こつこつと、修論の準備で日々が過ぎているM2のpugrinです。
わたしの研究の主な登場人物に円谷プロダクションがあるのですが、
円谷プロダクションという会社は今、株式会社フィールズという「パチンコ屋さん」
の子会社となっています。
フィールズがどのような企業で、どのように円谷プロダクションと関わっているかは
修論の発表に置いておくとして、わたしは会社勤めをしていたときに、
まさに「パチンコ屋さん」との契約業務を行っていたので、
今回はそのときの経験を書こうと思います。
パチンコといえばじゃんじゃんバリバリ大きな音で、
中高年の男性のもの、しかも田舎に多いもの、というイメージが強いのではないかと思いますが、
2004年ごろからアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」とタイアップした機種が出てからは
いろいろなアニメや漫画、タレントとタイアップした機種が増加しました。
その機種でしか見られない映像や、その中でしか聞けない音楽があることにより、
若い男女のファン、そしてパッケージの売れなくなった映像・音楽業界をも惹きつけてきています。
わたしはそのような音楽・画像を携帯電話に配信するために
権利元のパチンコ機の製造・販売業者と「著作物利用許諾契約」を交わしていました。
いわゆるJ-popを配信する場合と違い、そのような企業との契約は
非常に時間のかかるものでした。
まず契約書初稿(ドラフト)のやり取りですが、先方は初めての音楽ビジネスのため
契約書ひな形を持っていない。
すると自社のひな形に条件を記載して送付するのですが、
かなりの時間が経ってから、真っ赤に修正を入れられて返ってきます。
内容としてはあれもこれも権利を許諾しない、ということで、
著作物の利用を制限したい気持ちはわかるのですが、
配信そものもができないほどにNOを出してくる。
つまりやろうとしているビジネスの中身と、法律の兼ね合いが理解されていないようでした。
もちろんその業務をやっていたのは2009年頃のことなので、
まだ著作権に詳しくない業者さんも多くて仕方がなかったことと思います。
わたしはそれらのNOに対して、一つ一つ
「ここはこのような理由でOKしてもらわないと配信ができません。
もしリスクがあったとしてもこのように対処するのでご迷惑はおかけしません」
とコメントを入れていました。どの会社でも同じようなことが起こるので、
コメントのテンプレートができるほどでした。
時間はかかるものの、きちんとプロセスを踏めば契約は締結できたのですが
2010年に暴力団排除条例が施行されたのが問題でした。
東京都では暴力団と関係のある企業との取引は行わないよう努力義務が課せられたため、
「わたしたちの契約には暴力団は一切関わりません」というような内容を
契約書に一文入れなくてはならなくなりました。
ここでも他の企業であればすんなり通る契約書が、パチンコ屋さんたちの反発を招いたのです。
上記の文面に真っ赤に削除線を引いて返してきた企業もありました。
「私たちは暴力団と関係があるのだから、このような文言は入れられては困る」
ということが丸わかりでした。
簡単な契約書のはずなのに、ビジネスは進もうとしているのに、このようなやり取りのおかげで、
「それほど時間と手間をかけるなら、儲けとつりあいが取れなさそうだから辞めよう」
となった企画もいくつかあったと思います。
わたし自身、本当に進めたい企画ならなんとか締結できないものかと思いましたが、
どうにも難しいようでした。
途中から、そのような画像や音楽を配信する場合に、
他のレコード会社などが間に入って取引を行う例も増え、
直接にパチンコ屋さんとやり取りをすることは少なくなったように記憶していますし、
彼らも著作権について対応を検討したと思うので、
今ではそのような理由でダメになってしまう取引は減っているのではないかと予想します。
パチンコ自体の是非を問うつもりはありませんが、
こうした経験から、円谷プロダクションの地域での活動を読む際に
親会社との関係がどのように影響を及ぼしているか、
注意しながら研究を進めていきたいと思っています。
関係各社の会社情報を読みながら、なんだか懐かしい調査をしている、と思い出しました。
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