2012年6月1日金曜日

歌舞伎鑑賞教室

こんにちは、M.Hです。今日は家でのんびりと歌舞伎作品のDVDを見ています(もちろん研究のためですよ!)本当は実際に舞台を観に行きたいのですが、6月の新橋演舞場のチケットは取れなかったのです。やはり襲名興行があると、チケットはとりにくいですね。

研究といいましたが、私は主に歌舞伎などの伝統芸能と社会の関わりなどに興味があります。

伝統芸能の今後を考える際、もちろん芸をきちんと記録し伝承していくということも大事なことですが、これは私たちの文化の中で大切なものだという意識や問題点をどのように現代の人に伝え、共有することができるのか、ということも大切なことだと思っています。

しかし実際は歌舞伎については知っているがなかなか観に行く機会がない、もしくはなんとなく敷居が高いと感じている方も少なくないのではないでしょうか。
歌舞伎をより身近に感じられる、もしくは考える場を作れないだろうか、そのようなことを考えていたらちょうど5月31日の日本経済新聞の夕刊に62日から24日の間、国立劇場で歌舞伎鑑賞教室が開かれ『俊寛』が上演されるという記事を見つけました。

歌舞伎鑑賞教室とは、歌舞伎初心者や学生向けに行われる公演です。通常公演の内容は、歌舞伎役者による歌舞伎や作品についての解説があり、その後に演目が披露されます。公演時間が短めなのも、初めての方には気軽に足を運べるので良いのではないでしょうか。公演時間が短いので、料金も通常の歌舞伎公演より格安です。また学生料金もありますのでお得ですよ。歌舞伎鑑賞教室の公演は、お昼12時頃と15時頃からが一般的のようです。それ以外にも社会人や親子向けの歌舞伎鑑賞教室もあります。

このような鑑賞教室が歌舞伎をより身近に感じられるようになるきっかけになるといいなと思います。
歌舞伎のことを考えていると、そもそも伝統って何?歌舞伎って本当に伝統芸能なの?伝統だから残さないといけないの?など色々な問いが生まれてきます。現代において様々な世代の人に歌舞伎をより身近に感じてもらうことが、これらの問題意識を共有するきっかけになるかもしれません。歌舞伎は観客抜きには成立しません。役者や関係者だけでなく、観客も一緒になってその魅力や問題意識を共有することが、歌舞伎という芸能文化を育てていく第一歩なのではないでしょうか。

歌舞伎などの伝統文化について考える場のあり方についてこれからも考えていこうと思います。
6月歌舞伎鑑賞教室
http://www.ntj.jac.go.jp/schedule/kokuritsu_l/2012/2461.html
(国立劇場)

 今月は社会人向けのものも開かれています。
※6月15日(金)・22日(金)の午後7時開演(915分終演予定)

M.H

地方自治体の文化行政の手がかり

今日、地方自治体の文化行政についてはどのように調べたらいいですか、という質問を受けました。また公務員試験の面接で、「文化ホールについては何が問題だと思いますか」ということを聞かれたということも聞きました。授業を受けていればわかるようになりますよ、という返事をしましたが、公務員試験はもう終わってしまいますね。残念です。

「政策」ということになると、一般的には国の政策に注目が集まりますが、地域の独自性や文化を活かしたまちづくりの政策ということになると、地方自治体の役割は絶大です。ただ積極的に文化行政を展開しているところもあれば、そうでないところもあります。

また、実際に日本国中に設置されてきた多くの博物館、美術館、劇場、コンサートホール等の文化会館は、地方自治体が地域住民のために設立したものです。これらの施設でどのようなプログラムが展開されているのかをみるのも、地方自治体の特色が出るところです。美術館や文化会館というところはどこでも同じようなプログラムを展開していると思ったら大間違いです。まずは自分の住んでいる地方自治体に、どのような公立の文化施設があるかを確認してみてはどうでしょうか。それがどのようなプログラムを展開しているのか、そして近隣市町村の同種の施設と比較してどのように違うのかといったことを考えてみるのは、一つの手がかりです。

