2013年6月29日土曜日

Curators TV

文化経済学会前に貼り逃げ、M.Oです。

プログラムを眺めていたら、分科会の発表題目の中に面白いものを見つけました。
Curators TVです。

2012413日より大阪市立大学都市研究プラザが中心となり公開しているプロジェクトで、キュレーターの「語り」に焦点を当てることでアートへのアクセシビリティを高め、クリエイティブ・ネットワークの構築を目指しています。
これまで各館で別々に内部記録として保存されて来た美術館のギャラリートーク、講演会やアーティストトーク(ギャラリーなどで行われるものは記録されていない場合も多い)を展示と共にアーカイブし、ウェブ上で公開するーこれはアクセシビリティ向上と「現代アートなんてよくわからない」と思っている人へのアプローチであると共に、研究サイドからすると非常に有益な試みです。
美術館で行われるトークは、比較的「館の公式見解」的性質が強いと考えられるため、他の資料(カタログなど)をあたると後からでも情報として部分的であったとしても補足が可能かもしれません。ところがそれ以外の「語り」や「出会い」であればどうでしょうか。
美術批評家で2011年よりパリの国立美術学校(Ecole nationale supérieure des Beaux-arts, Paris)校長でもあるNicolas Bourriaud1998年に「オープニング・レセプションの重要性が高まっている」と述べたように、展示されている作品だけでなく(時にはそれ以上に)、人と人の間にどんなシナジーが生まれるか(誰がどこの展覧会開場に居た、どこそこの人が誰と懇意か、その場で誰がどんな発言をしたか等)が現代美術界の動きの中では重要なファクターであることは否定出来ません。
しかしながら、世界的に同時並行的におこっている全ての会場に足を運ぶなんて身体が幾つあっても足りないし、もしも仮に沢山の協力者が世界中にいて皆で分担して行けたとしてもそれをどうやって論理的に依拠出来るソースにする事が出来るかと言えば、難しい所です。
そもそも、そんなものを記録したらプライバシーの問題や秘匿権、著作権の問題など(誰がどこで何を幾らで買おうとしているなど絶対表に出ないし知っていても出せない情報ばかり)色々あるので実際問題として不可能だというのは分かっていますが、そんな中で、限定的ではあれ「語り」を記録・保存・活用しようというCurators TVのような活動は、今後の研究環境に発展をもたらしてくれるのではと思いました。
学会では、Curators TVを運営する一般社団法人WORLD ART DIALOGUE
CEO・クリエイティブディレクターの鈴木大輔氏が分科会でご発表をされるとのことです。私は別の部屋の担当なので残念ながらご発表を拝聴する事が出来ませんが。

先日別の学科の先生が「批評や議論が巻き起こる事でその産業・業界が発展していく」と仰っていました。今日から始まる学会が、アートを取り巻く様々な取組みを学問的に議論する場としてアート環境の発展に繋がり、またいらっしゃる皆様にとっても有意義なものになるよう、私もその一助となれるよう努力したいと思います。
(M.O


参考文献:Nicolas Bourriaud, Relational Aesthetics, Dijon, Les presses du réel, 1998.

2013年6月28日金曜日

「シネマ歌舞伎クラシック」

今週末はいよいよ文化経済学会ですね。
同じく今週末土曜日から「シネマ歌舞伎クラシック」も始まります。
 
 シネマ歌舞伎とは、HDカメラで撮影した歌舞伎の舞台公演を、映画としてスクリーンでデジタル上映するというもので、20051月に『野田版 鼠小僧』が公開されました。tantakaさんが書いていらっしゃるライブビューイングのように生中継ではありませんが、過去の舞台映像を編集したものを上映する、以前私がブログで書いた『ゲキ×シネ』と同様のものです。役者の細かい表情や身体の動きをクローズアップで見れるなど異なる角度から歌舞伎を鑑賞できる、劇場とは違った観劇体験です。
 

