元職場といっても史料室にいたわけではないので、こんなにどっぷりと原資料たちに取り囲まれるのは初めてです。戦災を受けなかったその資料群は「宝の山」ですが、多くの私学の史・資料室同様、そこには目録もなく、日々各部からやってくる事務資料、さまざまな寄贈資料が山積していく状況は、山を崩せども崩せども積みあがっていく、なかなかな状況です。
「百年史」事業後が肝心…
おおよその私学の史・資料室の成り立ちは「百周年」あたりで、「記念史を作らねば!」ということで、いそいで資料が集められ、編纂委員会が組織され「百年史」が刊行され、その記念事業後に残った資料群をもとに「なんとなく」史・資料室ができる…といったパターンが多そうです。私のいるところもそんな感じです。そしてご存知のようにアーキビストの国家資格制度も整っていない我が国ですので、その史料室の資料整理の歴史は図書室旧教諭による図書館的整理方法の時代、デジタル化以前のアナログな整理方法の時代、史料室を同窓生情報交換室と見立て整理カードを破棄しようとした形成がある謎の時代…など振れ幅も大きく、非常に興味深い様相を呈しています。
意外な外部での認知度アップ
ところが、そんな史料室にやってきたのが「朝ドラ大騒動」でした。卒業生の執筆した作品をもとにしたNHKの朝ドラが大ヒットして、史料室は超多忙の部署となりました。私はその時期に勤務していなかったので伝え聞きですが、連日問い合わせと取材依頼がやまず、数年前から地道に整備されていた所蔵写真データベースが大活躍し史料室は迅速な資料提供を行い、入試志願者も倍増、学校は大いに恩恵を受けたようです。資料整理は一日にしてならず、で、先人たちの見えない地道な努力があってこそ、資料提供が可能だったわけです。
賢い私学の学校経営戦略
しかしながら、賢い私学はもう気づいているらしく、入試広報の上手な学校は一方で史・資料室の整備を進めており、自分の学校の「伝統化」を意図的に進め、自校史教育などを推進しています。史・資料室を「昔が好きな好事家の部署」ではなくて、「現在の学校経営につなげていく部署」として位置付けているわけで、文化経営的にも注目していきたい動向です。
このような環境下で、今週もいくつ山が崩せるか…と思いつつ、面白い資料をついつい読んでしまい、「整頓に集中しましょう」とにこやかに注意されるこの頃であります。
(Mube)
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