2013年5月5日日曜日

自然を楽しむということ

ある授業の課題を進めようと、文化財についてインターネットで調べていたところ、
懐かしい地名が目に飛び込んできました。

"Olympic National Park"

アメリカのシアトルで1年間ホームステイしていたときに、
念願かなって一度だけ訪れた場所です。
もともとアウトドアが好きで、必ず行こうと思っていたのですが、
車を持っていなかったのと期間が短かったこともあって機会がなく、
もう行けないかとなと諦めかけていたとき、友人が誘ってくれたのでした。
シアトルを離れる半月ほど前のことです。

オリンピック国立公園(Olympic National Park)はワシントン州のオリンピック半島に位置し、
太平洋の海岸線、オリンピック山脈、温帯雨林地域の3つの異なる土壌を楽しむことのできる場所です。
ネイティブ・アメリカンが古くから住んでいた地域でもあり、
現在でも(かなり縮小してしまったものの)居住地が残っています。

私たちは1日かけて車で回りましたが、それでも全く時間が足りないほどに広大で、
結局海岸線の方やネイティブ・アメリカンの居住地域は訪れることはできませんでした。
それでも、全く異なる雰囲気を持った山岳地帯と雨林地域を同時に見ることができたことは、
とっても貴重な体験だったように思います。

シアトルからフェリーに乗って、シアトルのシンボルであるスペースニードルや、
「タコマ富士」とも呼ばれるレーニア山を眺めながら、オリンピック半島に向かいます。

オリンピック半島の玄関口から車を走らせること3時間、
標高が高くなって、だんだんと目の前に広がる景色が変わっていきます。

そして最初の目的地のハリケーン・リッジに到着です。
万年雪の積もった山々や峡谷などのダイナミックな景色や、
野生のシカの親子や草花を楽しむことができました。




そこからポート・エンジェルスというまちを抜け車を走らせること1時間弱、
だんだんと緑が濃くなり、景色が少しずつ変化していきます。
そして次の目的地、レイク・クレセントが見えてきます。
かつては大きな氷河湖でしたが、土砂崩れによって分断され、その名の通り三日月の形になったそうです。
飛び込みたいくらいにきれいな湖で、着替えを持ってきていればと後悔するほどでした。




レイク・クレセントの周りには、他にもいくつかの見所がありました。
その内のひとつがマリメア・フォールズ・トレイルです。
シラカバのような木々の並ぶ道を抜けると見えてくるマリメア・フォールズは、
規模が小さく迫力こそ欠けるものの、それまでの場所とは空気が違っていて、心が洗われる、そんな雰囲気を持った場所でした。




それから、最後に向かったのが世界遺産にも登録されているホー・レイン・フォレストです。
大きな針葉樹をコケが覆い、いわゆる森林とはちがった空気を纏った森の中を散策することができました。
コケに覆われた樹木はとても活き活きとしていて、不思議なパワーをもらった、そんな気がしています。



見るところの多いオリンピック国立公園。
私たちは無計画の内に行ったため、危うく最終のフェリーを逃すところでしたが、
とっても見応えのある、楽しい場所です。
アメリカの国立公園といえば、グランドキャニオンのような国立公園を思い浮かべることも多いかもしれませんが、
実はいろんな種類の国立公園があることを知るきっかけにもなりました。
日本では見ることのできない、様相をもった自然は本当に神秘的で想像を超えた感動をもたらしてくれました。

ところで、帰り道のフェリーは、絶対に暗くなってからをおすすめします。
フェリーから見る夜空には、ビル群が放つ光に邪魔されずに煌々と無数の星が輝いていました。
東京で生まれ育った私にとって、このときに見た星空は到底忘れられない思い出です。

東京に住んでいると、芸術に親しむ機会はたくさんありますが、
自然と触れ合うことって忘れがちのように思います。
しかし、自然を楽しむことだって文化のひとつだと思うのです。
Mubeさんも書いていらっしゃいましたが、現在富士山が世界遺産に登録されようとしています。
文化として自然を見てみる、そういった視点も忘れずに、
芸術作品を大切に扱うように、自然についてももう少し考えていきたい、そう思っています。

(tantaka)

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