 シネマ歌舞伎が開始した当時は珍しいデジタルシネマを使った映画以外のコンテンツとして、またデジタルと歌舞伎という一見相反する要素の組み合わせに大きな反響を呼びました。 そして今回のシネマ歌舞伎クラシックは、三十年も前の舞台を大画面で鑑賞できるということで注目されています。
上演作品は以下5作品で、現在はもう観れない大名題の名演技を楽しめる、とても贅沢なラインナップになっています。

『隅田川』(昭和56年1月歌舞伎座)
上映時間:52分
清元志寿太夫出演
  斑女の前:六世 中村歌右衛門
  舟人:十七世 中村勘三郎

『本朝廿四孝 十種香』(昭和58年1月歌舞伎座)
上映時間:60分
  八重垣姫:六世 中村歌右衛門
  腰元濡衣:七世 中村芝翫
  原小文次:三世 實川延若
  白須賀六郎:中村福助(現 梅玉)
  長尾謙信:十三世 片岡仁左衛門
  花造り簑作実は武田勝頼:七世 尾上梅幸

『梅雨小袖昔八丈 髪結新三』(昭和56年5月歌舞伎座)
上映時間:125分
  髪結新三:十七世 中村勘三郎
  手代忠七:七世 尾上梅幸
  白子屋お熊:七世 中村芝翫
  下剃勝奴:中村勘九郎(十八世 勘三郎)
  家主長兵衛:十七世 市村羽左衛門
  弥太五郎源七:十三世 片岡仁左衛門

『二人椀久』(平成9年9月歌舞伎座)
上映時間:32分
  松山太夫:四世 中村雀右衛門
  椀屋久兵衛:五世 中村富十郎

『年増』(昭和59年4月歌舞伎座)
上映時間:22分
  年増お柳:七世 中村芝翫
 
(シネマ歌舞伎クラシックホームページより引用)

 この作品の中でも、戦後歌舞伎界の女形の最高峰とされている六代目中村歌右衛門さんの『隅田川』、そして十七代目中村勘三郎さんの当たり役であった『髪結新三』は、特に外せない作品です!

 過去の役者さんについて調べるうえで写真、劇評、芸談以外の手がかりとして、実際の舞台映像を見ることができるのはとても貴重な体験です。私の場合は勉強のためでもありますがただ記録として過去の映像を保存するだけでなく、映像資料を活用することで、一人でも多くの人に歌舞伎って面白いかも!と感じてもらえたらいいなと思います。そして、そのような場としてシネマ歌舞伎を、今後東京だけでなく各地の映画館や公共施設にも広げていくことが必要なのではないでしょうか。
 
「シネマ歌舞伎クラシック」
 【期間】2013629日(土)~719日(金)
http://www.shochiku.co.jp/cinemakabuki/
 【劇場】 東劇(東京)
(M.H)

2013年6月27日木曜日

原始感覚美術祭お手伝いゼミ有志活動:第1回大町訪問

書きたい事は山程あれど、すっかり投稿が滞ってしまいました、M.Oです。
先週末、原始感覚美術祭をお手伝いしているゼミ生有志で長野県大町市に行ってきました。今回はその御報告です。

昨年度より小林ゼミでは大町プロジェクトに取り組んでいますが、その過程で2010年より毎年夏に開催されている原始感覚美術祭を知り、今年度はそちらのお手伝いも有志でさせて頂く事になり、今回の訪問に至ります。
美術祭ウェブサイトはこちら:http://primitive-sense-art.nishimarukan.com/

