前回はParis Photoについて書きましたが、今回はその周辺に関する続きです。
有名どころのアートフェアの周辺にはOFF(サテライト)がつきもの。
伝統的なアートフェアの閉鎖的体質へのアンチテーゼとして複数のギャラリーが企画したり、新たなイベントとして企画されたり等、その起源や開催回数はまちまちです。
どのフェアに出ているか、また安定した回数出ているかがギャラリーの評価に直接繋がるという中で、大きなフェアには出れない(あるいは出ない)けれど、その盛り上がりを享受したい中堅・若手ギャラリーが、比較的安いブース代で、価格がまだ比較的高くない将来が期待される若手・中堅作家を紹介しています。
アートフェア出展には審査がありますが、まだ評価の定着していないOFFにおいては定員割れをおこしがち。かといって誰にでも門戸を開いてしまえば、結果的に質の低いギャラリーが集まりフェアのイメージもダウン。
アートフェアの運営も難しいものですが、フェアの時期には新しいものを求めてアートラバーやコレクター、美術関係者が、メインだけでなくOFF巡りを行うのは通例です。
フェアの成績は様々な要因に影響を受けます。
時期、場所、出展ギャラリーの質、出展費、広報力、為替、等々。
主催者側は入場料も大きな収入源なので、入場者数は重要です。
一方ギャラリー側は新規顧客開拓と同時に出展作品の販売が重要になるので、売却が容易な作品(価格、サイズなど)を揃える傾向もあるようです。
不況の影響もあり、とりわけOFFではフェア前半で売り上げを達成するギャラリーはほぼなく、まだ評価の定まっていない作品を前に、コレクターは値段と価値をじっくり吟味する傾向にあります。
あるギャラリストの方が、「アートフェアは博打の様なもの」と言っていました。
とりわけ各ギャラリーの固定客が少ないOFFにおいては、作品のクオリティーが高くても、売れるか売れないかは出たとこ勝負。
「荷物」を減らして帰れるかはまだ見ぬコレクターとの出会い次第という事でしょうか。
今年のParis PhotoのOFFとしては、主にnofound(3区)とPHOTO OFF(20区)がありました。
どちらも(とりわけ後者は)ギャラリーだけでなく、コレクターや基金、アート関連のパブリッシャーあるいはギャラリーの後押しを受けた作家が直接出展しているブースがあり、近年の新たなアートフェアの形を示していました。
前者は土地の理を活かして幅広い年代の客層を集めていましたが、去年はあって(8区)今年はブリュッセルのみでの開催となったFOTOFEVERに来ていた客層は別に流れてしまっていた様です。
一方、後者はあの辺りの居住者がコミュニケーションの場として家族連れでいっているという印象で、作品の質はぱっとしないものの、観客の滞在時間は長そうでした。
出展者達の明暗はともあれ、観客にとっては様々なニーズに合わせて幾つかのフェアが展開されているのは有り難い事かもしれません。
(M.O)
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