ちなみに、総務省の外郭団体である財団法人地域創造は、「地域における創造的で文化的な表現活動のための環境作りに特に功績のあった公立文化施設」を顕彰しています。以下のリンクで、各年度の受賞施設を見てみてください。そのような施設で展開されている事業と、自分が住んでいるところの事業を比較してみると、いろいろな気づきがあると思います。
http://www.jafra.or.jp/j/guide/independent/award01/index.php

(M.K)

アーティストの社会保障

先日、お笑い芸人の母親の生活保護受給について、
不正受給ではないかと批判する報道がありました。
一連の報道は、
生活保護の制度としての問題点や、扶養の義務や責任の考え方、
議員が芸能人のプライバシーを公言することの当否など、
さまざまな論点をはらんでいましたが、
文化政策研究という観点では、記者会見での

「これは自分一人だけではないんですが、来年の仕事の保証はまったくございませんし、自分ごとではございますが、その間にも数回、長期的に休まなければならない病気も患ってしまいまして、その分すべて自分の負担になりますし、芸人保険というものもございませんので、パニックになったのはいまの正直な気持ちです。」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120525-00000018-mantan-ent

という発言が印象に残りました。

所属先の吉本興業からのアナウンスは以下に掲載されています。
http://www.yoshimoto.co.jp/corp/news.html
・「親族が生活保護費の受給を受けているという重大なプライバシー情報が報道されていること自体、重大な人権侵害であると考えており…詳細な事情についての説明は、ご容赦いただきたいものと考えております。」
・「本人の収入については一説に述べられているような高額なものではなく、時期によって大きく上下しております。また、様々な事情から生活の援助を行わなければならない親族が複数いるなかで、浮き沈みの激しい業界に身を置きつつ、親族全員に対して将来にわたっても安定的な援助を行えるかどうか、見通しが非常に難しかったという事情もございます。」
・(生活保護費の支給は)「無名の時代に開始されたものであります」。
・「本人は、なるべく親族に負担をかけることがないよう、そして、いつかは生活保護に頼ることなく自分の力だけで養っていける状況にできるよう、担当の福祉事務所などとも相談しながら、懸命に努力してまいりました。現在は、生活保護費を受給しておりません。」

お笑いが「アート」かどうかは意見の分かれるところかもしれませんが、
芸術にしろ芸能にしろ、
「芸」を職業にするアーティストの身分保障のことを少し考えてみたいと思いました。

mihousagi_n

演劇メーカ

文部科学省が「演劇で身につけよう!他人に思いを伝える、コミュニケーション力」というテーマで、
初の教育分野での子どもスペシャルサイトとして、コミュニケーション教育への理解・関心を深めるためのサイト「演劇メーカー」http://engeki.mext.go.jp/)を、2012年5月31日14時に公開しました。
監修は劇作家 平田オリザさん。

演劇とコミュニケーション能力。

演劇は2500年間、人間がもともと持っているそのようなコミュニケーション力を引き出してきた祭りの際に演劇が上演されたのは、演劇に地域のコミュニティーを形成する力があったためであるでしょう。

(bangulより)

アートフルアクションでインターン募集中

昨年度までこのゼミでも関わっていた小金井市のアートフルアクションですが、現在はNPOになって、独自に活動を展開中です。そのアートフルアクションの本拠地、シャトー2Fがリニューアルして、カフェが6月1日にオープンします。

これまでのこのゼミとの関わりなどについては、また追々情報を追加していきます。
現在、インターンも募集しています。

http://artfullaction.net/index.html

(M.K)

国際文化経済学会登録情報

これまで何回か案内している国際文化経済学会ですが、文化経済学会<日本>の会長の、後藤和子先生から、登録情報について、掲載の許可をもらいましたので、ここにも出します。
前にも書きましたが、学会の会員でなくても参加可能です。海外まで出かけていくのは大変ですが、日本で行われる国際学会をのぞいてみてください。
(M.K)

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国際文化経済学会大会が、6月21日~24日に京都で開催されます。
大会2日目(22日)の主なセッションには同時通訳がつきます。

