大町市に行ってまいりました、M2 Mubeです。私は3度目の大町訪問、今回も市役所の方々の厚いサポートにより、非常に充実した3日間であったこと、関係者各位にまずお礼申し上げます。緻密な準備の上に、今回の見学調査が成り立っていましたこと、誠にありがとうございました。
参加者のレポートが次々とアップされていますが、私が一番印象に残ったのは「水のアート 水のテクノロジー」ということでした。
昭和電工資料室 山状のものは最後のアルミニウム |
8月1日に昭和電工にお邪魔させていただき、戦前からの黒部の開発、国策としての電力開発・アルミニウム精錬、アルミニウム製造が全面停止してからの黒鉛電極の生産という、日本産業史の重要なパートを担った歴史に改めて感銘を受けました。
大町営業所の自家発電系統図はすごかったです。北の青木湖からはじまり36km にわたり山中にトンネルをはりめぐらせ発電・灌漑・生活用水に水を振り分けながら水の力を利用してきた仕組み、その経路図がまさに「アート」―技術、人工のデザイン、大地に描かれた驚異的なデザイン―さまざまな意味を持つ「アート」という言葉の、あらゆる意味を含意するような治水に釘付けになりました。
青い線が導水路(昭和電工「地域活動の取り組み」パンフレットより) |
つづく資料館も、非常にレトロな建物の中、近代の産業史・現在史をまざまざと見せつけてくれるような資料の数々に圧倒されました。大町は「選ばれし特別な地」だったのだということがわかります。アルミニウム精錬・発電事業は富岡製糸場以上に、ある意味非常にディープな産業だったのではないでしょうか。初期の原子炉用の黒鉛資料もエネルギー政策上興味深い境界点を示すものでした。
黒部ダム 人間の技術(アート)の戦場 |
原始感覚美術祭開催中の木崎湖。この山中にもトンネルが掘られて導水されている |
しかし、上記のようなことは何度も大町のことを調査し、大町の方々にいろいろ教えてもらっているからこそ見えてくるものについて語っているので、この「大町のすごさ」を何に、どうやって落とし込んでいったら、それが大町の特徴として可視化されていくのかが今後の課題かと思いました。大きな産業が産業構造の変化とともに撤退してしまったという劇的な変化を遂げた地域である大町という過去を産業遺産的な視点から考えることも可能です。
そして過去の掘り起しだけではなく、世界に広がるエネルギー・水資源の問題、科学技術と社会との乖離をつなげていくことといった今日的な問題にコミット可能なことも大町の大きなポテンシャルなのではないでしょうか。
長々と抽象的な記述になってしまいましたが、これにどう肉付けしていくかは、また冬学期のゼミにて検討ですね。よろしくお願いいたします。 (Mube)
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