2014年11月18日火曜日

伊藤キムさん


先日、ゼミにゲストとしてお迎えした、振付家・ダンサーの伊藤キムさん。

Pugrinさんの紹介にもあったように、大町冬期芸術大学の講師を務めていただく方です。
 

 

事前に写真を拝見しただけでも、かなりインパクトのある方だなと思っていて、実際にお会いしたらどんな感じなんだろうと、ゼミ当日はうっすら緊張?してしまいました。 

実際のキムさんは、思いのほか物腰の柔らかい語り口で私たちにお話くださいましたが、映像で見せていただいたキムさんの活動は、やはりというか、全て私の想像を超えた、かなりぶっ飛んだものでした。 

「アーティストは人々に不安を与え、日常を揺らす存在」というキムさんのコメントが印象に残っていますが、まさにそれを地で行なっています。映像を見ているだけでも、私は不安になり、一時的に日常を揺らされました。 

私はダンス未経験ですし、これまでまともに鑑賞することもなく生きてきましたが、キムさんの映像を見ていて、ダンス一つでこんなにも人は変わるものなのかと純粋に驚いてしまいました。

大町冬期芸術大学の受講生の方々には、理屈抜きでキムさんの世界にどっぷり浸かっていただきたいと思います。
 

                                                    (TK)

文化政策の難しさ


先週から、「〇〇を文化で豊かに」の難しさをあらためて感じ始めたので投稿します。
risaiaさんの投稿もありましたが、大町市を(大町市でなくても、どこかの地域を対象に)文化でまちづくりをすることはおそらく、人類が月に到達するよりも難しく「平和な世の中をつくる」という目標と同じくらい複雑な事柄だと思います。
経済学者のH.サイモンは、技術的に解決可能な問題とそうでない問題を分類し、例えば月旅行は、前者で「複雑な事柄ではあるが、唯一の問題領域にかかわるものである」といいます。それはその達成のために「技術的な能力のみが問われている」からで、いくらそれに対する手続きが複雑であったとしても、技術的に解決できるという意味では単純なのだと。
翻って、文化で大町(でなくても、どこかの地域)を豊かにする、さらには、町にとってアウトサイダーである東京 大学の研究室が関係を持って、その達成目標が多岐に渡り複雑すぎて、それを行うことはたとえ「協力体制の行き届いた単一の組織」があったとしても、成功か、失敗か、「人間は月面を歩いた」か否かというような、客観的で単一の目標がないから、決定的に到達ができないのです。
多分このような問題に対し、限界合理性の中で人間は、具体的な問題認識にまでおろしてきて、今よりも適切な配置はどんなものか議論する、デザインする、試行錯誤で計画を作り上げていくしかないと思って私はゼミにはのぞんでいます。このように文化政策をどう取り組むか、地域社会をどうデザインするかという問題は、答えられる問を立ててそこに科学的アプローチを行う研究とも本質的に異なるもので、そこに関わる大学の教員、生徒はいつも歯がゆさや難解さを痛感していていると感じます(haruko

ゼミとゲストとブログと文化政策

秋の小林ゼミは2名のゲストをお迎えしましたので軽くご報告です!

修士論文中のpugrinです。

一人目は、冬季芸術大学講師のダンサー、伊藤キムさん。
コンテンポラリーダンス?なにそれおいしいの?という方でも
「隻眼でアエラの表紙になったひと」と言えばどのくらすごいかなんとなくわかるでしょうか。

とにかく教室に入ってきた瞬間からすごい。
もちろん隻眼(かつボーズ)という出で立ちもさることながら、
オーラがあふれ出してるんです。
ちょっと手でも挙げようものなら、指先からビーム!ですよ。
とにかく、個人的な意見ですが

「自分ははこんなふうに生きてる、
さあこの全身に注目するがいい
そして日常が退屈な毎日の繰り返しだなんて
少しでも思えなくさせてやる」

というような空気を発しているような人です。

いくつかキムさんが関わったプロジェクトの動画を見せていただきましたが、
キムさんが動いた(舞った)瞬間に「いつも」が一変する様子にものすごく感動しました。
特に「おやじカフェ」では、そんなキムさんプロデュースの下
普通の「おやじ」が「おやじ」を笑いに変えて踊る姿に一種の奇跡さえ感じました。

そんな人が大町でどんな旋風を巻き起こすのか?
彼に指導してもらえる冬季芸術大学参加者がうらやましくて仕方がないです。


そして二人目、五井渕 利明(ごいぶち としあき)さん。
もとは公務員でしたが、今はものがたり法人FireWorksにて、
「地方で映画を撮る」活動をされています。
また、NPOを支援するNPO、CRファクトリーの事務局長として活躍されています。