19時過ぎに大町市に降り立った頃には、あたりは夕暮れ時。
実行委員会メンバーのNさんの車で拾って頂き、原始感覚美術祭実行委員会にお邪魔するために西丸震哉記念館へ。持ち寄りで地のものを美味しく頂きました。手作りおやきも!
当日は美術祭実行委員の方だけでなく、滞在作家さん、そしてぐるったネットワーク大町さんとカシマツリさんにもご出席頂き、広く懇談する機会となり、私たちが日頃口にしている「地域と繋がる」とはどういう事なのか・それによって何がもたらされるのか、改めて考えさせられました。
(その後、ぐるったさん・ラボラトリさん・カシマツリさんなどとの連携イベントのお話が着々と進んでいるそうです)
その夜は結局午前3時半位までお話をした後、西丸記念館の裏手にある滞在作家さんたちが泊まる施設に泊めさせて頂き、アトリエを出て各地で制作をする作家さんがどの様な環境で生活しているのかを垣間みたりしました。
二日目も晴天に恵まれ、実行委員のMさんのガイドのもとアートレンタサイクル(会期中レンタル可能)に乗り木崎湖の周りを中心に各スポットを巡る事から始まりました。



アート作品が鎮座する古民家、湖畔に佇む作品、舞踊の舞台となる神社、キャンプ場、農的共同のあるライフスタイルー
美しい自然に抱かれ、風を感じながら自転車を漕ぐのはそれだけで素晴らしい体験であり、その中に点在する作品を巡ることで見え得る何かこそ魅力と感じました。
一方で、美術祭期間中は夏の盛りであり、その中を歩くのは結構な忍耐力がいるかもしれません(駐車場の問題などがあり車でまわるには不向き)。自転車であればやや軽減されますが、自転車置き場やレンタサイクル数などインフラ面で改善の余地があると思われます。
午後は大町市街に移動し、かつての倉をリノベーションしてものづくりムーブメントの形成を目指す拠点としてのアートセンター麻倉さん、地域資源を活かし商店街ひいては町の活性化を目指すわちがいさんのお話を伺いました。美術祭だけでなく大町プロジェクトにおいても、市街で活動されている方々の声は重要であると思われます。
そして、迫るバスの時間に急かされながらも、最後に虹の家と蔵に伺い、エコビレッジのお話をおいしいお茶菓子を頂きながら伺いました。

取り急ぎざっと行程を追ってきましたが、様々なお話があり様々な思いを感じながら過ごした1泊2日でした。
今回お世話になりました皆様へ、改めて御礼申し上げます。

詳しくはまたゼミで御報告したいと思います。
(M.O)

日常発→胃袋経由→非日常行

今回は、まずわたしが主催している渋谷ハチ公サロン関連で。
どうも、pugrinです。

以前も記載した通り、8のつく日に、
「渋谷の●●」をトークのつまにしながら開催しているのですが、
明日は「渋谷の文学」がテーマです。

とはいえ渋谷と文学がすぐに結びつかなかったので、
白根記念 渋谷区郷土博物館・文学館へ事前調査に行ってきました。
http://www.city.shibuya.tokyo.jp/est/kyodo/

何かと賑やかな渋谷ですが、國學院大学のある方面は
本当に静かな住宅街です。

入り口ではやはりハチ公がお出迎え。
2階が郷土博物館、1階が特別展示室、地下2階が文学館です。

文学館には、渋谷在住の文豪たちゆかりの品々がたくさん展示してありました。
国木田独歩、田山花袋、与謝野晶子・鉄寛、三島由紀夫・・・
みんな若いころは渋谷に住んでいたそう。

「春の小川はさらさらゆくよ」の小川も実は今はなき渋谷川、
作詞家の高野辰之が渋谷に住んでいたのです。

小さなスペースにいろいろな手法の展示、ライブラリー、
喫茶スペースも盛り込まれており、
近くに住んでいたら気軽に来たくなるような身近さの施設でした。

という話題を引っ提げて明日はサロンです!
ちょくちょく告知しますので、いつでもいらしてくださいませ。


しかし、ここで問題が一つ。
文学館を見て回って、わたしはおなかがすいていたのです。
喫茶スペースはそもそもご飯の提供が無い&もう閉館時間。

そこで駆け込んだのはお向かいの國學院大学学食。
新しくて洒落たカフェで、格安もっちりパスタが食べられ大満足でした^^

やはり何かした後おいしいものを食べたくなるのは人の性。
美術館やなんかに行ったとき、カフェやレストランがどうかは気になるものだと思います。
近くでおいしいものが食べられることが訪問の決め手になることもあるので、
非常に重要なポイントです。

