船橋市の飛ノ台史跡公園博物館は、飛ノ台貝塚(縄文時代早期)に隣接するサイト・ミュージアムである。発掘調査の成果を踏まえ、船橋市は1997年にこの貝塚を市指定史跡とし、2000年にこの博物館をオープンした。
この博物館に私が注目したのは、毎年夏に「縄文国際コンテンポラリーアート展」が開催されていることである。2012年の展覧会では、縄文文化と古代イタリアをテーマに、両国のアーティストたちの作品が館内で展示された。
縄文時代の展示となると、考古学的な視点で土器や石器が展示されることが多い。もちろん、こうした展示は縄文文化のひとつの見方として重要なものである。しかし、縄文時代の遺跡が持つ価値は、より多面的で、豊かなものだと常々感じている。この豊かさは、展覧会でも積極的に表現されるべきだと思うが、実際には考古学的な解釈のみが表現される。その背景には、展示する側の事情がある。展示に関わる多くの考古学専攻者は、日々他の考古学専攻者に囲まれて仕事をしていることもあって、少なくとも、土器や石器を資料としてみなし、作品とは捉えない。
しかし、ここの学芸員さんのように、異なった視点を持ち込むことで、そのものの多様な価値を引き出すことはとても重要なことである。異質な文化同士を結び付けた結果、良い化学反応が起きている。こうしたクリエイティブな仕事は、行政の文化化の議論とも接続するものだろう。
行政の仕事に携わっていると、どうしても条例や規則に縛られ、クリエイティブな仕事ができないような感覚に苛まされる。博物館の学芸員や文化財保護部局の職員に関わらず、士気の高い行政職員のモチベーションが、いつの間にか、右肩下がりになる要因のひとつがこれである。
ではどうしたら、行政の中でクリエイティブな仕事ができるのだろう。
最近私が感じるのは、①クリエイティブな仕事をしている人を見つける、②ゲリラ的に仕事の種をまく、の2点が重要であるということだ。
①については、身近にモデルを作ることで、モチベーションを維持することができる。②は、なんだかルールを破る様で気が引けそうだが、一定の仕事のルールを守りつつ、思い切った手法で、アイディアが実行できそうな可能性を探るということである。外部から人が必要なら、アイディアの段階ではお金が付かないから、自腹を切るといったように。例え事業としての芽が出なくても、沢山のアイディアの種をまくことは、とりあえず行動したという達成感で、自分のモチベーションは一応高まる。
以上、好き勝手に述べたが、実際にこれから自分の仕事としてどこまでこれを実践できるのか、腕の見せ所である。
縄文国際コンテンポラリーアート展2012inふなばし
http://myfuna.net/reg/press/navi/2012/07/30093415.html
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