雪耐性がないかわり憧れは人一倍。ふかふかに積もった雪の中に背中から飛び込んでみたいという願望があった私は、まだ見ぬ冬の長野県大町市を勝手に真っ白に塗りつぶしていました。出発の朝、ユキグニユキグニと黙唱しながら、都内では汗ばむくらいに厚着しました。ところが、大町市に着いてみると想像よりも暖かく、融け残った雪も少なめ。ちょうど気温が上向いたときに当たったようで、ちょっとだけ残念でした。
さて、外部向けのいろいろな前置きは省略させていただいて、私が若手職員による中間報告会で最も印象に残ったのは、「食」をテーマにした班の発表で「***屋のバタどらを何とか残したい」という職員の個人的な思いを聞けたこと。最初は職員たちで新スイーツを開発しようというところから始まったみたいですが、途中から既存の食文化に視点が移ったのは、私は「良い方針転換だった」と思います。(スイーツ開発もまだ諦めていないようですけど。)
新しく何かを創造すること以上に、既存の文化の何を残していきたいのか、伝えていきたいのか、私自身はそういう視点を大事にしたいと思っているからです。特に大町市の場合は、新しい取り組みには何でも手を出している印象があり、非常に意欲的な自治体であると評価できる反面、「結局このまちにとって大事なものって何なのだろう」と思ってしまうのも正直な感想です。「***屋のバタどらを何とか残したい」というのは一例にすぎませんが、そのような声が聞けたことはとてもうれしかったし、私にとっては何よりの収穫でした。
「行政職員の先輩」に囲まれた交流会では、来年度以降の自分自身の姿と重ね合わせながらお話をさせてもらいました。昨今は市民協働が叫ばれるけど、公務は常に公平性の観点からチェックされるから、なかなか言葉通りにはいかないんだよね、というお話がありました。確かに中間報告会でも、民間事業者の名前を挙げるときなどに公平性を配慮したような断りを入れる場面が何度かあり、少しだけ気になっていました。
公平性。「誤った公平性に陥ってはいけない」と言ってしまうのは簡単ですが、公務員として可能な仕事には限界があります。というか、限界だらけのような気がします。果敢に「公平性」の固定観念に立ち向かうのか、それとも全体の奉仕者として愚直に「公平性」から踏み出さないでおくのか。正直、いまの私には判断ができません。大町プロジェクトが、自分の将来と直にリンクしていることを改めて実感しました。
修士論文を書いた身として恥ずかしいのですが、私は長い文章を書くのが苦手なので、これ以上は別の機会に。
(peaceful_hill)
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