2013年3月16日土曜日

将来の自分へ

M.Oさんが詳らかに報告してくださった今回の大町訪問、私からは市民フォーラム(パネルディスカッション)で個人的に考えたことを記します。これは将来の自分が迷ったときに立ち返るための心覚えでもあります……が、あとから振り返ると自分でも恥ずかしい作文になっているかもしれません。みなさんには、これから社会に巣立つ世間知らずの書生論として受け取っていただければと思います。

パネリストとして参加した若手職員のみなさんに対し、小林先生が繰り返し問われていた、というか私の耳に強く残っている問いかけは、「行政職員として何ができるか」というものでした。若手職員グループ発表では、魅力的で元気なまちづくりを市民の目線から考えることはできたが、その次を考えてほしいと。
その問いかけの意図を汲んでいるかどうかわかりませんが、「地域のためにやりたいこと = 行政職員としてすべきこと」は必ずしも一致しない、というのは私も以前から肝に銘じておきたいものだと考えていました。つまり、市民(民間)にもできることはなるべく市民に任せ、行政にしかできないことは何かを考える、そのトレーニングを積むことが特に若手行政職員には大切なのではないでしょうか。
さらにいえば、この法治主義社会において行政職員がすべきことは何か、という問いかけが必要であるように思います。日本が法治主義社会であるという事実は、見過ごされがちですが職分の根本にかかわることです。法治主義社会の中で行政だからできること、それゆえに行政がすべきことに挙げられるのが、制度環境整備なのだと思います(このあたり、立法と行政の関係が不明確になっていますが、えーっと、文学部出身なので……汗)。
環境整備というと、かつてはハードの環境整備に目が向きがちで、それが急務だった時代は(極端にいえば)それだけでもよかったのかもしれませんが、一通りのハード整備が落ち着いた現代において、今度はソフトの環境整備がより中心的な課題になっています。しかし、市民活動を下支えする制度環境整備というのはハコモノを設置するようには単純にいきませんし、その点で行政職員に求められる役割はより難しくなっているようにも感じます。個人的な話ですが、さあ厄介な職業を選んだものだ、と思ったり思わなかったり。

>将来の自分
キミは「行政職員として何ができるか」という問いかけ、今も大切にしていますか?

ところで、今春修了する私にとって、ひょっとしたらこれが最後の投稿になるかもしれません。だから言っておきます。ゼミブログが始まって1年弱、自分の考えをまとめ直すこのような機会をいただきまして、本当にありがとうございました。それから、春以降もときどきこのブログを覗きにきます、約束です。

(peaceful_hill)

1 件のコメント:

  1. ラボのメンバーです。
    行政と市民(あるいは民間企業)は、手法は違えども目指すものを一にすることで連携できるものと思います。

    先日の市民フォーラムでは、行政側があまりに狭義の行政の役割を考えすぎていたために、先生の質問の意図が通じていなかったように感じました。

    市民協働という時、市と市民の描く姿は一致しているとは言えず、行政からすると、市民とは文句を言い、陳情し、無い物ねだりをするやっかいな存在で、
    協働とは、とりあえずうるさくない市民の声を少し取り入れました的な形式的なものになりがち。

    しかし、目指す姿、あるべき姿が同じものであるならば、立場を忘れてその実現に向けての議論をした後、
    それぞれがそれぞれの立ち位置でできる役割を果たせばそれでいいことで、
    市民が担うべき役割を果たし、行政が行政しかできないことをやればいいだけ。
    資金面のサポートに目が行きがちではあるが、規制緩和や市民の活動の場を提供するというのも立派なサポートであり、市民協働と言えると思います。
    その点、大町くらいのスケールの都市であれば、顔がわかる世界なので、うまく回ると大都市よりも進みやすい反面、
    市民の中で目立ちすぎると叩かれてしまうと言う地方都市ならではの悩みもあるのかと感じます。

    返信削除