なぜ唐突に食べ物の話題?と思われるかもしれませんが、
今年の文化資源は「食」づいている気配なのです。

8月の鶴岡合宿コンセプトも、
修士1年のフォーラムのテーマも「食」と強く絡まってくる模様。

誰もが避けて通れないからこそ
多くの人を結びつけ、呼び込み、楽しませ、
変化を起こす力がある「食」。

上記のようなちょっとした外出でも、
何をどう食べるか?という問題は
絶えず自分に付きまとっているんだ、ことを思い出した次第です。

切り口や方向性が広すぎて、
未定なこともたくさんありますが、
「食」を取り扱うことで、文化資源・小林ゼミの新たな一歩が踏み出せることを
わたし自身とっても楽しみにしております!

こうご期待!

「ライブビューイング」

週末に学会があったりで、なかなか忙しい最中でありますが、
先日、前々から行くことが決まっていた「ライブビューイング」なるものに行ってきました。

「ライブビューイング」とは、コンサートやオペラなどの演劇を映画館などの大規模上映施設で生中継する方式のことです。
今回私は、韓国で行なわれたコンサートの生中継を、映画館で見てきました。

参加するまで、コンサートはその場に行ってこそ価値があるんだって思っていました。
確かに臨場感という意味では物足りなさはあります。
しかし会場と一体とまでは行かなくても、映画館も充分に盛り上がったのです。
(もしかしたら熱狂的なファンが多くいて、黄色い声がしばしば上がったり、一緒に歌ったり踊ったりする人がいたからかもしれません。)
また、チケットに注意書きとしても書かれていたのですが、映像が乱れることもなく(カメラワークに納得いかないことはあっても)、何の支障もなくコンサートを見ることができました。

そして何よりこの「ライブビューイング」では、会場ではなかなか見られない歌手たちのアップを見ることができる!
私は、これこそが「ライブビューイング」の醍醐味ではないかと感じています。

実際に会場に行けない人のために、映画館等を利用してコンサートを生中継することは、とても理にかなっているように感じました。
また比較的安価に、競争率の高いコンサートに参加できることも、利点のひとつだと思います。

現在、「ライブビューイング」は主に映画館で行なわれています。
しかし、もしかしたら、これが稼働率の低い公立文化施設などで行なわれるようになったら、

より多くの人がコンサートや演劇などを楽しめるようになるかなと感じています。
もちろん全国を回ることができるのならそれが一番ですが、全国津々浦々というのはなかなか難しいものです。
まして、海外のアーティストを招聘してと言ったら、公演できる会場は限られてきます。
そんなときに、映画館に限らず様々な場所で「ライブビューイング」は活用できるなと感じました。

(tantaka)

2013年6月22日土曜日

オキュパイド・ジャパン

知り合いからの紹介です。オキュパイド・ジャパンの展示会が六本木ヒルズ森タワー49Fで開催されています。入場無料です。

第二次世界大戦後、1947年から1952年の間、日本からの輸出品は「オキュパイド・ジャパン」の刻印をつけるようにGHQより義務付けられていたそうです。北米ではこれらの商品がコレクターの収集対象となりました。

 残念ながらトークセッションは終わってしまいましたが、是非足を運んでみてください!(Mube)



http://www.academyhills.com/note/report/2013/staff130605.html
http://www.academyhills.com/library/calendar/tqe2it00000juon1.html


 

2013年6月17日月曜日

ロードレースのおもてなし

日曜日、ロードレースなるものにはじめて参加しました。場所は、富士五湖の西湖。走ろう、と春に思ったとき、苦手種目が続かないことを見越して登録したのです。先のことだと思っていたら、その日はやってきました。

