2014年4月23日水曜日

彩の国さいたま芸術劇場初訪問

はじめて書き込みます、学内の他研究科から参加していますharukoです。

さて、今日はいちばん最近の観劇体験を書きたいと思います。

先月、ダンス好きの研究室の先輩に誘われ思い立って行ってきたのが、彩の国さいたま芸術劇場での「ピナ・バウシュ ヴッパタール舞踊団」『コンタクトホーフ』です。残念ながら公演はもう終わってしまっています。

自分にとっては、「彩の国さいたま芸術劇場」「ピナ・バウシュ」どちらも初めての経験でした。池袋から与野本町まで埼京線で揺られること半時間。開演1時間前に着いたにも関わらず当日券を求める人々の長蛇の列ができていました(そして我々もその列の中に)。

ピナ・バウシュといえば、2007年に京都賞を受賞し、彼女の逝去後2011年、ヴェンダース監督のドキュメンタリー「PINA/ピナ・バウシュ 躍りつづけるいのち」が公開されて以来、ますます国内の知名度が上がった印象があります。日本でのヴッパタール舞踊団の公演は、2010年に行われたピナ・バウシュ追悼公演「私と踊って」(@新宿文化センター大ホール)以来だそうです。


今回の舞台「コンタクトホーフ」が扱っているのは男女間の「コンタクト」に伴うハラスメント、何が自然な振る舞いであるのかを考えさせられる内容です。最初に、ダンサーが両手で髪をなで下ろして歯をみせるシーンがあります。これが舞台導入のための儀礼的な意図を持つものなのかわかりませんが、この表情と仕草だけで、ぐっと舞台に引きせられるような緊張感がビリビリと伝わってきました。

ピナはダンサーに、作品の制作、振り付けの決定に対して100もの質問を考えさせるそうです(出所:『埼玉アーツシアター通信no.48』)。それも「愛を共生されたらどうするか」「なにも考えられないときに何を考えるか」といったもの。このように表現される振り付け制作のプロセスは、演じることにとって象徴的です。

ひとつの動作や発声に対して表現の方法は、無限の可能性があります。表現者はときにずっと昔の記憶をたぐり寄せていくことで、ひとつの表現に行き当たるかもしれません。そのようなプロセスで作られていくダンサーたちの動きが、自分の経験や精神世界のすべてを熟考した末にでてくる動きであるからこそ、これほどまでに濁りなく、取替えの付かない一人ひとりの動きとして現れ、観客の身体に直接に問いかけてくるのかなと感じました。
休憩をはさみ約3時間にもわたる舞台でしたが、あっという間に過ぎ去り、気づけばスタンディングオベーションが起こっていました。

さいたま芸術劇場は、舞踊団と2004年にも「天地TENCHI」を共同制作しています。今回この劇場での公演がされたのには、このような共同制作の歴史があったからだろうかと思いました。
東京近辺にもまだまだまわったことのないたくさんの気になる公立劇場があると感じました。さて、末筆となりますがこれからどうぞよろしくお願いいたします(haruko)

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