CRファクトリーのビジョンは「すべての人が自分の居場所と仲間を持って、心豊かに生きられる社会」で、そのためのミッションは「居場所と仲間を感じる、あたたかいコミュニティを街にあふれさせること」だそうです。
そのための方策が映画なのであって、決して「田舎の風景を利用して売れる映画を作る」ことではないのです。つまり、「映画ではなく、映画づくりを通してまちづくりをする」ということだと思います。

五井渕さんは、自身の仕事を語る上で、大事なのは「
「信頼は自分の働きで作るもの、一人ひとりが使命を持つこと」
とおっしゃっていました。
人を動かすのは人、1+1を3にするのがイノベーション、とも。

どんなことでも、今自分が何かをすることが、誰かの何かに関わる
その積み重ねで時間が動いていることを、ただの偶然と思わないように生きなければ、
というのが私の感想です。
五井渕さんだけが「特別」「すごい」と思っていては、まるで彼の苦労や努力の瞬間がなかったことのようになってしまいます。
ゲストでお話してくださったことを、わたしたちは「研究の材料」というよりは「自己反省と現状の再確認」のために考え直さなくてはならないのではないでしょうか。

修士論文中なのに、だらだらとすみません。
でもこういうことが、わたしは文化政策だと思います!
ではでは!

大学ゼミと地域の関わりかた~私の悩み

大学ゼミとして地域の文化政策に関わることの難しさを痛感している今日この頃。
地域はその未来を本気で文化に託しているのに、十分なサポートを行えていないことを歯がゆく感じています。
そもそも、ゼミと地域がどのような距離感で関わり合えばよいのか、私自身分かりかねています。

ゼミ生の一人一人が5%の力を持ち寄って20人集まれば100%になるという計算にはならないと思います。
ゼミ生にもそれぞれの事情がありますし、5%をつなぎ合わせて1つの形にするのは簡単ではありません。
そこにはかなりの係数が働いてくることを考慮に入れなければなりません。

私は、大町冬期芸術大学が、大町市になにかを巻き起こしてくれると信じています。
それがどのように帰結するかは分かりませんが、大町市で面白いことが起こると信じています。

私は大町市が好きです。
大町市には、文化で大町を変えようと本気で動いてくださっている方々がいます。

でも、なぜ私はこうも動けないでいるのでしょうか。
結局私にとって、地域の文化行政は他人事なのでしょうか。

地域の未来をかけた本気の文化行政に関わること。
そんな責任の重い仕事に関与する意味を、今一度考え直したいと思います。
(risaia)

2014年11月17日月曜日

長野県大町市「文化資源活用ビジョン(名称未定)」の策定に向けて市民ワークショップの開催案内

 私たち、東京大学大学院人文社会系研究科文化資源学研究室小林ゼミは、文化でまちづくりをしようとしている大町市を2012年からバックアップし、現在、「文化資源活用ビジョン(名称未定)」の策定に向けて準備を行っています。この度、その一環として、ビジョン策定の方向性を考えるワークショップを開催することとなりました。
 「文化財や文化遺産に限らず、これまで気づかれなかったモノやコト、人」といった文化資源を活用し、大町市を元気にしたいと考えています。第一に、私達が普段文化・芸術と考えているものがどの様なものか、また大町にとってどのような価値があるかということを考えてみます。次に、それらを活用するにあたって、大町市で活動をしてく上で抱えている問題は何かを浮かび上がらせ、それについて一緒に考えていきたいと思っています。
 できるだけ具体的で、実効性のあるビジョンを策定するためにも、大町市で市民文化活動、芸術活動に携わっている市民のご意見をお聞かせていただきたいと考えております。
 皆様、貴重なご意見、心よりお待ちしております。

・日程:第一回目-20141122日(午前10時~)
          第二回目-20141218日(午前と午後、2回)
          第三回目-2015124日(午前と午後、2回)

・場所:大町市市役所東庁舎2階 東大会議室

・問い合わせ先:大町市生涯学習課
               
                                                       (bangul)