出場したのは「小学生以上4キロの部」ですが、一人前に計測用チップ付きのゼッケンをつけてスタート。飛ばすちびっこたちにつられて思わずハイペースになり・・・苦しむ。朝5時に家を出たので帰りのバスではさすがにぐったりしましたが、地元の方がみんなで盛り上げている大会は、そこにいるだけでもほんとうに楽しい雰囲気でした。



参加者4000人規模の大会に数百人の運営ボランティアの方が関わっていたと思います。受付、進行、計測、給水係、バナナ給食係、交通整理、駐車場整理・・・それに加えて沿道での声援。

大会情報を調べたとき、全国で開催される数百ものロードレースがデータベース化されてそれぞれ特色があることに驚いたのですが、最近のランニングブームもあり、地域に毎年数千人規模の交流人口が訪れるのはけっこう大きなことなのではないかと思います。開催側はまちのよいところを半日の滞在でも理解してもらえるよう受け入れに意を尽くし、訪問者はその地域にちょっとした縁ができる感じがある。ロードレースは一期一会のおもてなし大会だな、という印象をもちました。

そして現在登録募集中のレースは・・・、第30回記念大町アルプスマラソン!10月20日(日)開催。インターネット申し込みは、8月5日までです。誰か行きませんか?

(ykn)

今会える

6月14日、図書館で作業中にM.Oさんのゼミブログを読み、
くろよん50周年イベントが有楽町で開催されていることに気づいて慌てて行ってきました。
pugrinでございます。

 
 
くろにょん、アルクマくんと夢の3ショット!
 
到着時刻が16時20分、
スタッフさんに聞くと10分後が撮影会の最後の回だということだったので
知らずに行ったのに間に合って本当に良かった。
 
くろにょんもアルクマくんも程よいゆるさでとってもキュートでした。
 
 
すでに地域振興にゆるキャラが全国各地で大活躍なのですが、
ここで一度ゆるキャラとはなんぞや、と思いまず簡単にウィキペディアで検索してみました。
-----------------------------
ゆるキャラとは、「ゆるいマスコットキャラクター」を略したもので、
イベント、各種キャンペーン、地域おこし、
名産品の紹介などのような地域全般の情報PR、
企業・団体のコーポレートアイデンティティなどに使用するマスコットキャラクターのことである。
そういったかわいらしいイラスト全般を指す場合もある。

狭義では、対象が国や地方公共団体、
その他の公共機関等のマスコットキャラクターで着ぐるみ化されているものに限られるが
(後述の「ゆるキャラ三か条」も参照)、
広義では大企業のプロモーションキャラクター等も含まれる。
 -----------------------------
「ゆるキャラ」の提唱者であるみうらじゅんは、
あるキャラクターが「ゆるキャラ」として認められるための条件として、以下の三条件を挙げている。
 1.郷土愛に満ち溢れた強いメッセージ性があること。
 2.立ち居振る舞いが不安定かつユニークであること。
 3.愛すべき、ゆるさ、を持ち合わせていること。

これに加えみうらは「原則として着ぐるみ化されていること」も条件に挙げている。
また、郷土に由来する「いろんなものを盛り込みすぎて、
説明されないと何がなんだか分からなくて笑いを誘うような」ところ、
突っ込みどころの多く「とんちんかんな」ところ、
プロが「商品開発のことを考えて、リサーチしたり」せず、
行政や市民といったキャラクター作りの素人が作るがゆえのゆるさ、なども指摘する。
-----------------------------
 
「ゆるい」の定義などもちろん曖昧ではあるものの、
大枠としては地域活性化のために、
素人が公募においてデザインしたり名前を付けたりしてできるキャラクター、
 
というところでしょうか。
 
わたし自身はくろにょんの目がこっちを見てくれないところ
ダム工事のヘルメットに「くろにょん」と明記しているところなんかは「ゆるい」と思いました。

 また、アルクマくんは長野「県」のキャラクターである一方、
くろにょんは黒部ダムのキャラクター、つまり関西電力のキャラクターです。
つまり、二つを同時に借りてきてイベントに出すのはなかなか手間だ、ということ。
(夢がなくなっちゃうな・・・)
有楽町でスタッフさんが「めったにないチャンスですよ!」と宣伝されていたのもうなづけます。
 
