2012年12月4日火曜日

フランス便り(4)ルーブル・ランス


今日、12月4日はルーブル・ランスの開館セレモニー!
ニュースでも大統領の来館や中の様子を興奮気味に伝えています。
セレモニーに先駆けて3日はプレスプレビューがあり、ウェブ上で続々と様子が紹介されていました。
http://www.lavoixdunord.fr/culture-loisirs/louvre-lens

ルーブル・ランスに行く人達のために、提携のある鉄道会社では早速「ルーブル・ランスに行くなら帰り道はタダ」キャンペーンを実施中。
一般オープンは12日ですが、それまで何をしているかというと、地元の人達を優先的に受け入れています。無料で解説してくれるメディエーターが所々に控え、また今週末には夜間もノンストップで開館するそうです。

日本人建築家ユニットSANAAが設計に携わった「開かれた」文化施設は、豊かな採光とその拡散が美しく、未開のまま放置されていたかつての鉱山地帯に現れた、ルーブルで常設公開されていなかった200以上の名作を包含する新たな美術館は、地方都市風景にとけ込んだものになっている、とのこと。

パリのルーブルが時代別/流派別に厳格に展示されているのに対し、ランスの「時のギャラリー」ではクロノロジカルに様々なマスターピースが展示されています。
その他の分館プロジェクト等と同様に、これらの作品はランスの常設コレクションではなく、パリのルーブルからの貸し出しという形式になります。
ランス分館の開館は、ルーブル・アブダビの試金石としても注目されており、15日には本家パリのルーブルにて新たな分館の誕生に際してわきあがりつつある議論を取り上げたシンポジウムが早速開催される予定です。

ノールパドカレ地域は、欧州文化首都にもなったリールがある事でも有名。かつては鉄鋼業などを主産業として栄えた当地域も、その斜陽の影響を受けていました。
ベルギーとの国境を接し、第一次世界大戦では主戦場の一つともなり、今日ではヨーロッパの交差点とも呼ばれるランスは、鉱山の閉鎖に伴うその高い失業率が問題になっていました。
「第二のグッゲンハイム・ビルバオ」の実現だけでなく、ユネスコ世界遺産への登録も狙ったこの分館設置は、ランス市が多額の資金を投入した一大都市開発事業でもあります。

文化の脱中央集権化を掲げた当時の文化大臣Jean-Jacques Aillagonの主導の下、2003年に起草、9年の計画と3年の工事を経てついに開館したルーブル・ランス。
今後の動向が注目されます。

というわけで、風邪からようやく回復したM.Oがフランスからお届けしました。
東京もめっきり寒くなった様ですが、皆様もお身体にはくれぐれもお気をつけ下さい。
(M.O)

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