先週、早稲田大学演劇博物館で開催されている、「サミュエル・ベケット展」に行ってきました。
3年前の震災直後から圧倒的なリアリティを帯びた現代劇としての『ゴドーを待ちながら』が再注目されました(福島第一原発近くの路上で行われた公演もあります)。本展はその新たな受容の流れを汲み、世界中で近年上演されたベケット劇を紹介しています。
いつかのアイルランド文学の授業で、この文学は「おしゃべり好きで」「話が円環構造で終わりがない」のが特徴だと聞いたことがあります。ベケット劇には主人公が自分自身も聞きたくないのであろう独り言を延々つぶやく作品が多く(『わたしじゃない』『クラップの最後のテープ』など)、その点において彼は最も過激で病的なアイルランド文学者といえるかもしれません。
ベケット展の一階上では『今日もコロッケ、明日もコロッケ―益田太郎冠者喜劇の大正』展が開かれていました(こちらも8月3日まで)。帝劇女優の森律子の生人形も見ることができます。
ベケットの深遠かつ親近感の持てる世界にジーンと来た直後に「コロッケ~♪」と朗らかに歌う声を聴くのは落差が大きいとも思いましたが、これも演劇に多様性があってこそ。
「コロッケの歌」(https://www.youtube.com/watch?v=aY66ixyTdZI)
「Not I」(https://www.youtube.com/watch?v=M4LDwfKxr-M)を聴きながら
(N.N)
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