 
こうしたゆるキャラブームはすでに円熟期を迎えており、
(社)日本ご当地キャラクター協会http://kigurumisummit.org/index.html
全国ご当地キャラニュースhttp://yurui.jp/では
どこにどんなキャラクターがいて、
今どこで握手ができるか、というような情報がすぐに手に入ります。
 
くまモンのように全国的に商品化がなされるまでに成功した例は多くはないものの
これらのキャラクターが身近に存在する、ということ自体
「かわいい」「かわいくない」「応援できる」「したくなくなる」など
話題のきっかけになることが地域振興の発端となるのでしょう。
 
ゆるキャラはまさに地方のアイドル。
人間でないキャラクター、しかも完璧さを望まれないという点は
初音ミク人気に通ずるところもあります。
 
好きも嫌いも含めて、人と人をつなげる役割を担ってくれているのですね。
 
ちなみに「くろにょん」でグーグル検索をかけても、知名度はまだまだのよう。
 
くろにょんがんばれ!めっちゃがんばれ!


「持続可能な国際社会」フォーラムでの講演


  6月初旬、立川市と国際ソロプチミスト立川が主催する、「第7回国際ソロプチミスト立川ユースフォーラム」にてゲストとして参加し講演を行いました。
会場になった立川市にあるホールには100名程度の方がいらっしゃっていました。

 今回のユースフォーラムは「『持続可能な国際』を実現するには」をテーマに入選した高校生がスピーチを行い、私はボランティアを切り口として「持続可能な国際社会」をお話させて頂きました。
 高校生のスピーチではみなさん、このテーマについて多角的方面から調べ、その上に導き出したそれぞれの意見を、大勢の前で堂々と発表していてとてもたくましく思えました。東北現況、復興の過程、震災ボランティアで得た気づきと学びを、時間的制約等で定期的に現地に足を踏み入れる事難しい他地域(主に関東)の方々と共有する事もまたボランティアの役割の一つであると思います。今回の講演がお越しいただいた皆さんにとって、今回のテーマの「持続可能な国際社会」を考えるきっかけになっていたら嬉しいです。


 私の震災ボランティアの経験は、授業にもぐらせて頂いている小林先生のゼミのテーマの一つであろう「文化施設経営・文化プロジェクトと地域発展」に関連する部分があると考えます。その理由として、(1) これから発展させていく地域として東北地方を取り上げていること、(2) 外部からの支援の教訓が数多くあることの二つがあげられます。ですから、震災ボランティア活動で得た経験をこれから私が携わるプロジェクトに(個人的に関わっているアート・プロジェクトも含め)役立てて行きたいです。例えば、外部支援のあり方も役立てる事の出来る一例です。支援をしていると、現地の人から「あれやって」「これやって」と頼まれるものです。しかし本当に外部支援者である我々がそれをやるべきなのかしっかり考えなければならない場面もあります。被支援者から求められる事をやらない方が良いことや、求められる事の原因を突き止めてもっと根本的な部分で支援を行った方が良い時、あるいは求められている事以上のプラスαをしてあげた方が良い時もあるからです。それを考える時に大切な事は、陳腐化された表現ではありますが、相手の立場に立つ、という原点です。すなはち、それに関わる様々な人々、状況からの視点、ミクロ、マクロの視点をもち複合的に考えて、被支援者にとって何をすることが最も良いのかを考えるということです。非常に聞きなれた当たり前な話ではありますが、私はついつい一生懸命になるばかり周りが見えなくなってしまった失敗談があるので、やはりこれが大切だと思い書き留めておきます。
 このように、自らの経験を活かせるところは活かし新しく学ぶところは学びながら、ゼミの活動も含めこれからの活動に関わっていきたいと思っています。

Show

2013年6月14日金曜日

世界遺産登録は、教育行政か?


