ロンドンはロイヤル・ベビーの誕生でお祭り騒ぎでしたよ。
ロンドンレポートでは、滞在中の発見、訪問した劇場・文化施設などに関してご報告したいと思います。
実は2013年は日英交流400周年という、日本とイギリスにとって重要な一年です。遡ること1613年、当時の国王ジェームズ一世と徳川家康・秀忠が書簡のやりとりをし、正式に国交開始となりました。日本ではあまり取り上げられていないようですが、イギリスではこれを記念し、英国の機関や団体をはじめ、著名な歴史学者、ジャーナリスト、文化機関の代表者などのプロフェッショナル、日本の支援者がボランティアベースで協力し、ウェブサイト「Japan 400」という公式サイトが立ち上がり、日本関連のイベントや展示が予定されています。
Japan 400
http://japan400.com/ja/そして今週末には、ロンドン市内で「ハイパージャパン」というイベントが開催されています。「ハイパージャパン2013」は日本文化総合イベントで、日本の食や伝統文化、ポップカルチャーなど、様々なジャンルを一堂に集め、年齢性別、興味の対象を問わず、日本に関心のあるすべての人が楽しめるイベントとして、2010年に開催されて以降、毎年4万人以上の人が参加しています。
オーストラリア出身の芸者「紗幸」のお座敷芸、世界で評価されたパフォーマー集団「白A」によるステージショー、イギリス・リヴァプール出身の落語家公演、寿司アワード、酒エクスペリメント、日本食の屋台、「けん玉」大会、津軽三味線プレーヤー、最新の東京ファッションを参加者が体験できる「東京ファッションストーリー」、アニメやロボットの紹介イベント、ギネスに挑戦する「箸の豆つかみ大会」、着付けや武道、折り紙などのワークショップ、最新ゲームの体験コーナー、参加型の展示やイベント、アトラクションなど、盛りだくさんの内容となっています。
この中で特に気になったのが、オックスフォード大学で社会人類学の博士号を取得しながら、日本の芸者の世界に惹かれ、厳しい修行を得て2007 年に浅草でデビューした初の西洋人芸者である紗幸さんやイギリス人女性の落語家ダイアン吉日さんなどのアーティストです。落語家のダイアン吉日さんは故・桂枝雀のお茶子を務めたことから落語の世界に入り、桂三枝(現・六代目桂文枝)に学び、日英両方の言語で創作落語および古典落語を口演、今年、国際的活動の功労者を讃える「中曽根康弘賞」(世界平和研究所)を受賞しています。彼女は日英文化の違いなどをテーマにした、ユニークで斬新な落語を披露しロンドンでも話題になっています。このようなアーティストが何をきっかけに日本の文化に惹かれていったのか、どのように日本の文化を捉えているのか、またそれをロンドンという場所でどのように表現しているのか、実際にイベントに参加して、自分の目で見て考えたかったです。つまり、もう少しロンドンにいたかった、、、!
「ハイパージャパン」でも食に関するイベントが多いようですが、今ロンドンでは新たな「日本食」ブームが起こっていました! 10年程前は、ロンドン市内には日本人駐在員が週末家族と共に行くような、少し高級な日本食店や和菓子店が多くあったのですが、その数年後には日本食レストランは激減し、そのかわりロンドンっ子が気軽に入れるジャパニーズ・レストランが増えました。Yo!Sushi(テンションが高い回転寿司)、Wasabi, Bento, Wagamama (ラーメンのようなもののチェーン店)、Itsu, Potsu(お店のコンセプトとしては、ポットでジャパニーズ・フードを!というものらしいです)などが市内にオープンし、またデパートの食品売り場にも、スシやエダマメなどが並び、ロンドンっ子がお箸で日本食、もしくは日本食のようなものを食べている光景をよく目にするようになりました。しかし、それらは日本人が考える「日本食」や「日本の食材」とは程遠いものでした。
そして、今回ロンドンへ行って感じた事は日本人が食べても「おいしい!日本の食事」と感じることができるお店が増えたということです。その一つがラーメン。今はソーホーを中心に多くのラーメン屋さんがオープンし、実際に行ってみるとお客さんのほとんどが現地の人でした。まさかロンドンで、こんなおいしいラーメンを食べられる日がくるなんて、と感動してしまいました。(先日友人にこの話をしたところ、ニューヨークでも同じような動きがあるようです。)店員さんにお話を伺ったところ、そこでは日本人のスタッフが現地の人と一緒にメニューを開発しているようです。このように、食などの文化発信において、現地の人にも受け入れてもらえる味や共感してもらえる作品を、如何に現地の人を巻き込んで仕掛けるかということが一つの鍵だなと感じました。そして、人の動きと共に文化の受容においても様々なブームが起こり、ロンドンにおける日本の文化が作られていくのだなと思いました。
続きは、ロンドンレポート第二弾で!
M.H
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