2013年1月11日金曜日

フランス便り(10) モンスター広場:前編


遅ればせながら、明けましておめでとうございます。
先日、無事に帰国しましたM.Oです。
本年も宜しくお願い致します。

帰国したもののまだブログネタがありますので、引き続きフランス便りとして投稿したいと思います。

去る12月上旬に、Ivry-sur-Seineにある現代美術施設「クレダック(Centre d'art contemporain d'Ivry - le Crédac, La Manufacture des Œillets)」に行ってきました。
実験的な現代美術施設として1987年に誕生したクレダックは、1970年代のイヴリィ市の再開発で建設された建物の地下に、文字通り「アンダーグラウンド」として長らく居を構えていましたが、2011年の9月に市の産業遺産であるレンガと鋼造りの建物、La Manufacture des Œilletsの4階に引っ越しをしました。

そんなわけで、引っ越し後第一弾の展覧会「L’Homme de Vitruve(ウィトルウィウス的人体図)」(←ダ・ヴィンチが描いたあれ)は、産業の歴史が色濃く残る同施設の建築及び市を取り巻く脱産業化の流れを反映し、産業というテーマを扱った作品を展示していました。
ベッヒャー夫妻(今年のパリフォトでフューチャーされた)やミルチャ・カントル(昨年のマルセル・デュシャン賞を受賞しポンピドゥー・センターにて1月頭まで展示)など押さどころもしっかり展示していました。いやはや。

さて、この文化施設でも勿論様々なイベントが企画されている訳ですが、今回の訪問の目的は「Mard!」。
クレダックが市のメディアテークの協力のもと、毎年、現代芸術をとりまく芸術的・社会的問題について、ジャーナリスト・批評家・芸術家・美術史家・作家などを招き、1年間で5回にわたり周期的に行っている講演です。
ちなみのこのイベント、火曜日(Mardi)に行われるので「Mard!」だとか。

6シーズン目となる2012-2013年のタイトルは「Horizons Mobiles(動く地平線)」。
世界と我々人間の関係について芸術家が表現する際、 自然であれ人工であれ風景は人間の創造物である(自然も「知覚」され「表現」される過程で「創造」されているので)、という観点から、今日、風景あるいはより広義で自然やその環境、そして都市風景という概念を芸術家がどのように捉え、またどのような形で風景や我々の生活様式を再提示していくのかー 即ち「風景と現代芸術の関係」がテーマでした。
全5回は「芸術の観点からの環境再考としてのランドアート」から始まり、今日の政治・環境的関心である「持続的発展」や「グローバル化と環境」へ、その後都市風景と都市の中の芸術の発展について「パブリックコマンドの手続き」と、市で2008年より展開するプロジェクト「trans 305」で終わる、という内容で、私が参加したのは4回目のものでした。

気になるその内容は、「フランス便り(11)モンスター広場:後編」に続きます!
(M.O)

0 件のコメント:

コメントを投稿