私の勤務する自治体では、今年度から世界遺産登録推進のための部署を教育委員会内の部署に設置しました。ここで私の頭の中に疑問がわきました。それは標題にある通り、世界遺産登録にむけた行政の担当部署は、教育委員会で適切なのか?というものです。教育委員会は、端的に言えば教育行政をつかさどる部署なわけですが、その中に世界遺産登録の部署を設置するということは、教育行政の一環として世界遺産登録を推進するということになります。

 「教育」と「世界遺産の登録」とを論理的に結び付けるためには、たとえば、「世界遺産登録のためには、その重要性を国民に認識してもらうための教育が必要だ」とか、「世界遺産登録が実現できた際には、地域学習の資源として活用できる」といった説明が必要となってきます。

 ところが、世界遺産とは「人類が共有すべき著名な普遍的価値を持つ物件」であって、解釈の仕方によっては教育資源なのかもしれませんが、それは世界遺産が持つ価値の一部にすぎないのではないかと思うのです。つまり、教育的側面から世界遺産登録のための部署を教育委員会内に置くことは不可能ではないにせよ、世界遺産の持つ意義から考えると、十分ではないということになります。

ここで、行政の組織論という観点から考えてみたいと思います。一般的に組織は、その組織の仕事に対する考え方や姿勢が反映されたものとみなすことができます。仕事の目的や目指すべき姿、それに係る仕事の進め方があって、実際の組織構造が形作られるはずです。この観点に立って、世界遺産登録に係る部署を組織のどの位置に当てているのかを見ることは、行政組織の中でその仕事がどのような意味に捉えられているのかをある程度判断するひとつの材料になるでしょう。
 
そこで、機械的に基礎自治体に限定して、googleで各地の自治体の状況をピックアップしてみたのが、下の表です。

                                

釜石市


総務企画部世界遺産登録推進室


 


鎌倉市


世界遺産登録推進担当


機構に基づかない特命担当職。市長直属部門


彦根市


企画振興部彦根城世界遺産登録推進室


 


佐渡市


世界遺産推進課


文化財室(文化財保護係・埋蔵文化財係)を含むが、教育委員会とは別組織


伊豆の国市


観光・文化部世界遺産推進課


教育部とは別組織


富士宮市


教育委員会富士山文化課


 


堺市


文化観光局世界文化遺産推進室


教育委員会とは別組織


藤井寺市


総務部政策推進課世界遺産登録推進室


 


羽曳野市


市長公室政策推進課世界文化遺産推進室


 


宗像市


経営企画部企画経営課世界遺産登録推進室


 


北九州市


総務企画局世界遺産登録推進室


 

 

 全国の状況をすべて確認しているわけではないのですが、意外と多いのは、教育委員会の外部に世界遺産登録推進のための部署を設けているということです。しかも市長公室などの首長部局に設置しているものが多くみられます。恐らくこうした自治体では、首長主導のもと、全市的に取り組む課題として世界遺産登録業務を位置付けているのではないかと考えています。 

そこで、最初の事例にもどると、組織図から組織づくりの担当者の意図を私なりに解釈すると、「教育」(教育委員会)=「世界遺産の登録」(世界遺産登録推進の部署)とするため、世界遺産という普遍的な価値を持つもの(持つと考えられているもの)を教育という狭義の枠組みに無理やり押し込もうとしたのか、あるいは、すでに教育委員会にある文化財の指定業務と世界遺産登録を単純に同一視したのだろうと考えています。

 結論としては、この事例の場合、後者の文化財指定と世界遺産登録を同一視したのだろうと考えています。こうなると、では文化財保護行政は教育行政か?という疑問に突き当たりますが、この問題は別の機会に論じようと思います。

(ま)