2013年12月11日水曜日

長崎に行ってきました。

長崎県では平成22年度から、県内のミュージアムの調査を行い、活性化のための事業をやっているそうです。その一環で月曜日に長崎歴史文化博物館で講演をさせていただきました。テーマは、「地方自治体の文化行政と博物館」でした。今回は、長崎県が壱岐市と一緒に建設をした壱岐市立一支国博物館と壱岐市の文化ホールを見学させていただこうと、月曜日の夕方には再び長崎空港に向かい、壱岐行きの飛行機に乗り込みました。この日は前日までの好天と打って変わっての悪天候で(どうも長崎とはきわめて相性が悪い。前回も猛烈な雨で皆に恨まれたことがあり)、揺れる揺れる。壱岐市の明かりも見えだしてそろそろ到着するかと思いきや、機体不良ということで長崎に引き返すことになりました。

長崎県は、平成の大合併で市町村の数を相当減らした県です。それらの市町の文化施設と担当職員の状況はきわめて厳しい状況だと聞きました。ただ、その中でも長崎県はそれらを資源として活用したいという方向性を持っています。講演前の課長さんのご挨拶でも、「博物館は地域の文化資源と考えています」という言葉がありました。状況をどのように改善できるのかということを考えたとき、「劇場・音楽堂等の活性化に関する法律」で大学との連携を促すことが事業化されたように、博物館関係でもできないものかと思ってしまいます。現在私がもっとも関心があるのは、大きな力のある施設でどのようなよい企画や展示を行うかということよりも、資料や施設を有していながら人材不足(一人の職員や学芸員が複数館を所管しているような状況)で活用できない地域の博物館や文化施設の数々です。これは長崎県内の市町村だけではない問題です。最近は、「博物館の活性化に関する法律」ができないものかと思ってしまうこの頃です。大学とすると、学芸員実習をお願いして、施設のお荷物になってしまうよりも、両者にとってもう少し有意義な関係が築くことができないものかと思います。何か一緒にやりたいですよね、という話をして帰ってきましたが、とりあえず今度こそ壱岐市と対馬市に出かけて、長崎の状況をつぶさに見てきたいと思っています。

それにしても、壱岐市上空まで飛んでいきながら、戻ってきて夕食につきあってくださった県の方や壱岐市の方が、皆、とても博物館や文化行政に熱意を持って楽しそうに取り組んでおられることには本当に心強さを感じました。地域の多様な文化をどのように残し、活用して、博物館を活性化していくのか、県がイニシアティブを発揮しながら県全域で考えていることはすばらしい取組だと思いました。

さらに、もう会期は終わってしまいますが、長崎歴史文化博物館で行われていた朝鮮通信使の展覧会で展示されていた韓国のアーティストが制作した人形がすばらしかったです。朝鮮通信使の行列が華やかによみがえったようでした。

(M.K)

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