普段はCity University of Hong Kongで、世界文学にまつわるレクチャーを受けています。
たとえば非英語圏の文学が世界文学として認められるときにはどんな力学が生じるのか?
大型ショッピングモールにあるフードコートの中華料理が現地の中華料理と同じではないように、文学においても「日本文学らしさ」「中国文学らしさ」が求められる出版マーケットになっていないかなど、文学に限定せず広く文化の問題として捉えられる話題が多いです。
昨日は講義の代わりに、The Hong Kong University of Science and Technologyを見学してきました。開校23年しか経っていない校舎には涼しい海風が吹き抜けます。図書館では学生が映像の撮影・編集を行えるスタジオが併設されていたり、アジア圏のアーティスト自ら寄贈した彫刻や絵画があちらこちらに。窓からは海や小さな無人島が望めます。
本館では16~19世紀にかけて欧米で作成された中国の古地図180点をデジタルアーカイブ化し、ネットで一般公開も行っています。 最上階のギャラリーでは特殊フィルムで保護された実際の地図を眺めることができます。世界地図を見ていたツアー参加者(世界文学セミナーの講師)がクック船長のオセアニア航海と時計の関係にまつわるミニレクチャーを始めるということも起こり、研究者に囲まれているという思いを新たにしました。
海上の航海では、グリニッジ標準時間とその場の時間の差を計ることで現在地を把握することができます。そのためかつてのイギリスにおいて、精密な時計の開発は急務だったそうです(正確な地図作製は海上の軍事力に直結するため)。
図書館見学後は買い物客でごった返すTsim Sha Tsui周辺へ。喧騒を横目に(涼も求めて)九龍公園内のHong Kong Heritage Discovery Centre(香港文物探知館)に入ります。香港の考古学・建築学的遺産を紹介するこの施設は、入館料無料にしては見ごたえがありました。香港ディズニーランド建設に際して建設予定を調査したところ出土した大量の陶器を床に敷き詰めるなど、展示方法がなかなか面白かったです。
公園内には鸚鵡が喧しい「百鳥園」や香港漫画のキャラクター像がずらりと並ぶ一角があり、ワゴンで売っているソフトクリーム(9HKD=約130円)を食べながらの散策がお勧め。
最後に訪れたのは同地区にあるK11というショッピングモール兼美術館です。若者向けの洋服店を通り抜けた場所にメインギャラリーがあり、ここ数年間に若手作家により発表された作品が並びます。香港よりは中国本土からの出展が圧倒的に多いのは気になりました。
ギャラリーに行かなくても、店舗と作品が並存している作りとなっていますが、最も目立っていたのは入り口広場の巨大ロボットパンダでした。
一日観光しただけですが、美術館以外にもアートを気軽に見る場所は案外多い印象でした。来週はその美術館及び劇場に行く予定です(演劇に関する内容も次回に)。
一日観光しただけですが、美術館以外にもアートを気軽に見る場所は案外多い印象でした。来週はその美術館及び劇場に行く予定です(演劇に関する内容も次回に)。
(東京のスーパーで70円だったドラ焼きは30HKD=約390円だと知ったN.N.)
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