしていた際に、「あわら温泉」の名前をどこで目にしたのか、不意にはっきり思い出しました。以下は、2010年2月26日付のアサヒ・コム(朝日新聞が運営する情報サイト)の記事です。
福井県あわら市は国の緊急雇用対策の基金を利用し、あわら温泉の芸妓(げいぎ)を募集して育てる事業を始める。「関西の奥座敷」と称される同温泉の芸妓も今や15人まで減っており、市は「若い女性はぜひ応募して」と呼びかけている。基金を所管する厚生労働省地域雇用対策室によると、「芸妓とは珍しい」という。
16歳以上の5人を、3月下旬から全国で募る。市は、基金から県を通じて交付される1800万円を新年度予算案に計上。芦原温泉芸妓協同組合に事業を委託する。芸妓はお座敷に呼ばれた際に「花代」を受け取る歩合制だが、今回は約14万円の「月給」が保証され、日本舞踊や長唄小唄などを学ぶ。
同温泉の芸妓は、開湯(かいとう)100周年だった1984年に170人いたが、客の減少やコンパニオンの台頭などで激減。市観光商工課の担当者は「花柳界が消滅の危機にひんしており、最後の一手。雇用対策と地域振興の一石二鳥の効果を期待している」と話している。(足立耕作)
舞妓さん芸妓さんと言えば、京都の祇園が一番に思い浮かべられるかもしれませんが、京都では祇園甲部、祇園東、宮川町、先斗町、上七軒、嶋原の六花街が、東京では、新橋、赤坂、神楽坂、芳町、向島、浅草の六花街が、現在でも存在しています。九州の博多や長崎も有名ですね。こうした大都市以外にも、各地の温泉地などで、現在でも活動されている見番や芸妓組合が多数あります。ただし、こうした花街の文化は衰退傾向にあり、人材不足に悩んでいる現状です。
あわら温泉でも、おそらくそうした事態があったものと思われます。ただ、この計画はうまくいかなかったらしく、この後2011年6月頃に、この事業に募集して採用された芸妓さんたちが、みな月給の低さを理由に退職してしまったというウェブニュースが流れました。本来は、「オモテの文化」に対比される「ウラの文化」として存在していた花柳界の文化を守るために、公金で事業が行われたというのは、非常に興味深いケースであると感じました。
ちなみに、現在も芦原温泉芸妓組合は活動をしており、唄・三味線・鳴物等の稽古の様子を一般に公開しているようです。その他にも、「芸妓・舞妓変身体験」といった観光客向けのプランも実施しており、花柳界の文化が徐々に「オモテの文化」になりつつあるという印象があります。「伝統」と観光資源の関係など、今後もう少し調査を続けてみたいと思います。
あわら市観光協会/芦原温泉芸妓組合の紹介ページ
http://awara.info/d.php/165629
若草会(芦原温泉の若女将の親睦団体)
ざ・花柳界(全国の花柳界の情報を集めたサイト)
(mio.o)
0 件のコメント:
コメントを投稿