皆さま、文化経済学会お疲れ様でした。私は分科会をお手伝いさせていただきました。
普段は翻訳論や海外文学を話し合うので、政策・現場実践・思想史などの面から芸術を論じる発表は刺激的でした。また、この分野の研究は対象が現在進行形になることも多いので大変だなと感じておりました。ただ(スタッフなので持ち場を離れるのはそもそも不可能ですが)、拝聴したい発表が各会場に分散して残念とは思いました(現代文芸論だと「アメリカ文学」「中東欧文学」というようなカテゴライズなので分散は稀です)。
話題変更。6月の22,23日に静岡芸術劇場の世界演劇祭に行ってきました。一番のお目当てはポーランド・ヴロツワフ劇場の『母よ、父なる国に生きる母よ』でした。原題は"Utwór o Matce i Ojczyźnie"(母なるものと父国なるものについての作品)。日本語で「故郷」「祖国」「母国」と様々な表現ができる言葉にあたるポーランド語は「父」(ojciec)から派生したojczyznaしかないそうです。
この題が示すように、父国ポーランドの歴史に翻弄される母娘の物語でした。
その公演が終わった後、夜の『神の霧』『黄金の馬車』の会場となる舞台芸術公園へ移動(バスに揺られて十五分)。そこは劇場専用のお茶畑がある、気持ちのいい場所でした。
なお『黄金の馬車』開演前・終演後(22時ごろ)は舞台芸術公園のカフェにて役者・観客合わせた交流会。上写真(?)のお茶が振る舞われ、屋台も出店し、子どもたちが作ったカラフルなオブジェが並ぶカフェで過ごす賑やかな夜になりました。
翌日は静岡駅の周辺散策からスタート。浅間神社へ行く途中の商店街に珍しいものがちらほら。
浅間神社と賤機山古墳を見た後、静岡市美術館へ。この美術館は駅前ビルの三階ですが、ビル一・二階の本屋には今回の演劇祭にまつわるコーナーがありました。
ちなみにこの日は富士山が世界文化遺産になった日でしたので、駅構内にはこんなものが。
一通り静岡のお目当てを巡った後、再び『母よ~』を観劇(現地スタッフのアフタートーク付)。
ここで一つ問題が発生。終演後、帰りのバスまでの約4時間を過ごせる場所が劇場周辺にはほとんどなかったのです。劇場の最寄駅は(静岡駅から一駅3分の)東静岡、商業施設の多くは静岡に集中しています。 目星をつけていたコメダ珈琲店は満員、おそらくここの人は普段このカフェしか選択肢がないのかなと思いました(後日駅の反対側に大型ショッピングモールができたばかりだと聞きましたが、劇場周辺で案内板などは見かけませんでした。また情報を下さった人によるとあまり長居できる場所ではなかったとのこと)。
せっかくいい劇場があるからこそ、公演前後の時間も有意義に過ごしたい。車なしでは生活できない地域においてはこのあたりが課題に思えました。
(N.N.)
追記;なお、タイトルはポーランド語で「静岡へようこそ」(のつもり)です。何故かと言えば、名詞も容赦なく変化するポーランド語文法においては"w"の後は前置格なのですが、Shizuoka という名詞はどうすればいいのか?東京や京都ほど世界的に有名な地名でもなく、変化して元の地名が分からなくなるのも本末転倒なので無変化にしてみました。
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