2014年11月16日日曜日

最近ワルシャワ独特の文化資源には何があるだろうと考えるとき、社会主義時代の遺産が思い浮かぶようになりました


まずその筆頭格として、名実ともに街のシンボルとなっている文化科学宮殿 (Palac Kultury i Nauki)を挙げなくてはいけません。8月にショパン空港へ着陸したとき、飛行機の窓から一目でこの建物だと分かったほどのランドマークです(37階建て、234m)。1952年から四年間かけてスターリンからの“贈り物”として建造されたため、ソ連からの支配と権威主義の象徴としてこれに複雑な思いを抱く市民は多いです。特に昔は高層建築といえばこれしかありませんでしたので、余計に“見下ろされている”感覚が強かったのだろうと推測します。一方で、1989年に体制転換を果したときに壊すに忍びなかったほどの建物であることも事実です。三つの劇場に二つの博物館、映画館にコンサートホールとワルシャワ有数の文化施設が集結しています。建物の設備はさすがに古く、陶器製のシャンデリアや駅の電光掲示板を思わせる映画館の時刻表示に囲まれながら舞台や映画を見ることになります。作品そのものは国内外から集められた良作が多く、古い空間の中で新しいものを鑑賞するコントラストがここにしかない特徴だと思います(劇場の一つ、Teatr Dramatycznyは現在の芸術監督に代替わりしてから質が落ちたと演劇通の知り合いに聞きましたが)。
次にもっと生活に直結した場所を。市内に点在するBar mleczny(ミルクバーの意)はまさに“昭和から続く大衆食堂”といった趣で、味はそこそこですがとにかく安い家庭料理を味わえます。時代に合わせて内装をポップにした店もありますが、個人的にはかっちりしたややそっけない内装といい、働くおばちゃんたちの仏頂面といい、そこだけ昔と変わらない雰囲気を残す店の方が好きです。例としてBar Mleczny Bambinoを挙げますが、ここは周辺が高級な繁華街となりつつあるからこそ余計に時が止まったように感じます。年配層からビジネスマン、ベビーカーを押した家族連れまで幅広い層に利用されています。もちろん私のような学生にも。
 
 

イギリスのバンドTravisLove Will Come Throughという曲があります。そのミュージックビデオに登場するのがKijowska通りの団地です。1973年にできたこの住宅は全長が508m、ワルシャワ西駅から出てくる乗客に殺風景な地域を見せないために長くしたと言われています。これほど横に長いものは他にないとはいえ、ワルシャワの団地といえばこんな感じの場所が多いです。ただし、最近ここを訪れたところ、壁はすべてパステルイエロー・オレンジに塗られ、陰鬱な雰囲気はだいぶ減っていました。壁の色変えのみならず、ウォールアートを施すことも、自己表現以上に場所の雰囲気を変えるために行っているのではないかという例が多い気がします。
ワルシャワのシンボルって何?と聞かれ、文化科学宮殿とあっさり答えるのは歴史の関係上気が引ける。しかしそれ以外に目立ったシンボルもないこの首都には、今日もどんどん新しいものが流入・発生します。その中でも変わらない古いもの、私にとってはこの新旧の融合、両者のギャップが面白いです。それが部分的なものにせよ、社会主義時代をある種の特徴として肯定するのは、その時代から脱皮したがっている地域にとっては大変難しいのだろうと想像します。辛い過去の亡霊からは早く逃れたいものです。ですがそれから完全に逃れられるはずもなく、逆に強みとして捉えるポテンシャルがこの街にはある気がします。というよりも、新しいものが生まれるからこそ古いものにも以前とは違った価値を与えられる数少ない街だとさえいえます。首都を一歩出れば、古いものしか残っていない地域などいくらでも見つかるのですから。
(N.N.)
 

2014年11月7日金曜日

帰省のついでに、信濃大町youthサミットへ!


今年、12月 28 日(日)に、信濃大町youthサミットを開催するそうです。以下、フェイスブック頁からの引用になります。詳しくは↓
https://www.facebook.com/events/1476730392583931/?ref=22
この企画は、私たちゼミが2年半前から係わりを持ち、若手職員を対象に新しいことに挑戦するためのワークショップや研究会を行ったことがきっかけで、自主的な勉強が結実して開催することになったものです。(このほかにも新しい動きが生まれているそうです)。嬉しい連絡なので、ブログに投稿します。

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開催日は2014年も終わりに近づく師走12月28日(日)!!
しかも!!
東京近郊在住の参加者には朗報!!
東京駅前発新宿駅前経由会場行きのバスを出します!!
ということは・・・
帰省の片道交通手段をこちらで用意しちゃうってこと。このイベントに参加して、実家に帰るもよし、同窓会をやるもよし、好きにしてください!!(帰りの足は各自確保してね)
この年末年始を地元大町で過ごすのはいかが。

会  場  JA大北 アプロード
      (信濃大町駅近く アップルランドデリシア前)

日  程  12月28日(日) 13時~18時
     ・頑張っている社会人5人によるゲストトーク
     ・ワークショップ
     ・フリートーク
     ※詳細は考え中です!!

対  象  大町市にゆかりのある高校生以上の学生、社会人

参 加 費  学生さん無料(当日、学生証の提示が必要です) 
      社会人20代 2,000円  30代以上 5,000円

募集人員  100名

応募方法  主催者マチサラのFormから
https://www.hivelo-social-apps.com/fb-share/?fbPageId=341497159296110&hsa_id=form

スポンサー様も同時に募集しています!!
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machisaraomachi@gmail.com
090-8451-1228


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(小林 真理)