発表も、当日配布されるUSBに論文が収録されますし、多くの発表はパワーポイントを使って行われますので、英語が苦手という方でも概要は理解できるはずです。
参加費には、ウェルカムドリンク、昼食、コーヒーサービス、夕食懇親会(サントリーが飲み物を提供)、ソーシャルプログラムの全てが含まれます。
国際学会の通常の参加費(夕食懇親会抜きで5万円程度)より、かなり割安です。



文化庁長官スピーチ、
経済産業研究所所長の藤田昌久教授の基調講演、
ゲームセッションのトーセ社長、
無形文化遺産セッションの松浦晃一郎前ユネスコ事務局長、
電子書籍セッションのインプレス取締役北川氏や前少年ジャンプ編集長の佐々木氏、などなど、豪華な顔ぶれです。

もちろん、海外ゲストも著名研究者がそろっています。スロスビー教授、タウス教授、著作権の経済分析のリーヴォウッツ教授、フライ教授他、数多くの著名研究者もゲストあるいは発表者として参加されます。

ソーシャルプログラムも、宗教学者の山折哲雄氏によるウェルカムスピーチ、未生流笹岡家元笹岡隆甫氏による生け花パフォーマンス、京都の六斉念仏上演、マンガミュージアムではベルント教授のワークショップ、とこちらも豪華なゲストばかりです。

日本語プログラムをご覧ください。
全体のホームページはこちら

ウェブ登録は下記からできます。


ウェブ登録ができない場合は、学会事務局に申し込んでいただいても大丈夫です。
文化経済学会<日本>事務局
Fax:03-5907-6364


鯛車復活プロジェクト

(竹)です。今回は、訪れたプロジェクト。
とりあえずまず、鯛車のサイト見て。ヒジョーにかわいいです鯛車。

新潟市西蒲区巻地区では、お盆の夕暮れ時になると、浴衣姿の子どもたちが鯛車にあかりを灯して町内を引いて回っていたそうです。この地区の風物詩であり、江戸末期から盛んに行われてきたこの風習は、昭和30年代に途絶しました。
鯛車の復活を通じて心豊かな暮らしとまちに活気を取り戻そうという精神の下、市民有志により、2004年から「鯛車復活プロジェクト」が行われています。
「プロジェクトでは、制作技術の伝承を図る活動として小学校や公民館などで鯛車の制作教室を開き、また、お盆の時期に巻の鯛車を一堂に集めた「鯛車展」を開催するなどして、地域の宝物としての周知を図っています」。
戦前に建てられた旧巻町役場の土蔵を改装した「鯛の蔵」を拠点として、展示や教室を継続的に行っています。

「鯛の蔵」では沢山の鯛車が迎えてくれます。しかしそれだけでなく、巻地区の商店街にも鯛車は飛び火しました。商店街は2010年、「まき鯛車商店街」に改称。鯛焼きならぬ鯛車焼き(おいしい)をつくるお店も登場したりして、地域の人々に親しまれているようです。
ちなみに、鯛車マンホールとかストラップとかガスタンクアートとか「めで鯛ザー」とかもあります。
さらに、表参道に新潟のアンテナショップ「ネスパス」があるのですが、そこでも教室や展示を展開しています。今年も5,6月に表参道で教室&展示があるようです。

一度途絶えていた「まちの歴史」をこれだけ復活させたということだけでもすごいことなのですが、印象的なのは、ディレクターさんたち自身が本当に楽しんで活動しているところでした。もうすぐ発足から10年にもなるプロジェクトに対して絶えずアイデアを生みだし実現していくさまは、見ていてこちらが楽しいです。対象の歴史的価値の存在はもちろんですが、やはり「やる人」が楽しみややりがいを感じていなければ、プロジェクトは(主体にとってもそれ意外の人にとっても)オモシロく展開していかないのだなぁと感じた次第でした。




鯛車復活プロジェクト公式ウェブサイト:http://www.taiguruma.com/
同ブログ:http://taiguruma.blogspot.jp/

(竹)