2013年7月5日金曜日

文化経済学会雑感


6/29-30に東京大学で開催された文化経済学会のお手伝いをさせて頂きました。
私は主に分科会の担当だったので、4部屋×3回あった内の3つの分科会会場整備をしながら発表を拝聴する事が出来ました。それぞれのご発表で学ぶ事が多かったのですが、全部を書いていると長くなってしまうので、今回は全体の印象を一言ずつ。(全分科会は文化経済学会HPをご参照下さい)
分科会1ーB)政策と評価
文化という単一的評価が難しいものを対象とする政策を評価するための素地について考えさせられたと共に、その政策を評価し提言した際に、それをどのように反映させていくかまでを一連として考えていくことの必要性を感じました。
2ーB)文化支援をとりまく制度
我らがmihousagi_nさんの発表を拝聴しました。法体系や概念など理論的な主題を扱った発表と、現場での実践例をベースにした発表が同じところで行われましたが、改めて「文化」という言葉の射程の広さを見ました。
3ーB)アートプロジェクト
先の二つよりも具体的な分科会テーマだったこと、また発表者が他の部屋より少なかったので余剰時間があったことから、発表後の議論が盛り上がりました。特に谷口先生と吉本先生・熊倉先生のアートプロジェクトの沿革に対する理解についてのご発表とご指摘は参考になりました。

また、初日の会長講演・基調講演・シンポジウムと続いた中で、主にシンポジウムを重点的に聞く事が出来ました。 
キムさんのご発表は現状と課題が非常に整理されており、我らがbangulさんの完璧な通訳と相まってソウル文化財団と行政の関係への理解が深まりました。金代さんが福武財団の芸術文化支援方針を明快に述べて下さった後、様々なデータをご提示下さった樋口さんのご発表によりアートNPOによる現場での活動の実態と困難が浮き彫りになりました。吉田さんから公の立場からの支援についての説明があり、最後に太下さんが全体をまとめつつ、東京・大阪・沖縄を舞台に展開されているアーツ・カウンシル構想とその実施についてご解説頂きました。
時間が限られていたため、パネリストの方々、フロアを巻き込んだ活発なディスカッションには至りませんでしたが、おそらく皆様におかれましては懇親会にて議論を深められた事と存じます。私たちお手伝いの学生は残念ながら懇親会には伺えませんでしたが、少なくとも何名かの方々の発表を拝聴する事が出来、様々な刺激や示唆を受けました。
より一層熱心に研究に取り組まねば。

余談。
怒濤の文化経済学会に通った後、美術史学の先生の講義を拝聴する機会が後日あったのですが、「あちらの畑」の方が「こちらの畑」の領域により近い「芸術の社会・経済的(かつ非間接、非中・長期的)効用」を話そうとすると、この言い方には多分に語弊があるかもしれませんが、誤解を恐れずに言えば、なんだか「薄い」印象を受けました。
「あちらの畑」の方たちの大半にとっては本来そう言った事は発表主題ではない訳で、例えば「こういう企画をサポートすれば企業のイメージアップに繋がりますよー」といった事はある意味方便というかサービストークというか、そういったものでしか無かったのだと思います。
その授業は学際的なプログラムだったので、半分くらいは工学系の方が居たのではと推察しますが、果たしてその方たちにはあの薄めな説明がどのように映ったのだろう?という疑問が湧きました。私自身は先生やその研究室の方々が行っているプログラムに興味津々だったのですが、イマイチ周りの理系の方の反応が薄かった気がしたので。
講義後、より芸術的豊かさの側面について先生と一言二言言葉を交わす機会があったのですが、その時の方が先生も活き活きなさっていた様にも見えたのは、私の気のせいではないと思います。。。
(M.O)

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