富士山が世界文化遺産登録への一歩を踏み出しましたね。
現在、小林ゼミではジェイン・ジェイコブス(Jane Jacobs)の『発展する地域 衰退する地域 地域が自立するための経済学(Cities and the wealth of nations: principles of economic life: 1984)』(和訳再刊:2012)を読んでいます。
第一章はざっくり言えば、「現実に即した理論と実践を考えましょう」という感じでしたが、4/30のゼミを通じて、個人的に幾つか気付きがありました。
- (志)さんが言っていた様に、経済は文化(社会)と分ちがたく結びつくベースの要素であるという前提認識を持っているためか、この本を小林ゼミで読むための「意図的な意識の転換」をほとんど感じる必要がなかったということに気付いたこと。
- 経済学諸理論の既存の単位概念に疑問が呈されていましたが、政治学をかじったことがあるという経歴のせいか、物事を普遍化する試み(理論構築)における単位として国民国家(ないしその集合体)があるというのを自然と受け止めていた自分が居たこと。
- にもかかわらず一方で、細かい事例研究を丹念に積み重ねる事でしか現代の複雑な社会の事象を語る事は出来ないという事も、特に文化資源に入ってから強く感じており、2と3がアンビバレントにも見えるが、自分の中では意外とうまく整理出来ていること。
前置きが長くなりましたが、先日オヤヒコさんからのお知らせを頂いていた荒井経先生ご出演のテレビ番組「中居正広のミになる図書館」美デッサン大辞典コーナー、皆さんはご覧になりました/録画しましたでしょうか?
要は誰がデッサンがうまいかを競う企画なのですが、こんな企画がコーナー化されているなんて、最近、アートは市民権(?)を得つつあるんだなあとつくづく思います。
企業のブランディングにおいて欠かせない存在なだけでなく、地域振興の鍵は今やB級グルメと並んでコンテンポラリーアートだし、アートが「ファッション化」して日々大量に消費されています。アーティーなものも増えました。
その一つの現れとして、このテレビ企画が生まれたのでしょう。
別の日には村上隆さんが自身の映画の告知のためにバラエティ番組に出ていたと聞きました。
それにしても面白いのは、「デッサンが上手い」ことを「漫画家」と芸人が競い合うという荒井先生ご出演番組の内容。
- 絵が「上手い」かどうかという視点でこの「アートブーム」を切り取ること
- 絵画の習熟における必須課題としてのデッサンを競う相手として、デフォルメされたイラストを用いる漫画家が登場すること( 番組内では、ある漫画家の「デッサン」が「アートなデッサン」と評価されるのを見て不思議な思いがしました)
は、日本におけるアートの在り方を考える上で典型的な一例に感じました。
昨今の不況下にあっても、日本のコンテンポラリーアート(当代芸術) マーケットでは写実絵画と手数系・緻密技巧系作品は根強い人気があります。
「すごい」「上手い」という感覚が作品の「価値」として認識される一つの傾向があると言えるでしょう。
ちなみに昨年、写実絵画専門美術館であるホキ美術館に行ってきました。
まず建物が有名ですが、森村草介さんのコレクションを始め、人気の山本大貴さんなど、中身も結構なボリュームで、写実絵画の面白さを改めて感じる事が出来ますので、おすすめです。
と、話があちこち脱線してしまいましたが、デッサンの審査員として登場した荒井先生は、終始穏やかな表情でお人柄が伝わって来たものの、テレビ局の大編集を経て一言も発する事無く番組は終わってしまいました。
番組的には評価による得点対決が重要なので、審査員3人中最後に得点を発表した荒井先生に関しては、順番的にその解説よりも出す得点自体に終始関心が行ってしまったという印象でした。
スケジュール的に集中講義を履修する事は出来ないのですが、また別の機会に、お話をうかがうことができればと思います。
(M.O)
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